名無しの最強異世界性活

司真 緋水銀

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第一章 名無しさんの最強異世界冒険録

第二十五話 名無しの権兵衛vs数字遣いの男①

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チャキッ

「本気でいきますよ」

佰仟との戦いが始まる。
戦闘面で佰仟について知ってる事は『銃を使う事』と『数字遣いと呼ばれている事』それだけしかない。
加えて佰仟は無心だった、考えている事が読みとれない。
銃を構える前に動体視力のパラメーターを1000にする。

これはリーフと戦った時と同じ数値、閃光の剣筋を見極められるギリギリの数値だ。

パァンッ! 

早くも銃弾を放つ佰仟。
俺に向かう銃弾はスローモーションでこちらへ向かってくる。
狙われたのはどうやら脚のようだ。
俺はその銃弾を避け佰仟へと向かい走り出そうとした。

「!?」

しかし佰仟は既に視界から消えていた。

(どこへ行った?!)

この動体視力でも見切れなかった?

バシイッ!

「!?」

何かが身体に当たる、それは
先程避けたはずの銃弾だった。

(何っ!?)

それはどこかへ消えた佰仟が新たに放った銃弾ではなく、避けたはずの銃弾。

いや、正確には避けたはずの銃弾そのものではない。

分裂した!?
当たったゴム弾は身体から落ち、地面に転がる

そして隣には避けたはずのゴム弾。

合計二個。

連射していた?
いや、それはない。発射口はちゃんと見ていた。

放たれた弾は一発だけ。
だが落ちている弾は二発。

見れば佰仟は上空を跳んでいた。

パァン!

また弾は一発発射された。

そして今度は

頭に少しの衝撃を連続して受ける。
雨粒が落ちてきたくらいの衝撃だったが

全弾が俺の頭部に命中した。

弾の数は十を越えていた。

(何故か銃弾を全くよけれない…?)

上空にいたはずの佰仟は既に遥か後方に立っていた。

「……」

閃光よりも速い?。

注視していたが
まるで瞬間移動でもしたかのように全く見えない。

「…そうか」

『一十佰仟』…字面から能力を察する。
成程、大体わかった。

ゴム弾である事に加え耐久力も上げている俺にダメージは一切ない。
しかし困ったな、予想通りの能力だとすると
俺の攻撃は佰仟には当たらない。
どれだけスピードをあげても同じ事だろう。

どうしたものか。

俺は佰仟と再び向き合った。

……

佰仟も同じような考えに至る。
(桁外れのスピード、パワー、視力、耐久力…ゴム弾どころか実弾ですら通さないだろうな。全て規格外…出会った能力者の中で間違いなく一番強い…どう攻撃するべきか…無駄射ちして能力をこれ以上露呈させるのもまずい)

……

お互いに均衡状態。
例えるならスピード100と耐久力100の戦い。

俺は攻撃を当てれない
佰仟は攻撃が効かない

お互いに決め手と作戦が必要になってくるな。

俺はスピードを上げアイスメリアの能力を発動する。

パァァァァァァァァァァッッ…

それと同時に超スピードで動きながら佰仟へ向かう。
その時には佰仟は既に視界にはいない。

だけどそれでいい。
俺は超スピードで石を拾い、後方上空の光のスポットライトに振り返りながら投げこんだ。
スポットライトは既に後ろにいた佰仟を照らしている。

そして光のスポットライトに包まれた石は
増殖し、千の石つぶてとなり佰仟へ降り注いだ。

【シャイニングストーン】

「!!」

(これはどうだ?)

少し驚いた様子だったが、それでも佰仟は微動だにしなかった。

「……」スッ

佰仟は降り注ぐ石の雨に手をかざす。

「!?」

それと同時に
上空の石の雨は無くなった。
正確には石1個だけが上空から落ちてきた。
佰仟はそれをパシッと手で受け取った。

「…驚異的な身体能力だけではなく、こんな技すら持っているとは驚きです」ニッ…
「そっちこそ、やるなぁ」ニッ…

「………お」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

再び大歓声に闘技場は包まれた。

「すごーい!二人とも速すぎて全然見えなーい!」

こころが歓声の中でもはっきり聞こえるくらいの感嘆の声をあげた。
周りにはちゃんと見えているのか?
何やってるかわからないと思うが

何となく凄いって雰囲気で騒いでるのかな……

「もう能力は割れているのでしょうが、お兄さんには傭兵やナナさんのお兄さんとしてではなく、一人の武人としてちゃんと名乗り改めてこれから闘いを申し込ませてもらいます。俺の名は一十佰仟…『一から千の数字を自由に操ります』」
「相手の能力の数値や時間さえも数だから操れるんだな?」
「…時間も見抜かれましたか、流石です」
「個数や秒数、それらを一から千まで好きに増減できる……最初のは弾を増やし、石つぶては数を減らした。移動は自分の時間を縮め、全ての移動時間を一秒にした。更に俺の体感時間を引き延ばしその一秒ですらを何倍にもする」

つまり自分の移動時間を100秒かかるところを1秒に縮めてまるで瞬間に移動する。
逆に俺の移動時間を1秒で済むところを1000秒かけるようにする。

「結果俺の目では捉えきれずまるで瞬間移動でもしたかのように映る…凄い能力だ」
「光栄です、ここまで立っていられたのはあなたが初めてですよ」
「こちらこそ光栄だよ、やっぱ世界には凄い能力者がいるもんだな」

佰仟のご両親はどんな想いで名前を名付けたんだろう、いつか聞いてみたいな。
だけど、こんな凄い力なんだ。
やっぱ特別な想いがこもっているんだろう。

スッ

俺は眼を閉じ今まで出会った人達に想いを馳せる。
女神、アイスメリア、リーフレイン、エレ、佰仟…
きっと皆それぞれに想いのこもった名前なんだ。

そして、『名無しの権兵衛』

お前には俺が想いをこめた
きっと名が知れ渡るように。

俺が名無しの権兵衛を世界中に広めてやる

スッ

俺は眼を開く。

「俺もお返しに名乗るよ。俺の名はナナシ、身体の能力値を自由にできる。やがて神すら越える名前の男だ、覚えておいてくれ」
















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