一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

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二章第一節 一流警備兵イシハラナツイ、借金返済の旅

百三.ムキリョクの町

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<シュヴァルトハイム領.『ムキリョクの町』>

「着きましたわ、ここがムキリョクの町ですのよ」

 荷車が止まり、ですわ騎士が俺達に外から声をかける。どうやらようやく町に着いたようだ。

 幌を開け、久々に日の光を浴びる。
 降り立った町並みはとても牧歌的な雰囲気で非常に良い。
 辺りにはヨーロッパの町並みのような建築様式の建物が点在する中、緑々とした木々などの自然もある。村と町の中間といった感じだ、イメージ的に。RPGでいうとLV10~30くらいの時に立ち寄る町だ。

 昨今のRPGではなんか新宿みたいな都市ばっかりだが警鐘を鳴らしたい、ファンタジーにそんなのいらない。こういうのでいいんだよ。

「とても綺麗な町並みですね。………でも」
「………ええ」

 ムセンとですわ騎士も荷車から降り、町を見渡している。二人ともが町の雰囲気を感じてすぐに顔を曇らせた。
 焼き鳥とだもん騎士も同じような顔をしている。
 骨っ娘は荷車から降りてこない、どうやらまだ寝ているようだ。

「人が一人もいない……?」

 だもん騎士がそう呟く。

 そう、見渡す限りの景色に町民が誰もいない。無人。
 広場もあるし時間的にガキとかが遊んでいてもおかしくないのに誰もいない。
 町の入り口に立っている町の名前を教える役目の町人もいない。

「どうなってますの……? まさか……魔物の襲撃にでもあったのですの?」
「争いの跡は何もない、綺麗な町並みだ。それは無いとは思いたいが……」
「確かにそうですね……ではこの町に一体何が……?」
「ぴぃ……御主人様は何かわからないっぴか?」

 焼き鳥が俺に問う。俺にわかるわけないだろうに。

 あ、そうだ。

【『異界マップ』+『周囲確認術』】

 これでマップと周囲に存在する人間の位置と数がわかるんだった。

 俺はマップを確認し周囲に人がいないか確認する。するとどうだろう、人間を示す青い人型アイコンがそこかしこに確認できるではないか。

「なんだ、そこらじゅうにいるじゃないか」
「……え? イシハラさん……それってどういう……まさか……またお化けとかそういった話ですか……!?」

 ムセンが何かを勘違いして恐る恐る聞いてくる。

「んなわけあるかい、家の中だ」

 そう、青い人型アイコンはどれもこれも建物に被さっている。
 屋根の上にいるわけないから全員家の中にいるということだろう。

「あ……そ、そうですよねっ!……けど……まだ時間的には日中だというのに皆さん家の中にいるのでしょうか?」

 ふむ、確かに誰一人外にいないというのは不自然だがあり得ないという話ではないな。世界中が魔物の脅威にさらされているのだから家から出ないようにするという選択をするのは無きにしもあらず。

「しかし兵士の一人も外にいないというのはおかしいですわよ」
「そうだな……シャルロット。警戒しながらあたりを見回ってみよう。ナツイとアイコムとぴぃ君はここにいてリィ君を見ていてくれ」


 俺は近くにあった武器屋っぽい建物の扉を開き、声をかけてみた。

「おーい、誰かいるか?」

「ナツイ!?」
「イシハラさん!?」
「何をやっているんですの!?貴方は!?」

 後ろからやかまし女子三人の声が聞こえたが無視した。
 いちいち面倒な事をするより誰かに状況を聞いた方がよっぽど早いだろうに。

「ん」

 扉を開くと薄暗い武器屋っぽい店の中に人の姿を見てとれた。

 床に。
 大柄ないかにも武器屋の店主っぽい奴が床にうつぶせで寝そべっていた。
 俺は傍に近づいて声をかけてみる。

「おい、どうしたんだ? 生きてるか?」

 そして頬をペチペチと叩いてみる、これで呼吸や反応がなかったら
救急に電話して指示を仰がねばならない。
 しかしそういえば電話が無い世界だった事を思いだし、だったら無線を使えばいいじゃない、無線といえばムセンが回復技術使えるんだから救急に電話する必要ないじゃない、と連想ゲームを繰り広げていると倒れていたオッサン店主が反応した。

「ぅ……ぅあ……は……」

 どうやら意識はあるようだ。

「イシハラさ……ど、どうされたんですか!? その方っ」
「まったく! イシハラナツイ! 無闇に動かないでくださいまし!魔物の罠ということも充分ありえるのですわよ!? いきなり建物に入るなんて貴方がもしケガをしてしまったらどうする気ですの……って一体何事ですの!?」

 建物の中にムセンとですわ騎士が入ってきた。

「倒れていた、ムセン。見たところケガはないが症状を調べてやれ」
「は…はい! わかりました!」

 ムセンは手をオッサンの体に当て技術を使っている。

「…………どこも異常はありませんね……私のこの技術『診断(ライフ・ライブラリ)』がこの世界の身体異常や病気をどこまで見極められているのかはわかりませんが……少なくとも早急な処置をしなければならないほどではないかと思います」

 ふむ、ならば何故にこのオッサンはこんなにも呻(うめ)いているのだろうか。

「やはり……魔物か何かに襲われたのではないですの?」
「おい、オッサン。元気なら何があったか話せ」

 俺はオッサンに問い詰める。
 オッサンは苦しそうにしながら息切れをしていたが、やがて面倒くさそうに俺達に答えた。

「……………は……」
「は?」
「……働きたくないんだ……いいから放っておいてくれ……」

「「………………は?」」

 珍しく、ムセンとですわ騎士が眉をひそめてオッサンを見下してキレ気味に声をあげた。






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