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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル

71.女子高生(おっさん)と女子達Ⅴ-④

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「ごめんアシュナ……嫌だった……?」

 ヒメは長い口づけを俺と交わしたのち──恐る恐る眼を覗き込むようにして問いかけてきた。
 突然のリンパ効果にビックリしたおっさんはキョドりながら本心を口にする。

「い……嫌なわけないっ、ヒメの唇すごい甘いしっなんかもう全体的にえっちな匂いするしそれにっ……」
「は……恥ずかしいから力説しないで……わかったから……ふふ、それにアシュナ自分で気づいてないかもしれないけど……アシュナの方がいい匂いだし甘いから……溶けちゃいそぅ……」

(おっさんが良い匂いで甘い……? 加齢臭マニアなの……?) と若干ひきながら問いかけそうになったが寸でで抑える。油断すると自分が女子高生である事を忘れる癖は相変わらずだ。
 無言で見つめ合う、長い睫毛に大きくも切れ長な目。吸い込まれそうな程の綺麗な瞳……眼を見て話せないおっさんではあったが、ヒメの瞳からは目が離せない。

 何故か苦痛にならない、在るがままの長い沈黙による静寂を互いに体感したのち──やがてヒメは照れながらもゆっくりと口を開いた。

「……あたしもアシュナみたくスタイル良ければうじうじ悩まなかったのにな……」
「あの……服なんて好きなの着ればいいんじゃ……?」
「アシュナは何着ても似合うし、服に無頓着だからそう思うの。胸がないとピッタリした服着ると男の子みたくなっちゃうから服の選択肢めっちゃ狭くなるんだから」
「…………あ~……おち○ち○が小さい人が全身タイツ着るとくっきりサイズ浮かびあがっちゃうから恥ずかしいみたいな?」
「……いや知らないし……たぶん全然違うけど……………ふふっ……あはははっ、アシュナは本当に着飾ったりしないねっ年頃の女子がすぐに男性器とか口にしないのっ。マジでそーゆーとこ羨ましいし憧れるよ」

 どうやらチン長とはあまり関係ないようでヒメは笑った。女子の気持ちが良くわからないおっさんにとって服なんか着たいものを着ればいいと思うのだが……女子には色々とあるようで、その苦労が偲(しの)ばれる。

「あたしもちょっと前までは人の目なんか気にしなかったんだけどさー……今はもう『可愛いかな』とか『変じゃないかな』とか『浮かないかな』とかそんなんばっかで……やっぱダメだね。大人になればなるほどどんどん自由がなくなってって……でもそれを諦める事が大人なのかなーって無理矢理納得させたりして……けど、そんな自分も嫌いで……なんかぐちゃぐちゃになっててさー今」

 なるほど、思春期特有の悩みは人種性別気性関係なく誰にでもやってくるというわけだ。

「でも、ありがとね。アシュナのおかげでふっきれたよ、あたしも人の目なんか気にしないで好きな事したいし好きな格好したい。アシュナみたいに」

 おっさんは何もしていないが、ヒメは憑きものが祓(はら)われたかのような笑顔になった。
 
「うん、ヒメはその方がいいよ。社会に出るともっと自由なんかなくなるんだから学生の内は今できる事を楽しまなくっちゃ。……油断すると……仕事場とアパートの往復だけで自由なのはネットの中だけの終わらない地獄みたいな日々になっていくから……」
「……なんか真に迫った言い方で怖いんだけど……」
「そ……それよりヒメっ、悩みは解消したみたいだからもうこんな事しなくても」

 このままでは我慢の限界で襲ってしまいそうなので、ヘタって切り上げようと、そう言いかけると──再度、唇で口を塞がれる。
 ビックリしてなすがままに数秒の口づけをしたのち、ヒメは指で俺の唇をなぞりながら言った。

「ダーメ……これもあたしのしたかったことなんだから……おじさんみたいな可愛いアシュナに……これから『女の子』を教えてあげる──」

 その後──なんかもう素人の童貞には口にできないようなえっちすぎる女の子同士の戯(たわむ)れが部屋の中で展開され、おっさんは『女性の悦びを知るおっさん』へとランクアップした。
 
 
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