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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
80.女子高生(おっさん)を巡る戦い③〈女子達の争い〉
しおりを挟む〈2-A教室〉
休み時間、ケータイをいじっているとギャルの【ミクミク】と面倒ガール【エナ】が声をかけてきた。
「アシュナっちー、今度の修学旅行の班もう決めたー? まだならうちらと一緒になろーよー、エナがどうしてもアシュナっちが一緒じゃなきゃやだって」
「ミクちゃんっ! それは言わないでって……!」
そう、高二の6月中旬には修学旅行があるのだ。
行き先はなんと沖縄──前世では京都だったのに、何故か行き先は改変されていた。なんか【アシュナ】による経済効果で今季の予算が潤沢になったとか校長がよくわからない事を言っていた。だったら(修学旅行中止にして休みにしてくれ)と超陰キャおっさん思考の俺は思わざるを得なかったが……周りの皆は喜んでいたので(特に陽の者)俺も喜ぶフリをした。
(まぁ前世とは違って一人で時間を潰す苦痛の修学旅行にはならないだろうからいいけど……班決めか……)
「うん、私でいいなら──」
班構成は[男4女3]か[男3女4]の7人編成。なんとなく(ヒナヒナ達のグループに流れで入るんだろうな)なんて考えていたから、ミク達の誘いは予想外ではあったが……別にどちらでも構わないので了承しようとしたその時──突然、後ろから柔らかマシュマロの弾力と……超絶いい匂いが俺の性欲を刺激する。
この匂いと弾力はおっとりスケベ娘【ヒマリ】だ、という名推理が瞬時に炸裂すると共に俺の頭はおっぱいに挟まれた。後ろからヒマリが、座る俺に抱きついてきたのだ。
「アシュナちゃんー、修学旅行どこに行くかそろそろ決めよーよー」
まるでバブみの塊のような、極上且つ最強の包容力を備えたヒマリのおっぱい枕により思考が少し鈍る。
故に、まさに目前で始まろうとしていた『俺(アシュナ)争奪戦』に意識が追いつかなかった。
ヒマリに後ろから抱きつかれると同時に、いつの間にか【陽女】と【陽菜】も横に現れ、【美咲(ミク)】と【エナ】と対峙するかの如く、俺を挟むようにして不動の構えを見せる。
まず口火をきったのは、天真爛漫おっぱいの持ち主【ヒナヒナ】だ。
「ごめん、ちょっとアシュナ借りていい? そろそろ修学旅行の行動予定表作んなきゃいけなくてさー」
「……え? アシュナちゃんもうヒナちゃん達のグループに入ってたの?」
エナが哀しそうな瞳をして俺に問いかける。
もしも、おっさんがバブみおっぱいに挟まれてなく現状をきちんと認識していれば……空気を読んで『あ、そういえば誘われてたねてへっ☆』と、諍(いさか)いの火種を起こさずに終わっていたのだが……極楽気分だったので何も考えずに答えてしまった。
「え、ううん~まだ誘われてなかったけど~」
「じゃあウチらが先に誘ったんだからアシュナっちはこっちグループでいいんじゃね?」
「でもまだアシュナは答えてなかったじゃん、だったらどっちにするかはアシュナが決めることじゃない?」
おっさんが余計な展開にしてしまったせいで、ミクとヒメ──強気な二人が笑顔のまま火花を散らす。
〈続く〉
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