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第4節 巻き起こる様々な試練と それをいともたやすく乗り越える女子高生(おっさん)の日常

131.女子高生(おっさん)の修学旅行~③日目『トイレはトイレのためにある』

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〈レストルーム〉

〈マイコー! なにか女性の叫び声が聞こえたけど何かあったのか!?〉
「い……いや大丈夫だ! きっとまたCockroache(ゴキブリ)が出て誰かが騒いだんだろう」
〈またか……あいつらに休日というものを与えてやりたいもんだな……hahaha…………〉

 個室──マイコーちゃんはおっさんを中へ引っ張って二人は密着している。叫びを聞いて駆けつけたイケメンズを誤魔化して……数秒間、場は沈静化する。
 雪のように透き通る肌に沖縄の海のようなブルーの瞳、それらに映えるピンクゴールドの髪。何故気付かなかったのだろうか……確かに彼女は女性だった。

「……sorry、考えてみればハニーは女の子なんだから叫ぶ必要はなかったね……けど、油断してたよ……何故にハニーは男子トイレに?」
「あ……はは……前世の癖……いや、寝不足でボーッとしてて……それより……」
「………そうだね、もうハニーには隠しようがない。けど皆には秘密にしておいてほしい。俺は女だ……本当は【星乃ミシェル】──両親以外は女の子だって知らないからマイケルで通してるけどね」
「えぇっと……どうして?」

 マイケル君改めミシェルちゃんは、少し考えながら言い淀む。イケメン系の凛々しい美女の頬が紅潮したように思えた──知り合って間もないけど……そんな彼女のギャップにときめく。
 なかなか打ち明ける事に踏み出せないのか……しばしの静寂に辺りが包まれる。まだ着替え途中で小ぶりな胸を剥き出しにしたままに。

 紅潮する女性、静寂、半裸、密着──これに興奮しない男はいないと断言しよう。
 しかし、トイレで事に及ぶなんてもっての他だ。ましてやおっさんには本妻と言っても過言ではない女性が多数いる、今しがた出逢ったばかりの女性と……不倫めいた事をするなど後ろ手で謝罪会見しても許されないと思い、理性で欲望を抑える。

「ハニー、俺は【男】になりたいんだ。ジャパン文化で女性は甘く見られがちだ……何処へ行っても淑(しと)やかでいる事を求められる……そしてあらゆる点で男より下に見られる……それに嫌気が差して俺は男でいようと決意したのさ。メンバーを集め、【琉球卍海】を創り、誰にも嘗(な)められないようにね……ハニーも同じ女性ならわかるだろ?」

 なるほど──でも、ごめん。meは中年オヤジだから完全には同じ女性ではないんだと心で謝罪する。
 でも言ってる事は理解もできるし共感も覚える。
 前世では俺も『男なんだから』なんて常套句(じょうとうく)が嫌いだったから。

「……うん、わかるよ……凄くよくわかる」
「ハニー……ふふっ、不思議だね……出逢ったばかりなのにハニーには何故か話を聞いてもらいたい気持ちになるよ。このbig sizeの胸と同じで包容力があるのかな………………」

 そう言って、ミシェルちゃんは俺の胸を触り始めた。服の中に手を入れて直に。

「ハニー……はぁ……はぁ……」

 様子がおかしい、なんか息遣い荒いし……さっきよりも頬が紅い。
 もしかして……現代のサキュバスと名高いおっさんにずっと密着してたからミシェルちゃん性的に興奮してる!? くっ……まずい! このままではやらかしてしまう……トイレは用を足すためだけに使用しましょう──と理性と欲望の天秤が激しく揺れ動く。




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