一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

文字の大きさ
37 / 207
序章第二節 石原鳴月維、身辺警備開始

三十四.フエドリ

しおりを挟む

 俺は寝ているシューズの頬を軽く叩いた。

「シューズ、起きろ。どうやら面倒な事になったらしい」
「Zzz…………ふぇ? あ、おはよーイシハラ君」
「おはよう」

 今はもう夜だがそんな事はどうでもいい。なんか飯食ってたらシューズは寝てたしムセン達は消えるし普通じゃない事が起こっていたみたいだ。

 夜逃げしたのかと思ったがムセン達が異世界で借金しているのを見た事がないし、飯に夢中だったとはいえ周囲に借金の取立ての気配は全くしなかった。つまり夜逃げではないという事だ。

 夜逃げでないとするなら次に考えられるのは……食後の散歩だがムセン達の分の夕飯は手をつけられず残っている。つまり散歩でもない。

 戦闘向きではない三人だけが突如こんな場所で消える理由なんて一つ。魔物か何かに連れ去られたと考えるのが自然だろう。

「そーなの? じゃあ助けに行こうよ」
「斯(か)くあるべき」
「でも何処にいったかわかるの? 霧が濃くてよく見えないよー」
「これを使えばいい」

 直前に聞いておいて良かった、『お気に入り登録』。
 お互いにお気に入り登録していれば相手の位置がわかるとか何とかカントカ。俺とムセンはまだ互いにお気に入り登録をしている。
 つまり簡単に場所がわかるという事だな。

 俺はステータスオープンをして適当にいじってみた。ふむ、ムセンの個人情報によればムセンは今ブッコロリ森の中にいるらしい。
 他の二人がどこかはわからないがたぶん一緒にいるだろう。

「森の中に入ったみたいだ、行くぞシューズ」

--------------
----------
-------

<ブッコロリ森林>

 森の中はとても暗くたたでさえ霧が深いせいで足元さえよく見えない。とても静かで風にそよぐ葉の音と俺達の足音しか聞こえない。
 シューズと俺は手を繋ぎながら森の奥へと歩を進めた。

「ねぇねぇイシハラ君、一つ聞いてもいいかな?」
「仕方あるまい」
「イシハラ君はさー、どうしてアタシとの結婚を受け入れてくれたの?」
「受け入れていない、時が経ったらと言ったんだ」
「でも普通だったら断るよー、アタシはどうでもいい人にプロポーズされたら何年後でも断るもん」
「そんなの付き合ってみないとわからないだろう」
「わかるよー、アタシは最初にイシハラ君見た時に感じたもん。『あ、この人と結婚するんだ。したい』って」
「お前はそうかもしれんが俺は違う。時間を共有しないとわからない事もある。それを確認してから決める」
「うーん、そっかぁ。そうかもしれないね、今のところアタシと結婚してもいい?」
「構わぬ」
「やったー♪ ふんふーん♪」
「そもそも何でそんなに結婚にこだわるんだお前」
「……うーん、少し長くなるけどいいかなぁ?」
「駄目だ」
「わかったー、いつかイシハラ君の都合のいい時に話していい?」
「ならばよし」
「うん、待ってるよー」

 そもそも今そんな話をしてる場合でもないしな。

 鬱蒼(うっそう)と生える草葉を掻き分けるような音が周囲に響き始めた。魔物達のお出ましのようだ。

「雑魚がいっぱい来たぞ、仕方ない。やるか」
「うん、やろー」

--------------
-----------
-------

「すごいねーイシハラ君、魔物が全部どっか吹き飛んでいったよー」

 俺は以前魔物を掃討した技術『交通整理』で魔物を全部吹き飛ばした。面倒な雑魚にはこれに限る。もうずっとこうして誘導してれば魔物とかこの森からいなくなるんじゃないか?
 疲れるからやんないけど。

「イシハラ君、あそこに洞窟みたいなのがあるよ?」
「反応はそこだな、行くとするか」

--------------
----------
-------

<洞窟内部>

「何にも見えないねー」
「これは灯りがないと無理だな、辺りに何があるかもわからん」

俺は手探りで岩肌を触ってみる。

サッサッ……むにゅ、もみもみ。

「柔らかい、魔物か?」
「イシハラ君、それアタシの胸だよー」
「そうか、すまん」
「イシハラ君にならいーよ? もっと触る?」
「また今度だ」
「わかったー」

 そうだ、スマホのライトを使えばいいんじゃないか。俺はポケットの中を漁る。

 ん? スマホがない? あ、そうか。スマホは俺の『技術』とやらになってなくなったんだっけ。代わりにポケットの中には【警笛】があった。そういえば警備員の格好のまま異世界に召喚されたから持っていたんだっけ。アマクダリに制服を渡す時に外してそのまま忘れていた。

『異界アイテム【警笛】を使用しますか?』

 目の前にはまた何か文字が出た。

ピーーーーーーーーッ!!

 いい加減にしろ、俺の持ち物の使用の可否を何故問われなきゃならない。イライラした俺は景気づけに警笛を使用した。

「わっ、ビックリしたよー。何の音?」

 暗闇で何も見えてないシューズが驚く。

 すると突然、口に咥えた警笛が煙になったような気がして辺りに充満してるような気がした。気がしたと言うのは暗闇で何も見えないからだ。何かランプから出てきた魔法の妖精が現れたような効果音も聞こえた気がした。気がしたと言うのは暗闇で何も見えないからだ。大事な事なので二回言った。


「初めまして御主人様っ、ぴぃは『フエドリ』のぴぃだよ。よろしくぴぃ」

 何だ? 誰かの甲高い声と鳥が羽ばたいてるような音が聞こえるが暗くて何も見えん。

「ん? 誰の声ー? イシハラ君?」
「違う、お前のモノマネの声じゃないのか? 何故今モノマネをする」
「違うよー、アタシじゃないよー」
「じゃあ誰だ? 魔物か?」

「魔物じゃないっぴぃ! わたしは御主人様の精霊だぴぃ、御主人様のアイテムから産み出された御主人様の精霊だぴぃ!」

 なんかピーピーうるさい。何も見えないし、何の話をしてるかもわからん。

「イシハラ君、誰かが何か言ってるよ?」
「きっと魔物だろう、見えないが適当に剣でも振ってみるか」

「や、やめてっぴぃ! 話を聞いてほしいっぴぃ!」

「イシハラ君、一回戻る? 木でたいまつでも作ろっか?」
「名案、そうすべき」
「じゃあ戻ろー」

 こうして俺達は一旦引き返す事にした。

「置いていかないでほしいっぴぃ! お二人とも話を聞いてほしいっぴぃ!」



しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...