一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

文字の大きさ
134 / 207
二章第一節 一流警備兵イシハラナツイ、借金返済の旅

百.設定を掘り下げてみよう

しおりを挟む

「……本当に面目ない……まさか護衛する側の私達が敵の術中にはまるなんて……」
「……えぇ……言葉もありませんことよ……」

 骨っ娘に操られていただもん騎士とですわ騎士は正気に戻り、俺達に謝罪をした。

「特にナツイ……ごめんなさい……私は貴方に敵対心があったわけじゃない……ただ……いつか貴方とは全力で戦ってみたいって……そういう気持ちがあったから…………」

 だもん騎士は珍しくしおらしく俺に頭を下げた。

「別に気にしてない、気にするな」

 いつか全力で戦ってみたいって要望は勿論却下だが。俺は食事と睡眠と通勤(帰宅時)にしか全力は出さない。

「それより飯にしよう」
「イシハラさんっ……それよりもその子はどうするのですか? 怯えながらぴぃさんに隠れていますけど……というかこんな暗闇の墓地のど真ん中で食事をしようなんて度胸があるのは世界中であなた一人だけですよ! 別の場所にしましょう!」

 ムセンが食事の却下をした。
 ふむ、確かに昨今はコンプライアンス的に問題があるような行為はすぐに写真におさめられてSNSにアップされてネットに出回ってしまうからな。
 『お墓でご飯食べてみた』、なんて炎上しかねない。

 仕方あるまい、さっさと墓地を抜けよう。

「おい、骨っ娘。町へ案内しろ」
「は、はぃぃぃぃ! しますアル! だから許してアル! その滅茶苦茶な精神をボクに見せないで!」
「………負の力に慣れている死霊術師がこんなに怯えるのを初めて見ましたわ……貴方、一体どんな精神をしているんですの……」

 俺達は骨っ娘に墓地を案内させながらご飯に向けて歩きだした。

----------------------------

<地下墓地.通路>

 骨っ娘の案内で俺達は地下墓地の通路を進む。

 通路には石壁に埋め込まれているランタンの灯りがあり、真夜中の外よりは多少明るいがそこはやはり手入れのされていない墓地。
 ジメジメしているし、通り抜ける風が冷たく薄暗い通路に不気味さの拍車をかけている。
 まるで遺跡のような地下墓地は荒れ果ててはいたが広大で荷馬車で通過するのは充分な広さだ。
 余談だが荷車をどうやって地下へ運んだかというと、ですわ騎士の木を操る『技術』だ。


 それでどうやって荷車を地下へ運搬したんだという質問は受け付けない。ファンタジー世界の事なんだから魔法的な力でどうとでもなるだろう、自分で想像しろ。

「ぴぃ、だけど灯りがついているのはなんでっぴ?」
「ボクはここに住んでるアル、ここのオトモダチは家族と会えなくて寂しそうだったから」
「オトモダチ達って……何でしょうか……?」

 ムセンが骨っ娘に恐る恐る質問をした。

「オトモダチの幽霊ネ、ほら、今もみんなの後ろをぞろぞろついてきてる」
「「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(ぴぃぃぃぃっ)!!」」」

 ムセンと騎士達と焼き鳥が叫んだ。
 どうやら骨っ娘は見えるちゃんらしい、死霊術師なんだから当たり前だけと。

「何故幽霊がオトモダチなんだ?」
「ひっ……ボ……ボクは生まれつき霊と意思疎通できるアル……です……霊には悪い霊もいるけど…優しい人達がいっぱいいて……」
「ここの霊もか?」
「はぃ……ここのオトモダチはかつての『職業大戦』とかで無念の死を遂げた人達が多いアル……です……自分の職業のランクをあげられずに自分に恨みを抱いて死んでいった人達ネです……真面目な人達なのです……」
「そうか」

 なんか職業大戦だの職業のランクだの伏線みたいなワードが多く出てきてわけがわからないが、ここはあえての余裕でスルー。
 興味ないし、そんな世界観を掘り下げている暇などない。

 余計な事に首を突っ込むのが生き甲斐のムセンも幽霊に怯えてか耳を塞いでいるから突っ込みも飛んでこない。
 なんて素晴らしい、これでサブクエストも起きないだろう。

 と、いうわけで俺は余計な事を聞かないためにそれ以降黙々と歩いた。ムセン達も怯えて会話をしなかったから沈黙の一行はすぐに地下墓地の出口へと辿り着いた。

----------------------------

<慰霊墓地.出口>

「あとは……ここを真っ直ぐアル……です……半日歩けば『ムキリョクの町』に着くの……です。あ……案内はここまででよろしいなの……でしょうか……? ボクはここを離れたくないアル……ですが……」
「ふむ、案内ご苦労様。助かった、ありがとう」

 俺は骨っ娘に礼を言った。
 さて、もう墓地は抜けたから食事にできるな。飯にしよう。

「も……もう幽霊はいないのか……? 良かった……ところで、だ。リィ君と言ったか? 君は何故この墓地に住んでいるのだ? なにやらナツイに話があったようだが……」

 墓地を抜け、気を取り直しただもん騎士が骨っ娘にたずねた。
 OIOI、骨っ娘の事情に触れるんじゃない。せっかく余計なイベントが起きないようにしてきたのにバカかこいつ。
 事情なんて聞いたら『新たなサブクエストが発生しました』的なアナウンスが出てきてしまうだろう。

「そうですわね、民草を救うのは騎士たる者の務め……何故死霊術師という【悪職】に貴女が陥ったのか……何やら理由がありそうですわ。食事にしながら聞いてあげてもいいですわよ」

 だもん騎士に続き、ですわ騎士もバカな事を言った。

「ツリーさん、そういえば異界に来てからこれまで【悪職】というのを話の節々に聞いてきましたが……一体何なのでしょうか? 死霊術師というのはそれにあたるのですか?」

 ムセンがお馴染みの余計な事をですわ騎士に聞いた。

「えぇ、そうですわよ。異界人であるあなた方には説明が難しいのですけど……」
「大まかな説明はアマクダリさんやジャンヌさんから聞きましたが確かにあまり理解できてはいません……だけど、全て知りたいです。この世界における【職業】について……それがシューズさんを救う事にもなると……そんな気がするんです」

「……わかりましたわ、それらをあなた方にもわかるように教授してあげますわ。いずれ必要になる事かもしれませんから」
「いらん」
「心配する事はない、私はウルベリオン王国の騎士だ。何か事情があるのだろう? 話すといい」
「やめろ」
「……聞いてほしいネ……ボクは『ある上級貴族』に復讐がしたいのアル……そのために」
「知らん」
「イシハラさん……お話を聞くだけですから……ほらっ! とびっきり美味しい料理を創りますから!」
「ならば良し」

 まったく仕方ないな。何故、女子というものは無駄話が好きなのか。まぁしかし飯だから良しとしよう。

 こうして散りばめられていた設定を掘り下げる事にした。



しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...