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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
60.女子高生(おっさん)のデート
しおりを挟む〈休日 駅前〉
「おはよう、アシュナ。私服のキミも素敵だ、では行くとしようか」
「……うん」
休日、鳳凰と都心部の駅前にて待ち合わせをして合流──作戦(デート)は決行される。目的は俺(アシュナ)の素(おっさん)をさらけ出して、鳳凰の気持ちをアシュナから逸らす事だ。
鳳凰はさすがというべきか……私服もハデすぎず、清潔感がありつつ流行を取り入れた格好で周囲の女性の視線を一身に集めている。ちなみに、男性の視線は俺に集まっているためにちょっとした人だかりができていた。
「最初に言っておくが……俺はまともにデートをした事はない。プランは練ってきたが……キミの行きたい場所があれば構わず言ってくれ」
「うん、わかった」
それはこちらにとっても都合がいい、おっさんのデートプランを余すことなく発揮できるというもの。
とにかく、鳳凰は相当に頭がいいし……意外にも浮世離れしておらず俗世間の話題も持ち合わせている。つまりはあまり不自然にやり過ぎると、わざとそう振る舞って嫌われようとしていると勘づかれる可能性がある。
あくまで自然に素を出し、『こんなおっさんみたいな女だったのかよ』と刷り込ませるのが必定。
大丈夫、普通の女性であればおっさん臭(しゅう)を出す演技をしなければならないが……俺(アシュナ)の心は正真正銘真性のおっさん。ドン引きされる行為には定評がある。
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〈大型ショッピングモール〉
鳳凰が選んだ場所は県内最大のショッピングモールだった。
てっきりリムジンが迎えに来て、超高級宝石店ととかホテルのバーとかの気取った場所に連れて行かれると思ったのだが……高校生同士ということを考慮してくれたらしい。
「ここならばキミも意見し易いと思った」
確かにここならおっさんでも興味を惹くものがある、金持ち坊っちゃんのくせに意外とフランクな一面もあるようだ。
「じゃあまず本屋行っていい? 新刊見たいんだ」
「ふっ、どこへでも付き合うさ」
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〈ゲームセンター〉
本屋へ行き、何冊か購入したのちにヴィレ○ァンを経由してゲーセンへと到着した。ちなみに、鳳凰は当然のように俺の買い物の支払いをしようとしたが……借りを作りたくないので全て断った。
久しぶりにメダルゲームしていると、鳳凰が怪訝(けげん)な顔をして話しかけてくる。
「……波澄アシュナ、これらの場所がキミの行きたいところなのか?」
「え? うん、服とか興味ないし……家族で行く時も大体こんな感じだけど」
「……」
鳳凰は驚いた顔をしている。
おっさんの作戦が功を奏したらしい、鳳凰の思い描く理想の女子高生とデートする場所ではないのだろう。
そう思って(計画通り……)と、デスノートの主人公みたいな笑みを浮かべていると──鳳凰は温かい眼差しに変わり嬉しそうに言った。
「やはり、俺の眼に狂いはないようだ……さぁ、存分に楽しんでくれ」
何故か鳳凰は喜んでいた。
〈続く〉
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