名無しの最強異世界性活

司真 緋水銀

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第一章 名無しさんの最強異世界冒険録

第二十三話 巨人とおともだちの少女

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「お、お願いします!僕と一晩…!」
「おっ、可愛い子じゃん、どうよ美人さん俺と一晩…」
「わ、私と一夜をどうですか?」
「ほっほっ、めんこい娘じゃ、どうじゃ一晩…」

「お断りします」

私は町の散策中、老若男女多種多様な種族に声をかけられ夜の誘いを受けげんなりしていた。
どれだけ私と一晩過ごしたいの…
やはり娯楽文化の少ない中世に似た世界、そーゆー事を当たり前に誘うのは一般的なのかな。

「だとしたら佰仟はピュアだったんだ…」

普通に付き合いデートしたいなんて純情すぎて可愛らしい。
…だめだ、女の子の思考のままじゃいずれ女の子として生きてしまう。

「時間まで闘技場にいよっかな…」

私は寄ってくる人波を掻き分け闘技場に向かった。

--------------

「暇だなぁ…」

闘技場前広場に座った私はスマホを確認する。
まだ受付までも一時間以上ある。
さすがにまだ広場にはちらほらとしか人の姿はない。
どうしたものかと考えていると一人の女の子の姿が目に入った。

「…ん…迷子?」

女の子は本当に女の子供だ、見た目7.8歳くらいの幼女と言っても差し支えない。
何か涙目になりながらうろうろしている。

声をかけてみるかな。

「どうしたのかな、大丈夫?」

こういう時女の姿になれるのは本当に助かる、男のままだったら声かけ事案となってしまう。

「ぅぅぅ…おともだちがいつまでたってもこないのです…れんらくもとれないのです…」ぐすっ
「泣かないで、待ち合わせはちゃんとここで合ってるの?」
「とーぎじょーまえのひろばに朝にまちあわせしたのです…」

うーん、闘技場は一つしかないし広場もここにしかないし…

「広場は全部探してみた?」
「はいなのです…」

そうすると友達の寝坊か…場所を間違えてるのか…

「もうちょっとお姉ちゃんと待ってみよっか?ここね、もうすぐお祭りが始まるの、まだ時間あるからもしかしたらお友達時間間違えちゃったのかもしれないからね」

私はしゃがみ、幼女の目線になって頭を撫でる。

「ふぁ…おかあさっ…あっ!えーと…お姉ちゃんはずっとここにいるのですか?」

可愛い!お母さんと呼び間違えてる!

「お姉ちゃんお祭りに出るからね、始まるまでここにいるよ」
「じゃ、じゃあ一緒にいてほしいのです…」

ぎゅっと私の手を掴む幼女。
母性本能で男に目覚めそうな私であったが今度は幼女に目覚めそうになってしまった。

--------------

「き、きらきらちゃん?」
「はい、きらきらはきらきらなのです」

また凄い名前が出てきたな…これが本当のキラキラネーム。

「私はナナ、よろしくね」
「ななお姉ちゃん♪ななお姉ちゃん♪」

可愛い。

「でもねきらきらちゃん、難しいかもしれないけど知ってる人でも簡単に自分の名前言っちゃダメだよ?」
「あっ!知ってるなのです、きらきら12歳だからちゃんと知ってるなのです」

12歳!?
前の世界だともうすぐ中学生!?
その割には幼すぎるような…マせてる小学生もいれば幼児のような小学生もいるんだね。

「きらきらちゃんはこれからお友達とどこか行くの?」
「えっとね?おともだちがとーぎたいかいに出るはずだったんんだけど…予定がかわって自分たちのおうちに帰らなくちゃいけなくなったの。だからこれからおうちに帰るなのです」

お友達が闘技大会に?
そのお友達いくつ?まさか大きいお友達?

「おうちは遠いの?」
「うん、隣のまちの『ぎるど』のまちなのです」

ギルド街、酒場の戦士達も隣街から来たって言ってたっけ。

「あっ!おともだち来たなのです!」
「本当?どこ?」

ドスン

ドスン

「おお、きらきら氏遅れてすまんですゾ。相変わらずキュートなんですゾ、心がきゅんとするでござるゾ」

それはおよそ10メートルはありそうな
髪をセンター分けにしてバンダナを巻き
丸眼鏡をかけた小太りの

巨きな大きなお友達、巨人だった。

「ややっ!きらきら氏、と、隣の華麗な美人は何ものなんですゾ!?」
「んっとね、一緒にまっててくれたお姉ちゃん。…えーと」

きらきらちゃんはどうやら名前を言っていいのか判断しかねているようだった。

「大丈夫だよ、私はナナ。…えーと、きらきらちゃんこの巨きな人が…?」
「うん!おともだちの巨人さん!」

巨人と幼女。
一体どんな組み合わせ?。

「ややっ!ナナ氏と申すか、きらきら氏と一緒にいていただき誠に感謝感激の至りでございますゾ!しかし名乗って頂きながら非常に心が痛いのですが…拙者名を名乗れぬ事情がありまして…」
「あ、ううん、いいの。私は勝手に名乗ってるだけだから」
「そう言って頂けると…ややっ!きらきら氏、拙者のせいでござるがあまり時間がないでござるゾ!急ぎ肩に乗ってくだされ!」

そう言って巨人はきらきらちゃんの前に掌を差し出す。
きらきらちゃんはそれに飛び乗った。

「うん!じゃあありがとう!またね、ナナお姉ちゃん」

そう言って巨人と幼女は広場を後にした。

ドスン…ドスン………

「だ、大丈夫だよね…いい人そうではあったし…」

オタク風な巨人など初めて見たが幼女をつれ回す大きなお友達という
不穏しか残さないワードにどうしても不安は残った。

「な、ナナさん!もう来ていたのか!」

少し間を開け、佰仟が広場に姿をあらわす。

「す、すまない…先に待っていようと早く出たのだが…」
「大丈夫だよ、まだ受付時間まであるし」

なんかこの純情さが落ち着くよ。
こちらの世界に来てから深く関わる人はいい人達ばかりで安心するなあ。

--------------

「NO.107.108様ですね、では武器をこちらへ」

時間になり身体検査を終えた私達は控え室に入場する。
控え室は結構な広さがあり、もう既に40人ほどが顔を揃えていた。

「おっ、美人がきたぜ」 「おー胸でけぇな」 「最初は乱戦だろ?なぁ、どさくさに紛れて犯してやろうぜ」 「そりゃいいなげへへ」

…まぁ世界中いい人間ばかりではないよね。
この人達とこれから深く関わりがないよう祈るばかりだよ。

「成程、ここで全員殺すのもありだな」チャキッ

いや、なしだよ?

「落ち着いて、代わりにもらったこの銃はゴム弾だからね?」

ガチャッ

私達の後に続いて選手達が続々と顔を揃えた。
その中に酒場にいた戦士ギルド達がいた、全員で5名。酒場には10人はいたはずなのに。

「おっ、姉ちゃんきたな!昨晩は律儀にどうもな!」
「ううん、奢ってもらったし当然だよ」

…というのも昨晩の騒動の時に私はお酒奢ってもらった戦士達にお礼に行き、お金が入ったら必ず返すからと戦士達の住居を聞いていた。

「なんだナナさん、それなら俺の手持ち金から払えばよかったのに」

佰仟が割って入る。

「そんなわけにはいかないでしょ、人のお金をぽんぽん使えないよ」
「……」ツー……

また佰仟は泣き出した。
クールかと思ってたけど感情豊かだなぁ。

「貴女は何てできた人なんだ…やはり理想の女性だ…」

いや…一般常識のはずなんだけど…
どんだけ殺伐とした世界で生きてきたんだろう。

「本当に今時珍しい姉ちゃんだなって話してたんだよ、奢るって言ってもきかないしなぁ」

それはまぁ…後ろめたい事もあるし。

「普通だよ、時間ができたらギルドにも行かせてもらうからね」
「おう、大歓迎だ。町に戻ったやつらなんか全員姉ちゃんに惚れちまったからよ、きっと喜ぶぜ」
「そういえば全員いないね、何かあったの?」
「あぁ、どうやら俺達の町の近辺に大型の獣が出たらしくてな。それの退治にいったんだ、放っておけないからな」
「そうなんだ、みんなは大会に出てていいの?」
「逃げ帰ったと思われるからな、ギルドにとっちゃ名誉ってのは大事なんだ」
「ふぅん」

「いつまで親しげに喋っている?」ズイッ

佰仟が険しい顔をして私と戦士達の間に割って入る。

「な、何だよ兄ちゃんは誰なんだ?」
「あ、えーと友人で大会の私の相棒。ねぇひっくん(佰仟)あんまり揉め事おこさないで」

「ひ…ひっくん!?」
「名前呼ぶわけにはいかないでしょ」ぼそぼそ
「ひっくん…」

ひっくんは何か複雑な顔をした。

ガチャッ

「わー!むさ苦しい臭いでいっぱいだー♪」

そこに場違いな女の子が入ってくる。
見た目15歳くらいの活発そうな可愛らしい女の子だ。
この娘も出場者なのかな?

「うわっ、ごついやつらー、なんかいかにもかませ役って感じだねー」わー

場の空気を一切読む気のなさそうな女の子をごつい男達が一斉に睨み付けた。

「あ、女の子もいるじゃん!よろしくねっ」
「あ、うん。よろしく」

しかしそんな事一切意に介さず私に握手を求めてきた。

「女の子は私達だけみたいだねー、トーナメントでぶつかるまで仲良くしよーよ♪」ぴょんぴょん

握手しながら跳び跳ねる女の子、こんな子まで戦うの。
その後も選手が入ってくるが女性はこの子だけのようだ、大丈夫なのかな。

「心配しなくていーよ、私逃げ回るの得意だから」

ん?あれ?
声に出てたっけ?

「出さなくてもわかるよー♪だって私『心』読めるから。私の名前は『こころ』。よろしくね、異世界から来た名無しさん♪」

「お時間となりました、皆様門から入場してください」


波乱の闘技大会が始まる。























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