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第二章 命名研究機関との戦い
第四十八話 開戦
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時は少し遡り、海底研究所にて。
俺はサイと突入時の事前計画を打ち合わせていた。
「…では体内にこの機械を埋め込んでください」
「ああ、でもその前に…」
プルルル…
俺は佰仟に電話をかけ、状況を伝える。
「………なるほど、了解だ」
「一度切る、佰仟は録音アプリを作動させて通話状態にしておいてくれ、今から体内にスマホを入れる」
「ふむ、やってみよう。少し操作の時間をくれ」
ピッ
俺は一旦通話を切り、サイと話す。
「もしこの機械に研究員との会話を記録して残した場合、それは証拠の一つになるかな?」
「えぇ、この機械の存在を公にして機械の信用性を証明できればですが。しかし、それだけではまだ弱いですし時間がかかるでしょう」
「あとは中央研究所とやらで見つけるしかないか…じゃあ後は如何に無事に研究所までたどり着くか、だな…」
そこまで秘匿された場所への護送。
きっと何重にもかけて能力を封じられる事もあるかもしれない。
「指輪だけじゃ少し心許ないかな…」
「では、役に立つかはわかりませんが念のため私も貴方に能力をかけておきましょう」
サイは能力を発動させる。
「私の名は『Silent』、私の声を聞いた者物のあらゆる音を無にする事ができます、心の音や気配、周囲の環境音…それらも全て」
「…Silent…」
神殿遺跡で音もなく忍びよった少年、研究員の読めない心の声、たまに聞こえなくなった人魚さんの声…全てサイの能力によるものだったのか。
なるほど、潜入・隠密行動にはうってつけの能力だ。
「この機械にもかけておきます、音は貴方にしか聞こえません。念のため貴方の心の音も聞こえないようにしておきましょう」
「ありがとう」
「……私も証拠が揃えられたら突入しますが、それまでは大々的には協力できません、もしも姫様に会ったら無茶だけはしないように貴方が制御してあげてください…」
姫様…そうだ。ルールの能力も自分にかけておこう。
どういう条件でどういう法にするか…
バンッ!
その時勢いよく診療室の扉が開いた。
「話終わったんだよ?長いんだよっ!」
入ってきたのは不思議魔法少女、不思議ちゃんだった。
…そうだ。
この不思議能力を他のスキルと組み合わせる事ができれば全部何とかなるかもしれない。
そのためには…
「サイ、この子と二人で話があるんだけどいいか?」
「え、えぇ…ですがあまり時間はありませんよ」
「あぁ、わかってる」
サイは退室し、部屋に少女と二人きりになる。
「さぁっ!ぼくと再戦するんだよっ!」
「不思議ちゃん、俺とセックスしてほしい」
しーん……
部屋に静寂が訪れる。
「ななななにを言ってるんだよっ!?どどどどうかしてるんだよっ!」
まぁ……確かにどうかしてる。
「おかしな事を言ってるのはわかってる、だけど本気だ。君としたいんだ」
この子は敵方、事情をはなすわけにはいかない。
仕方ない…気が乗らないが嘘をつくしかない。
もし…するんだったらこの子についても責任をとらなければならない、どんどん色んな女の子との責任が増えていく。
しかしこの娘の能力を別の能力と組み合わせるのは必要不可欠だ。
もし断られたら……また別の手を考えるしかないけど。
「へへ変態なんだよっ!やっぱりぼくが倒してやるんだよっ!」
「頼む、事故とはいえキスしてから君の事が気になって仕方ないんだ」
「だ、だからって段階をとばしすぎなんだよっ!そんなアプローチの仕方でするわけないんだよっ!女の子を馬鹿にしすぎなんだよっ!」
「気になった子を抱きたいと思うのは自然な事だよ、それにどうやら俺はこれから実験体にされるらしい…だからせめて想いをぶつけてみたんだ、嫌だったら諦める」
「…………………そ、そんな事言われたって……した事ないんだよ…」
「大丈夫、俺に任せてくれればいい。無理強いはしない、嫌ならはっきり言ってくれ。君への想いを言えただけで思い残す事はもうないよ」
「……………………………………………………………………………………………………」
赤面してうつむきながら、チラチラと上目遣いを行ったり来たりさせる不思議ちゃん。
敵とはいえ、罪悪感が凄い。
「い、痛いのは嫌なんだよ…痛くしないんだったら…」
この子はこんな簡単にそんな決心をしてこの先大丈夫なんだろうか。
敵だけど少しこの子の将来が心配になった。
「……わかった、任せてくれ」
そうして俺と不思議少女は誰も知らない二人だけの秘密の時間を過ごしていたのだった。
~~~~~
Skill
【不思議】&【ルール】
『身体に能力を複数回受けた場合、不思議な事に受けた全ての能力が無効化される』
バキィィンッ!
「ど、どうやって室長の能力を解いたの!?室長の能力を受けた者は能力を使えないはず…っ!それ以前にわたくしの部下も貴方に能力をかけたはずっ…」
「言えないけど…その用心深さを逆に利用させてもらったってところだよ」
ここの室長に一回、優男に一回、今この女性に一回。
複数回能力を喰らい条件を満たした俺は全てのかけられた能力を不思議な事に解いたようだ。
かなり能力が複雑になってきた、この闘いが終わったら少し整理してみよう。
「一応聞くけど、『鍵』持ってるよな?素直に渡すんだったらここに縛りはするけどケガはさせない」
「っ!とことん舐めてくれるわねっ!わたくしが戦闘できないなんて言ったかしら!?」
メキ…メキメキメキ……
そう言って女は見る見る内に姿を変えていった。
身体には少しずつ毛が生え、人間サイズだった体躯は巨大化し2メートル近くになる。
その姿は獣、前の世界でいうと豹のような生物に彼女はなった。
「わたくしは元々獣人族!ヒューマンよりも戦闘力は優れた種族よ!さぁ………かかって……きな……さ………………ぃ………」
ドオオオオンっっ!!
「悪いけど…喋ってる間にもう終わった」
俺は不思議ちゃんのスキルを使い、女を気絶させた。
さて、鍵は持っているだろうか。
俺はゴソゴソと女の身体をまさぐる。
「あった」
鍵を見つけた俺は一度実験室の扉を開ける。
ガチャッ
開けた先はまるで全ての生物が死に絶えたような…無音で薄暗い…そんな通路が広がっていた。
通路の至るところ……床や天井にまで扉がある異質な空間。
しかしその扉のいずれかからも微かな音も聞こえない。
環境の音も一切ない。
(この全ての扉が見せかけの研究所と繋がってるのかな?)
とりあえず俺は一度扉を戻す。
よく見ればドアノブの下に鍵穴があった。
俺は鍵を使い施錠し、もう一度鍵を使って扉を開けた。
ガチャッ
コツ…コツ…
「ん………………え?な、何者だぐはっ!?」ドゴンッッ!
ドサッ
扉を開けたら目の前に巡回していたらしい兵士がいた。
「びっくりした…思わず殴っちゃったよ…」
そこにはいかにも研究所らしいような、まるで近代の建物のようなメカメカしい機械類が至るところに点在するホールのような広さの場所。
「キャアアァァァッッ!?」
「し、侵入者だ!警報を鳴らせ!!」
ビーッビーッビーッビーッビーッ!!
ホールのあちこちから白衣を着た研究員らしき人達の悲鳴と鳴り響く警報が反響して何重にもって聞こえてくる。
(成功した、ここはおそらく真っ当な研究機関の方だろう)
施錠を繰り返せば表と裏の空間を行き来できるのか。
ならば話は簡単だ、佰仟達をここまで連れてこなければ。
俺は騒音と人を掻き分け光の速度で、この施設の外へ向かう。
--------------
「みんなっ!!」
「「「「ナナシっ(さんっ)!!」」」
外にはアイスメリア、佰仟、エレメント、殺、しゃん、の五人が既に集まっていた。
「とりあえず色々と話はあるけど急ごう!」
俺達は研究施設に突入する。
--------------
喧騒の研究所を兵士達を蹴散らしながら駆け抜け、扉の前へ俺達はたどり着く。
そして鍵を使い、異空間に突入した。
「何なのにゃ…ここは…」
「何か……嫌な雰囲気……」
「とりあえずしらみ潰しにあたってみるしかないであります」
「そうだな、閃光騎士の救出を優先に幹部連中を叩きルールの連れてくる王国騎士達を待つ」
「そして研究所の裏の顔を白日に晒す証拠を揃える」
俺達は一度立ち止まり、無数の扉の前でやる事を話し合った。
「そうだな、出来たらの話だろうけど」
「「!!」」
すると突然暗闇の中から一人の青年が現れる。
背の高いスラッとした青い髪の青年、見た感じ10代か20代前半だろうか。
「あんたがナナシとその連れか、悪いけどここまで侵入されたからには生かしておかない、まぁ元々殺すつもりだけどな」
そう言って青髪の青年はナイフを取り出し、頭上空中で一回転させこちらに投擲した。
ヒュッッ!
その瞬間、ナイフは増殖した。
こちらに刃を向けて飛ぶナイフは増殖し、通路を塞ぐ。
比喩でも何でもなく、まるで刃つきの壁が迫ってくるように。
「にゃ!?」
それはいつの間にか後ろの通路からも迫ってきていた。
俺達はまるで『無限』に飛来するナイフ群に挟まれる。
「俺の名前は『インフィニティ』、無限の名を冠する命名研究機関の戦闘幹部の一人だ。地獄までその名前の恐ろしさ、持っていけ」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッッッッッッッッッッッッ!!
バァンバァンバァンッッッッ!!
カランカランカランカランカランカランカランカランッッ……
「大仰な自己紹介までさせて悪いが、数を減らせる俺にとっては何の意味もないな、無限遣い」
飛来する無限とも思えるナイフはその数量を極限まで減らされ、残ったナイフは数発の銃弾により撃ち落とされた。
「そう言えばお前がいたんだな、数字遣いの傭兵「一十佰仟」」
「皆、先に行っていろ。こいつは片付けといてやろう」
俺達は顔を示し合わせ、無言で頷き合い走り出す。
「頼んだ、佰仟!」
「ふっ、他愛もない」
「やってみろ、数字が無限に勝てると思うんならな」
研究所との決戦。
第一戦『数字遣いVS無限遣い』
時は少し遡り、海底研究所にて。
俺はサイと突入時の事前計画を打ち合わせていた。
「…では体内にこの機械を埋め込んでください」
「ああ、でもその前に…」
プルルル…
俺は佰仟に電話をかけ、状況を伝える。
「………なるほど、了解だ」
「一度切る、佰仟は録音アプリを作動させて通話状態にしておいてくれ、今から体内にスマホを入れる」
「ふむ、やってみよう。少し操作の時間をくれ」
ピッ
俺は一旦通話を切り、サイと話す。
「もしこの機械に研究員との会話を記録して残した場合、それは証拠の一つになるかな?」
「えぇ、この機械の存在を公にして機械の信用性を証明できればですが。しかし、それだけではまだ弱いですし時間がかかるでしょう」
「あとは中央研究所とやらで見つけるしかないか…じゃあ後は如何に無事に研究所までたどり着くか、だな…」
そこまで秘匿された場所への護送。
きっと何重にもかけて能力を封じられる事もあるかもしれない。
「指輪だけじゃ少し心許ないかな…」
「では、役に立つかはわかりませんが念のため私も貴方に能力をかけておきましょう」
サイは能力を発動させる。
「私の名は『Silent』、私の声を聞いた者物のあらゆる音を無にする事ができます、心の音や気配、周囲の環境音…それらも全て」
「…Silent…」
神殿遺跡で音もなく忍びよった少年、研究員の読めない心の声、たまに聞こえなくなった人魚さんの声…全てサイの能力によるものだったのか。
なるほど、潜入・隠密行動にはうってつけの能力だ。
「この機械にもかけておきます、音は貴方にしか聞こえません。念のため貴方の心の音も聞こえないようにしておきましょう」
「ありがとう」
「……私も証拠が揃えられたら突入しますが、それまでは大々的には協力できません、もしも姫様に会ったら無茶だけはしないように貴方が制御してあげてください…」
姫様…そうだ。ルールの能力も自分にかけておこう。
どういう条件でどういう法にするか…
バンッ!
その時勢いよく診療室の扉が開いた。
「話終わったんだよ?長いんだよっ!」
入ってきたのは不思議魔法少女、不思議ちゃんだった。
…そうだ。
この不思議能力を他のスキルと組み合わせる事ができれば全部何とかなるかもしれない。
そのためには…
「サイ、この子と二人で話があるんだけどいいか?」
「え、えぇ…ですがあまり時間はありませんよ」
「あぁ、わかってる」
サイは退室し、部屋に少女と二人きりになる。
「さぁっ!ぼくと再戦するんだよっ!」
「不思議ちゃん、俺とセックスしてほしい」
しーん……
部屋に静寂が訪れる。
「ななななにを言ってるんだよっ!?どどどどうかしてるんだよっ!」
まぁ……確かにどうかしてる。
「おかしな事を言ってるのはわかってる、だけど本気だ。君としたいんだ」
この子は敵方、事情をはなすわけにはいかない。
仕方ない…気が乗らないが嘘をつくしかない。
もし…するんだったらこの子についても責任をとらなければならない、どんどん色んな女の子との責任が増えていく。
しかしこの娘の能力を別の能力と組み合わせるのは必要不可欠だ。
もし断られたら……また別の手を考えるしかないけど。
「へへ変態なんだよっ!やっぱりぼくが倒してやるんだよっ!」
「頼む、事故とはいえキスしてから君の事が気になって仕方ないんだ」
「だ、だからって段階をとばしすぎなんだよっ!そんなアプローチの仕方でするわけないんだよっ!女の子を馬鹿にしすぎなんだよっ!」
「気になった子を抱きたいと思うのは自然な事だよ、それにどうやら俺はこれから実験体にされるらしい…だからせめて想いをぶつけてみたんだ、嫌だったら諦める」
「…………………そ、そんな事言われたって……した事ないんだよ…」
「大丈夫、俺に任せてくれればいい。無理強いはしない、嫌ならはっきり言ってくれ。君への想いを言えただけで思い残す事はもうないよ」
「……………………………………………………………………………………………………」
赤面してうつむきながら、チラチラと上目遣いを行ったり来たりさせる不思議ちゃん。
敵とはいえ、罪悪感が凄い。
「い、痛いのは嫌なんだよ…痛くしないんだったら…」
この子はこんな簡単にそんな決心をしてこの先大丈夫なんだろうか。
敵だけど少しこの子の将来が心配になった。
「……わかった、任せてくれ」
そうして俺と不思議少女は誰も知らない二人だけの秘密の時間を過ごしていたのだった。
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Skill
【不思議】&【ルール】
『身体に能力を複数回受けた場合、不思議な事に受けた全ての能力が無効化される』
バキィィンッ!
「ど、どうやって室長の能力を解いたの!?室長の能力を受けた者は能力を使えないはず…っ!それ以前にわたくしの部下も貴方に能力をかけたはずっ…」
「言えないけど…その用心深さを逆に利用させてもらったってところだよ」
ここの室長に一回、優男に一回、今この女性に一回。
複数回能力を喰らい条件を満たした俺は全てのかけられた能力を不思議な事に解いたようだ。
かなり能力が複雑になってきた、この闘いが終わったら少し整理してみよう。
「一応聞くけど、『鍵』持ってるよな?素直に渡すんだったらここに縛りはするけどケガはさせない」
「っ!とことん舐めてくれるわねっ!わたくしが戦闘できないなんて言ったかしら!?」
メキ…メキメキメキ……
そう言って女は見る見る内に姿を変えていった。
身体には少しずつ毛が生え、人間サイズだった体躯は巨大化し2メートル近くになる。
その姿は獣、前の世界でいうと豹のような生物に彼女はなった。
「わたくしは元々獣人族!ヒューマンよりも戦闘力は優れた種族よ!さぁ………かかって……きな……さ………………ぃ………」
ドオオオオンっっ!!
「悪いけど…喋ってる間にもう終わった」
俺は不思議ちゃんのスキルを使い、女を気絶させた。
さて、鍵は持っているだろうか。
俺はゴソゴソと女の身体をまさぐる。
「あった」
鍵を見つけた俺は一度実験室の扉を開ける。
ガチャッ
開けた先はまるで全ての生物が死に絶えたような…無音で薄暗い…そんな通路が広がっていた。
通路の至るところ……床や天井にまで扉がある異質な空間。
しかしその扉のいずれかからも微かな音も聞こえない。
環境の音も一切ない。
(この全ての扉が見せかけの研究所と繋がってるのかな?)
とりあえず俺は一度扉を戻す。
よく見ればドアノブの下に鍵穴があった。
俺は鍵を使い施錠し、もう一度鍵を使って扉を開けた。
ガチャッ
コツ…コツ…
「ん………………え?な、何者だぐはっ!?」ドゴンッッ!
ドサッ
扉を開けたら目の前に巡回していたらしい兵士がいた。
「びっくりした…思わず殴っちゃったよ…」
そこにはいかにも研究所らしいような、まるで近代の建物のようなメカメカしい機械類が至るところに点在するホールのような広さの場所。
「キャアアァァァッッ!?」
「し、侵入者だ!警報を鳴らせ!!」
ビーッビーッビーッビーッビーッ!!
ホールのあちこちから白衣を着た研究員らしき人達の悲鳴と鳴り響く警報が反響して何重にもって聞こえてくる。
(成功した、ここはおそらく真っ当な研究機関の方だろう)
施錠を繰り返せば表と裏の空間を行き来できるのか。
ならば話は簡単だ、佰仟達をここまで連れてこなければ。
俺は騒音と人を掻き分け光の速度で、この施設の外へ向かう。
--------------
「みんなっ!!」
「「「「ナナシっ(さんっ)!!」」」
外にはアイスメリア、佰仟、エレメント、殺、しゃん、の五人が既に集まっていた。
「とりあえず色々と話はあるけど急ごう!」
俺達は研究施設に突入する。
--------------
喧騒の研究所を兵士達を蹴散らしながら駆け抜け、扉の前へ俺達はたどり着く。
そして鍵を使い、異空間に突入した。
「何なのにゃ…ここは…」
「何か……嫌な雰囲気……」
「とりあえずしらみ潰しにあたってみるしかないであります」
「そうだな、閃光騎士の救出を優先に幹部連中を叩きルールの連れてくる王国騎士達を待つ」
「そして研究所の裏の顔を白日に晒す証拠を揃える」
俺達は一度立ち止まり、無数の扉の前でやる事を話し合った。
「そうだな、出来たらの話だろうけど」
「「!!」」
すると突然暗闇の中から一人の青年が現れる。
背の高いスラッとした青い髪の青年、見た感じ10代か20代前半だろうか。
「あんたがナナシとその連れか、悪いけどここまで侵入されたからには生かしておかない、まぁ元々殺すつもりだけどな」
そう言って青髪の青年はナイフを取り出し、頭上空中で一回転させこちらに投擲した。
ヒュッッ!
その瞬間、ナイフは増殖した。
こちらに刃を向けて飛ぶナイフは増殖し、通路を塞ぐ。
比喩でも何でもなく、まるで刃つきの壁が迫ってくるように。
「にゃ!?」
それはいつの間にか後ろの通路からも迫ってきていた。
俺達はまるで『無限』に飛来するナイフ群に挟まれる。
「俺の名前は『インフィニティ』、無限の名を冠する命名研究機関の戦闘幹部の一人だ。地獄までその名前の恐ろしさ、持っていけ」
ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザッッッッッッッッッッッッ!!
バァンバァンバァンッッッッ!!
カランカランカランカランカランカランカランカランッッ……
「大仰な自己紹介までさせて悪いが、数を減らせる俺にとっては何の意味もないな、無限遣い」
飛来する無限とも思えるナイフはその数量を極限まで減らされ、残ったナイフは数発の銃弾により撃ち落とされた。
「そう言えばお前がいたんだな、数字遣いの傭兵「一十佰仟」」
「皆、先に行っていろ。こいつは片付けといてやろう」
俺達は顔を示し合わせ、無言で頷き合い走り出す。
「頼んだ、佰仟!」
「ふっ、他愛もない」
「やってみろ、数字が無限に勝てると思うんならな」
研究所との決戦。
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