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二章第一節 一流警備兵イシハラナツイ、借金返済の旅
百一.24
しおりを挟む「………~という事ですのよ、前魔王討伐から浮き彫りになった『職業の差別化』……そして引き起こされたその『職業大戦』をきっかけにして明確に職業における【善と悪】は形と成り、わたくし達にまで影響を及ぼしましたの。そうしてできたのが【悪職】、読んで字の如く『民に害を及ぼす悪辣な職業』ですわ。あなた方もその一つを目撃したでしょう? 魔王軍幹部の一人『テロリズム』……その職業は異界より持ち込まれた【テロリスト】と呼ばれる職業なのですわ」
「………」
ムセンとですわ騎士は火を囲み飯を食べながら世界観の説明談義をしている。ムセンは真剣な顔でですわ騎士の話を聞いている。
「………そしてボクはいつの間にか『死霊術師』になってたネ……でも、別に嫌じゃないアル。ボクは新たに得たこの力で絶対に『あの子』の恨みを晴らすって誓ったから」
「…………」
キョンシー衣装の骨っ娘はだもん騎士に自身の生い立ちやら何やらを話している。だもん騎士は難しそうなよくわからない表情で眼を瞑(つむ)りながら真剣に話を聞いている。
一方、真剣に飯を食べていた俺は満腹になった。
「ぴぃ、御主人様。これからどうするっぴ?」
「お前がまだ動けるならさっさと町に向かおう、そっちで休んだ方が疲れも癒えるだろう」
「ぴぃっ! ぴぃはまだ全然大丈夫だっぴ!」
「無理はするなよ」
歩いて半日ならでぶ鳥の脚なら半分以下の時間で着くだろう。どうせ休息を取るなら町でとった方がいいだろうしな。
「イシハラナツイ! 貴方は話をちゃんと聞いてますの!?」
「聞いてない」
「……ナツイ。リィ君も旅に同行させようと思うのだが……どうだろうか?」
突然、だもん騎士がわけのわからない事を言った。
「何故だ?」
「……理由は色々あるが……保護という形だ。この場所は許可もなく勝手に住み着いて良い場所ではない、騎士として治安維持に努めるのは当然の業務だ。シュヴァルトハイムの兵士に引き渡す、それまでの間だ」
なるほど、騎士は警察みたいなものだからその仕事をしなければならないというのは一理あるといえばある。業務なら仕方ない。
「えぇっ!? けっ……結構ネ! 貴女も話を聞いてくれてないのっ!? ボクにはここでやる事がっ……!」
「……~……だ」
「!」
骨っ娘が拒否しようとしたところ、だもん騎士が骨っ娘に耳打ちして何か言った。それを聞いた骨っ娘は黙って何かを考え始めた。
「……………」
「勿論、強制はしないが私はこの事をこちらの騎士に報告する。それよりはずっといいと思うが……」
「………………………わかったネ。だったらついていくアル……」
何の密談なのか全然興味ないけどとりあえず話は済んだようだ。
「そちらの話は終わりましたの? こちらも終わりましたわ。行けるのでしたら少しでも歩を進めましょう」
ですわ騎士とムセンも設定掘り下げの話は済んだようだ。
「イシハラさん、色々とこの世界と職業の事がわかってきました。イシハラさんにも是非知っておいてほしいのですが……」
「No-thank-you」
「ですよね……言うと思ってました……」
そんな事を知る必要もないし興味ないからな。
「ぴぃ! 準備はできたっぴ!! ムキリョクの町へ向かうっぴよ!」
俺達は町へと歩を進める。新しく一行に加わった死霊術士である骨っ娘と共に。
次の町で最大級の波乱が待ち受けているとも知らずに………
「……なんて、そんなわけないだろう。この物語は日記じゃない、物語は現在進行形(リアルタイム)で進んでいる。この先何が待ち受けているかなんて知るわけない」
「ひぃぃ……何かわけのわからない事を一人で大きな声で喋ってるアル……不気味すぎるネあの人……」
「……リィさん……貴女も同じ事をしていましたけど……」
「ボクはオトモダチと喋ってるアル! あの人と一緒にしないで!」
「……ですよね……あの方のあれはいつもの事なので慣れてくださいとしか言えません……」
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