名無しの最強異世界性活

司真 緋水銀

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第二章 命名研究機関との戦い

第六十七話 新たな旅

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「みんな、おはよう」
「おはようじゃないっすよ…もうお昼刻っすよ?どれだけしてたんすか…」

俺とリーフはほぼ不眠で朝を迎えた後、みんなにもう平気だと伝えて心配かけた事と気を遣ってくれた事のお礼をしに城下の宿へ来ていた。
俺が朝の挨拶をすると古心から至極真っ当な突っ込みが飛んできた。

「…お姉ちゃん、おはよう」
「あぁ、おはよう」
「にゃ、昨夜はお楽しみでしたかなぁ?」
「う、うむ…凄かった…」
「いーないーなーリーさん!今日は私っすよね!?」
「違うであります、順序的に私の番であります」
「なんでキララなのよ!アタシは最近してないんだからアタシでしょ!」
「ん…ふぁぁ…騒がしいでごさいます……まだ眠いでございますぅ…お詫びにお水を二十杯ほど頂いてもよろしいですか…?」
「何のお詫びよ!それに飲みすぎでしょ!」

女子達はワイワイと騒ぎたてる。
一緒にお祭りに行ってすっかり皆仲良くなったようだ。

「佰仟は?」
「さぁ?お祭りの後は見てないわよ?一人で別室でも取ったんじゃない?気にしてなかったからわからないわよ」

佰仟……本人は気にしてないだろうけど皆からの扱いが雑すぎる…。
仕方ない、ナナの姿で迎えに行ってあげよう。
皆集まってこれからの事話したいし。

俺はスマホで連絡をとって佰仟を迎えに行った。

--------------

<アウクストラ城.貴賓室>

佰仟を連れ、城の客室には全員が集まる。
俺、アイスメリア、リーフレイン、エレメント、一十佰仟、古心、殺、しゃんつぉーね、ルール。

「それでせんぱい、これからどうするんすか?」

まず古心が切り出す。
色々とやりたい事はある、まずはそれを話し合ってみよう。

「そうだな…一番考えなきゃいけないのは…やっぱり願叶の事かな…」

願叶(キラキラ)…願いを叶える少女。
研究所から無事救い出し、現在はこの国の大聖堂で治療を受けている。
というのも……未だにキラキラの意識は戻らないのだ。
恐らく【人心掌握】…テアの能力によるものだと思うんだけど…テア自信は身柄を拘束された後も黙秘を貫いているらしい。
その『心操術』というカテゴリーに分類されているテアの能力の解除は能力者本人でなければ非常に難しいらしく…手が出せないらしい。
テアの記憶を読んだ俺も知っている、テアはキラキラには通常とは異なる手段で無理に操っていた。
それのせいでもあるのだろう。

「何とかして普通に戻してやれないだろうか…」
「しかし旦那様…仮に元に戻ったとしても…少女の拠り所であったマチレス達巨人は…」
「……うん、もういないんだよね…」
「その現実に…あの幼い少女は耐えられるだろうか…」

……それはわからない。
しかし、今のままでいいはずはないんだ。
名前を悪用しようとするやつらの謀略、そんな者達に巻き込まれてこれから先眠ったままなんていいわけない。
俺は少女を救いたい、そして、誰もその名前の能力なんか使わせない居場所をつくってやりたい。

「せんぱい…」
「…だとするならば、まずはその大聖堂の情報管理を徹底して守るべきだろう。命名研究機関すらその少女の居場所を掴んでいた、他にも知っている者達がいないとも限らない。それを狙う者達がいないとも…な」
「その件は心配無用だわだわ、情報統制は既に行われているし…『名賢人』様達に連絡をとって『八銘傑』をこの地に向かわせた。今後は彼らが護衛するそうよ」

『名賢人』に『八銘傑』?
知らないワードが出てきたけど…何だろう?

「この世界の名を管理する…賢人と呼ばれるれる方々よ。世界中のありとあらゆる名前…能力を全て記憶し、各国に名前に関する統治機構を置いて危険因子である名による反乱を未然に防いだりする…簡単に言えば名前における全ての事柄を管理する最終決定者、世界最高の頭脳を持った十二人の権力者達よ。各国の王達もよく助言を求めたりするわ」

なるほど……元老院とかそんな感じの人達か。
という事は『八銘傑』ってのはその人達直属の凄く強い人達って感じかな?

「その通りっすよせんぱい。一人一人が『唯一無二の能力』の持ち主らしい最強戦闘部隊らしいっす」

そうなのか…そんな人達が実は悪人なんて考えづらいし、それなら守りに関しては任せても平気そうだ。
じゃあ問題はその『心操術』とかの解除方法か…。
テア自身に解除させるのが一番早いけど…テアはあの場で死んでもいいと考えていたんだ。
下手に交渉したりすると更に複雑な能力をかけたり、最悪…自害して解除方法を無くすなんて事をしないとも限らない。
テア自身とはもう一度話してみたいけど…まずは保険として『心操術』を解除できる第二の方法を見つけてからの方がいい。

命名権を使っても俺の今の能力じゃ無理そうだな…治療の能力は再生のアイスメリアの能力だけだし……不思議ちゃんの能力は失敗した時に何が起こるかわからない。
どこかにアテもなくそんな事のできそうな名前の能力の持ち主を探すしかないのか………。

治療…………ん?そういえば。

そうだ……色々バタバタしてて失念していた。
もう1つ…俺の旅の目的というか、心配事があった事を。

今も無事でいるだろうか、確かめたい。
アテも無く旅をするんなら彼女に会いに行く道中に探すのでも構わないだろう。
そういえば彼女は…『エルフや妖精さん達と仲良くなった』って言っていた。
アイやリーフは彼女を知っているだろうか。

「アイ、リーフ。聞きたい事があるんだけど、ヒュミ……球体大陸の緑色の髪をした王女の事を何か知ってるか?エルフと仲が良いらしいんだけど…」
「…ヒュミ?球体大陸は聞いた事はあるけど…あたしは知らないわ」
「すまない旦那様…私もそこまで詳しくは…エルフと言っても世界中の森にエルフの国は存在する。全ての情報を共有しているわけでは…」

うーん、そっか…。
ヒュミ自身も各地を旅してるみたいだし…もうあの島にはいないかもしれないし…会うのは難しいか。

……そうだ。
ヒュミに関してはもう一つ情報源があった。

「殺は何か知らないか?」
「…?何故私に聞くでありますか?」

ヒュミを殺しに来た男達。
スーツの男と銃兄弟…スーツの男は知らないけど銃兄弟は確か『暗殺ギルド』の一員と言っていた。
殺は暗殺ギルドの頭領……なら、ヒュミを殺そうとしている依頼者…そしてその依頼内容を把握しているかもしれない。
俺は皆に事情を話した。

「……確かに【犬且ライフル】【リボルバー】は私の部下でありますが…その依頼内容は知らないであります。仮に知っていたとしてもギルド以外の人間に依頼内容や依頼人の情報を明かす事は絶対にしないであります」
「ちょっときららん、そんな事言ってる場合じゃないでしょ」
「き、きららんなんて呼ぶなであります!…それに暗殺ギルドは正規のギルドとは違うであります。正規のギルドであれば依頼者が直接ギルドに依頼するものでありますが…闇ギルドと呼ばれるギルドの依頼任務は必ず『仲介屋』を通すのであります。私達はその依頼の出所を知る必要はなく…ただ依頼を達成するだけの存在…つまり、依頼人や標的について全く知らされないであります」
「ならば、その部下もその王女の事について詳細は知らないという事か」
「その通りであります。そもそもがギルド員自体が顔を合わせる事がほとんど無いであります、拠点となる隠れ家は存在するでありますが…それぞれが顔や素性を隠しているため集まった事など無いに等しいであります。頭領というのも名ばかりで仲介屋がその実績から勝手につけた称号でありますので」

ならあのスーツ男はまさに仲介屋という事か。
じゃあその仲介屋とやらを探ればいいのか…しかし用心深そうだから簡単に見つかるかどうか…だけど、考えてても仕方ない。

「ねぇナナシ、なら一度あたし達の里に来てみない?もしかしたら知ってる人がいるかも」
「…エルフの里か」

情報源が限られている以上、確かにそこを順に回ってみるのが一番早いかな。

「それよりも私と知っている限りの仲介屋を潰しながら聞いた方が早いであります、私と一緒に来るであります」

うーん、確かに…それも手かもしれない。

「いや、そんなのよりその球体大陸に行った方がいいんじゃないっすか?みんなはそっちをあたってせんぱいは私と一緒に球体大陸に冒険に行きましょうよ」
「あら、ならならあたくしが御父様に言って通告証と紹介状を書くわよ」

ふむ、それもありかな…ヒュミの知り合いに会えるかもだし。

「ちょっと!ナナシはあたし達と行くのよ!」「その通りだ、旦那様。是非里へお越しください」「私も久々にお邪魔したいにゃ」

「私と行くであります」「確かにそれが一番早そうだ、仲介屋なら俺も何人か知っている。ナナシさん行きましょう」

「そっちはそっちでやればいいじゃないっすか!王道ルートを行った方が絶対早いっすよ!私とっす!」「球体大陸ならば途中の道のりに人魚村もあるでございますぅ…ナナシさん、人魚村にもお越しくださいでございます」

ギャーギャーッ!

皆仲良いなぁ。
そうだ、女神に聞くのもいいかも。
あの場所に俺を送ったのは女神だし、話を聞いてみようか。
俺はスマホ女神に聞いてみた。

『……ふーんだ、知りません。モテモテですね、ナナシ様は』
「何怒ってるんだ…」

うーん、新たな旅は色々前途多難かもしれない。












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