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第4節 巻き起こる様々な試練と それをいともたやすく乗り越える女子高生(おっさん)の日常
105.女子高生(おっさん)とヒナとお買い物
しおりを挟む〈ショッピングモール〉
「アシュナっ、次どこ行こっか?」
「あ、じゃあバベルレコード行っていい? 『アオク』のライブDVD欲しいんだ」
「いいよー。アシュナ、本当アオク好きだよねーふふっ♪」
「どうしたの?」
「アシュナと一緒に来れたから嬉しいんだよー♪」
休日、お馴染みのショッピングモール。
俺は朝比奈陽菜とデートを満喫していた、目的は来(きた)る修学旅行のために水着や下着や服の新調。
ここ最近、おっぱいが確実に成長してきているから下着の確保はマストなのだが……そんな目的なぞ最早どうでも良くなるくらいに浮かれていた。
理由は言うまでもなく──ヒナヒナとの二人きりの初デートだから。
本当は四人で来る予定だったのだが、ヒメは部活、ヒマリは家の用事とが共に急に入ってしまったため二人だけで来る流れとなったのだ。
「アシュナにもミーハーな一面があるんだねー……だってアシュナ流行りとか一切気にしないし……本当に女子高生? って思ってたからなんか嬉しいよ……」
ヒナヒナはなんか親目線で感動している、普段から陽気だが今日は10倍界王拳使ってるの?ってくらいはしゃいでいた。
思えばヒナヒナとはあまり二人きりになった事はあまりなかった。どんな時も常に四人体制だったからか──こうして二人きりの長い時間を共有するのは初めてかもしれない。
前世で穴が開くほどに観たから迷っていたけど、やっぱり手元に置いておきたいし売上に貢献せねばなるまいとアオクの最新ライブDVDを購入し、更に気分は高まる。
「じゃあ次どこ行こっか、いっぱい見たいから迷っちゃうよ……あ! そうだアシュナゲームセンター行ってプリクラ撮ろうよ!」
pu ri ku ra。
遂におっさんが初挑戦する時が来てしまったようだ。現時代で女子高生の間にて猛威を振るう謎の機械──その名も『purikura』。
勿論、おっさんは撮ったことなどないし……なんなら陽キャ御用達のこの箱を、中でいかがわしい行為をする簡易ラブホテルだと信じ込んでいる。
(遂にヒナヒナとも一線を越えるときが──)
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〈ゲームセンター〉
「──これで選んで撮るんだよっ。やっぱりアシュナ撮った事なかったんだね……ってなんか落ち込んでるけどどうしたの?」
「……本当に写真撮るだけなんだね……」
「あはは、当たり前だよー」
プリクラ内部は思ってたのと違い、普通だった。
バ●ヴやコン●ームがあるわけでもなく、カーテンと画面があるだけ。町中にある証明写真の機械の中を広くしただけな感じで何も面白くないし、おっさんは写真に一切興味が無い──エロイベントを一つ失った事でそれらを後押しして元気が無くなったが……ヒナヒナが嬉しそうなので付き合う事にする。
「ほらアシュナ、もっと寄って」
「!」
そう思っていたら、まるであなたと合体したいと言わんばかりにヒナヒナがくっついてきた。
おっさんは瞬時に前言を撤回し、プリクラ様ありがとうと感謝した。
「じゃあ初プリ記念でアシュナなんか描いてよ、可愛くしてね?」
そう言ってヒナヒナは外に出て写真が出来上がるのを待機している。
どうやら写真になんかを描けるらしい、しかし、可愛くと言われても特に何も思いつかなかった。
仕方ないので、流行り大好きなヒナヒナのために、この想い出が流行になるように少しズルをして未来の知識を使ってみた。
「出来たー? なに描いたのー? 可愛く出来た?」
ヒナヒナは嬉しそうに出来上がった写真を取り出す。
可愛く寄り添う女子高生二人、そして真ん中には可愛い文字で──
【バスで来た】
──と書かれている。
「なんの報告!? 可愛さの欠片もないよ!?」
「これが流行るんだよ、主にネット界隈で」
「絶対嘘だよ!!」
文句は言っていたが、ヒナヒナは嬉しそうにケータイに貼っていた。
応援ありがとうございます!
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