一級警備員の俺が異世界転生したら一流警備兵になったけど色々と勧誘されて鬱陶しい

司真 緋水銀

文字の大きさ
196 / 207
二章第三節.イシハラナツイ、〈続〉〈続〉借金返済の旅

百四十一.真・デートⅡ

しおりを挟む

〈レジスタンスアジト〉

 【職業展開】修得訓練を始めて早3日。
 案の定、ムセン達はフィールド展開に手こずっていた。未だに領域のりょの字も見えないままに既に3日が経過している。大会の予選が始まるまで残り7日、シャベリューの脚でも王都近辺までは3日かはかかると言う事でちゃんと修行する時間はもう70時間ぐらいしかないだろう。

「………だめです……全く要領を掴めません……このままでは時間が……」
「焦っても仕方ないよ、リーダーが言っていた通り……天性の才を持った奴でも5年はかかるんだ。イシハラのような規格外じゃない限り……5日やそこらで修得できるもんじゃないんだよ」

 ムセンと猫娘にアラサーが、ヤンキーと爺さんにゴボウ役者がついて指導する。俺はというと、作戦の立案やら他のレジスタンスメンバーとの面通しやらをド=ゴーンに頼まれたり色々忙しかったため、ほとんどあいつらとの修行時間など取れていなかった。

「ナっちん大人気じゃんか、リーダーもナっちん気にいってたし他のメンバーも不思議だけど面白い人って言ってたし。ナっちんいつもめっちゃ無愛想な顔してんのマジうける」
「そういうお前はここで何してるんだ? いつも変な服着てぶらぶらしてるがここはドンキじゃないんだぞ」
「変っていうなし! あーしが作った服だよ! どぅ? イケてっしょ!?」

 訓練場にいたギャルはまるで帝王が羽織っているようなモコモコ毛皮のマントみたいなのを着ている、地球で言えばドン・キホーテにいるギャルが着てるやつだ。

「ちなみに~下はかなり露出の高い服だから~………見たい? ナっちんになら見せてあげなくもないけど~見たい?」
「NO-Thank You」
「遠慮すんなし! ねぇねぇナっちん今からデートしようよ、ナっちんが来るかと思ってここで待ってたんだよね」

 話に全く脈絡性のない流石のギャル。面倒だったのでシカトしようとしたが、そうするとしつこいのがギャルというもの。俺もこいつには聞きたいことがあったので仕方なく付き合う事にする。

------------------------------------

〈コショウ古城〉

 デートと言っても作戦まで時間もないし下手にそこらの町に行くのも面倒なのでアジト上部の古城でデートにする事にした。

「うける、あーし何回も見てっしここ。むしろホームだし。でもナっちんとだったら新鮮味あって面白そうだから楽しみ」
「俺は話があるだけだ、お前も職業展開が使えるんだろ? 棒役者とアラサーができるのはギリギリ理解できるが戦闘向きじゃないお前がどうやって修得したのか不明だ。だから知りたい」
「あーしが嘘ついてるっていいたいわけ? マジだし!」
「んな事言ってない。ほぼ一般人に近いお前のその感覚を教えれば警備兵だがほぼ一般人に近いヤンキー達の展開修得に繋がるかもしれんという事だ」
「あー、なーる。ん~……あーしがこれ覚えたのいつだっけ? 確か一年前くらいにレンジスタンスに入ってジロロロんにこの技の事聞いて……」
「お前も僅か一年足らずで修得したわけか?」
「そーそー! あーしマジ天才っしょ? まぁあーしのはあんまバトルには役に立たないし……子供のころからずっと『思い描いてた職場』だったからすんなりイメージできたんだけどさー」
「思い描いてた職場?」

 ふむ、そういえば俺が職業展開した時も地球の道路を自然とイメージしていた。警備員の仕事場として一番慣れていたのが地球の舗装道路だったからだ。

「あーしが小さいころから働きたかった職場があーしのフィールドになったってこと。一回してあげよっか?」
「ふむ、見せてくれ」
「おけまるー」

     ーー【職業展開 職場開放】ーー
     『アパレルショップ【NW the SC】』

 ギャルが軽い感じで両手でVサインをつくる。片方は口を挟むように、もう片方は前に突き出してVサインを逆にする。そしてウィンクしながらアヒル口。まるで地球のギャルの決めポーズを年代関係なく全て取り入れたかのような意味のわからんものだった。
 だが、見事に景色は一変して服屋になった。普通に地球の渋谷にありそうなやつ。
 ファンタジーの世界観ぶち壊しなのでこれ以上描写はしない、あちこちから香水の匂いが漂ってきて気分が悪くなってくる。

「成程、見事に戦意もやる気も喪失する。入店した者を滅入らせる、それがこのフィールドの効果だな?」
「んな効果ねーし! あーしのフィールドは戦闘向きじゃないっつったじゃん! あーしのフィールドの特別なとこはさ、【あーしの作ったこの服を買えば持ち帰れる】ってとこ! 一人一着のみであーしがこれを展開してる間だけだけどね。出口からなら展開したままでも外に出られるから」

 ギャルはなんかとんでもない事を言った。
 戦闘系以外のフィールド展開にはなにかしら別の効果が与えられるのか、そういえば魔女のフィールドでも創造したものを食べれたり遊べたりしたな。なるほど、生活系職業の展開は味方への支援(バフ)効果があったりもするわけだ。

「OK、把握した。気分が悪いから帰る、物色してる最中に話しかけるな」
「話しかけてねーし! それ以前に服見てもねーじゃんか!」

 ギャルはフィールドを解いて景色は古城に戻る。
 なるほど、大体把握した。中々に奥が深いものだな職業展開は。だが、あいつらが職業展開を修得できる確率がこれで結構上がった。

「助かったぞギャル、礼を言う」
「ヘヘヘ、あーしこそサンキューね。サヨっち達を助けてくれたお礼まだしてなかったからさ。ナッちん、大会で傭兵のクソ共ぶっ倒してやってよ! あいつらマジむかつくから!」
「時間稼ぎのためにはある程度勝ち残らなきゃいかんからな、言われなくてもそのつもりだ」

 話の済んだ俺達はアジトに戻ることにした、古城なんかにいてもしょうがないからな。
 踵(きびす)を返したその時、後ろからギャルに名を呼ばれる。振り向くとギャルがすぐ後ろにいてーー背伸びしながら顔を近づけてきた。
 
「ーーんっ!?」

 唇を重ねた瞬間にそう驚いたのはギャルだった。自分からそうしてきた癖に驚いて後ろへ跳ね退け、顔を真っ赤にした。

「や……や……なっ……なにしてんのナッちん!?」
「こっちのセリフだ」
「ほ……ほっぺにちゅーするだけの筈だったのにっ! デート終わりにはみんなこうしてるってなんかの本で読んだし! なんで思っきし振り向くんだしっ!」
「お前が呼んだからだろう」
「あ……あーし初めてだったのに……ナっちんあーしと結婚して! 責任とれし!」
「断る」

 その後、ギャルにも付きまとわれるようになり修行の時間はますます減った。やる気あんのかこいつら。

      ~大会予選開催まで残り7日~
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

処理中です...