一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

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序章第二節 石原鳴月維、身辺警備開始

三十六.Newサイボーグイシハラ

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 洞窟内部では蜘蛛との格闘だった。
 あるのは魔物に侵略された空虚な暗闇と鬱陶しく体に絡まる糸だけ。

 俺、シューズ、焼き鳥は蜘蛛を排除しながらどんどん奥へと進む。

「わ、今度は太もものつけねまで蜘蛛の巣絡まっちゃったよー……もうベトベトー……イシハラくん、周りにもう魔物とかいないかなぁ?」
「いないようだぞ」
「そっかぁ、鳥さんはオス? メス?」
「ぴ? ぴぃはメスだっぴよ。でもどうして急にそんな事聞くぴかシューズ様?」
「うん、じゃあいいよねー」

 焼き鳥の質問に答えはせず、納得した様子のシューズはいきなり服を脱ぎ始めた。

「ぴっ!? なにしてるぴか!? シューズ様っ!?」
「だってベトベトで気持ち悪いんだもん、イシハラくん以外の男の人には見せないから確認したんだよー。さすがに全部脱ぐのはー……まだ恥ずかしいけど、下着姿くらいだったらイシハラくんにならいつでも見せるから言ってね?」
「あいまいみー」

【属性技術『水』 二級技術『からだ洗いシャワー』】

 シューズは魔法を使い、水を出して身体に打たせ始める。
 何をするかと思ったが、水浴びするために脱いだだけか。しかしいつでも火が出せたりシャワーできたり、こいつは便利屋でもやった方がいいんじゃないか。

「これくらいは試験に受かれば誰でも簡単にとれるよーあたしは10歳くらいの時にお姉ちゃんに取らされたんだー」
「シューズ様にはお姉さんがいるぴか、厳しかったっぴか?」
「ううん、厳しかったのは家柄の方でお姉ちゃんは優しかったよー」
「貴族だとか言ってたな、つまりは軍事に関わる家柄でそれを継ぐために色々と武芸を習わされたというわけか」
「うん、でもどれも簡単だったから別に良かったんだけどねー」
「鳥、属性技術(まほう)とやらはこの世界ではそんなに簡単に出せるもんなのか?」
「ぴ……そんな事はないと思うぴ……厳しい訓練以外にも才能とか素質が無いと試験には通らないっぴよ……」

 成程、つまりシューズは才能に溢れた子供だったわけだ。貴族の血とかなんとかかんとかそういったものが関係してるのだろう、まったく興味ないけど。
 だが、スズキさんの話では問題児だったから追放されたとかなんとか。最近出会ったばかりだが、天然で言動がおかしい事以外はとてもそんな風には見えないのにな。
 まぁそこらへんはプライバシーに関わるから敢えて聞くまい。誰にだって話したくないことはあるだろう。
 
 小さな体ながら、決して貧相ではなく程良く肉付きのいい胸と下半身を存分に濡らしながらシューズはこちらを見る。

「……イシハラくん、背中洗ってほしいんだけどいいかなー……?」
「無問題(モウマンタイ)」
 
 何故かシューズは俺に身体を洗わせる、そんくらい自分でやれと思ったがーー別におっさんの体を洗うわけじゃないし別にいいか、と引き受けた。
 スポンジなどないので、素手でシューズの身体を洗う。石鹸など使ってないのにシューズからは甘い花みたいな香りが漂う。

「んっ……あっ……」
「悩ましげな声を出すんじゃない、下着が邪魔だから一旦外すぞ?」
「んんっ……だっ……だめだよ……恥ずかしいもん……」
「背中を洗うだけで見るわけじゃない、嫌なら自分でやれ」
「あっ……待って…………………はい」

 シューズは自分で留め金を外し、胸が零れ落ちるのを両手で押さえつつ背中を露(あらわ)にする。
 ところでファンタジー世界の女性下着が現代風なのはおかしいと思うという意見がある、確かにその世界観をぶち壊すのであれば、なにもかもを現代世界の産業技術と同等に扱うのは違うのかもしれない。
 だが、それはあくまで基本(ベース)を地球としたうえでの考え方であってファンタジー世界にはファンタジー世界の歴史があるのではないだろうか。もしかしたらそのファンタジーには潤沢に絹と糸が流通しているのかもしれないし、もしかしたら素材がそもそも絹や糸じゃないかもしれない。土や葉っぱから機械を作ることだってできる世界かもしれないし人間の髪から下着をつくることだってできるかもしれないのだ。

「ーーっ!? い……イシハラくっ……んっ! 手がっお尻のなかにっ……んんっ!」

 世界は自由であり、阻むものなど何もない。あるものはあるのだからなにが悪い、理論づけて世界や表現を否定したってつまらないだけだ。人の夢は終わらねぇ、と黒髭の海賊も言っていたしな。
 
 つまり、ファンタジー世界に現代風女性下着は存在するのだ。

「もういいだろう、綺麗になったぞ」
「~~~っ……はぁ……はぁ……」

 シューズは何故かその場にへたりこむ、まったく、これから戦闘になるかもしれないのに大丈夫かこいつ。

「……ぴ、シューズ様も御主人の前では形無しだっぴね……恐ろしい人だっぴ……」

 体を拭き、服を着せるとまたもやどこからか蜘蛛集団が現れる。また糸が絡まっただの水浴びだののイベントが発生する方が面倒なので俺は交通誘導を駆使して破竹の勢いで進む。

「どうやら反応はこの先だ」

 鬱陶しいくらいの蜘蛛集団が道を塞ぐ、イライラした俺は洞窟が壊れてもいいやという気概で全ての蜘蛛を吹っ飛ばした。
 
ドォンッ!! ガラガラガラ……

 と、蜘蛛をまとめて壁に叩きつけると岩壁が音を立てながら崩れ落ち、広い空間がその姿を現す。ムセンの反応はここだ。あちこちに蜘蛛の巣と創り手である蜘蛛がいる。
 俺は足を踏み入れる前に焼き鳥に雑魚蜘蛛を超音波で一網打尽にするよう指示を出した。

「ぴぃっ!」

 俺には聞こえないが、蜘蛛達がバタバタとひっくり返るのを見るに技術を使ったのだろう。未だ数匹が奥の方に残ってはいるが上々だ、三人揃って空間に突入する。

 土煙を通り抜け、視界に現れたのはこれまで以上に馬鹿でかい蜘蛛の巣にアホみたいにでかい蜘蛛ーー女王蜘蛛だろう。それに捕らわれたムセン。繭に包まれ気を失っている様子のエミリとスズキさんだった。
 とりあえず無事な様子のムセンに声をかけてみた。

「お、いたぞ三人とも。元気か? ムセン」
「「……え? きゃあああああああっ!!?」」

 声をかけると、何故かムセンとデカ蜘蛛が揃って叫び声を上げた。助けに来たのになに驚いてんだムセンは。デカ蜘蛛も魔物のくせに俺を見て驚いてるし、一体なんなんだまったく。

「イ……イシハラさんっ……!? な……なんで目から光を発射してるんですか!? まるで改造人間ですよ!? 少し見ない間にどんな進化を遂げたらそんな風になるんですかっ!?」

 あぁ、そういえば夜眼(ライト)モードにしたまんまだった。だから驚いてたのか。
 
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