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二章第三節.イシハラナツイ、〈続〉〈続〉借金返済の旅
百五十.ファンタジー都市
しおりを挟むいつだったか、誰かが言っていた。
この世界に【小火器】があまり流通しない理由ーー部品調達の難しさ以外にも【異界召喚】により持ち込まれた職業を広めるのを反対している『左翼的存在』がいるからだ、と。
今ならばそいつらの気持ちが良く理解(わか)る。ファンタジーはファンタジーのままだから良いんだよ、剣と魔法、竜や精霊、たまに垣間見える少しの機械や現代文明に通ずる魔法導具。それらと地球の遂げてきた産業革命との対比がファンタジー世界の観測における醍醐味であり楽しさなのだ。
だと言うのに、ファンタジーに様々な異世界の文化を取り入れてごった煮どころか闇鍋みたいになってしまっている異世界【オルス】には警鐘を鳴らしたい。
やるならやるで未来都市だらけのファンタジー世界にするとかなら突き抜けていて逆に清々しいものを、ファンタジー特有の中世文明感に現代文明感が混ざり合っていて意味がわからない事になっているぞ、と。
なんだ【庭園技師】だの【コスプレイヤー】だの【ピヨピヨ鑑定士】って。ファンタジーのどこに使う職業なんだ。そもそもピヨピヨ鑑定士ってなんだよ。
「【ピヨピヨ鑑定士】とはピヨピヨの雄と雌を鑑定して仕分ける職業っスよ、ピヨピヨってのは家畜の一種っス」
「ひよこの事か? だが、ひよこならば翻訳技術で【ピヨピヨ=ひよこ】と変換されるはずだが」
「ひよこはひよこっス、そうじゃなくてピヨピヨっス。似た生態っスけど攻撃的なのがピヨピヨっス」
「そうか」
ひよこはひよこでいるのかよ。
面倒になったので、オルスへのクレームを全て忘れて無になる事にした。
*
〈【ストレア王都上級区 宿屋『戦慄の眼鏡』】〉
予選を勝ち抜けた俺は貴族御用達みたいな豪華絢爛な馬車で魔女の塔から目的地である王都にあっさりと送られた。そして案の定、名前のバグった宿屋に押し込まれて待機を命ぜられた。
腹の減っていた俺は特に文句も疑問もなく、流されるままに従って宿でタダ飯を満喫したのちにこうしてオトコの子といるわけだ。
宿は相部屋で俺はオトコの子と同室だった、なんでもオトコの子が何故かそう嘆願したからだとシラフに聞いた。別にうるさくしなければ誰でもいいけど。
「なんかナツイさんといると不思議と落ち着くんス、ちょっと怖くて冷たい部分もあるっスけど……そこもまた安らぐ感じで……」
オトコの子は照れた様子でこちらに視線を送る。
なんだこいつ、マゾっ子か。容姿も完全に女子なのに心まで乙女とはガチムチおネエと同部屋にした方がいいんじゃないのか。
「その呼び方にするのはやめてくださいっスよ!?」
「ところで本選は二日後と言っていたが、それまで何をしてろというんだ?」
「僕に聞かれても困るっスよ……あ、じゃあ僕が上級区を案内しましょうか?」
「オトコの子はこの上級区とやらに入った事があるのか?」
「はい、僕は元々ここの産まれっス。家系が【召喚士】家系だったんで……」
「【召喚士】とやらはランク付けが免除されてる上級職なんだっけか?」
「はいっス。【前勇者セルシオン】のパーティーにいた職業に関しては永住権が認められてるんスよ」
ふむ、なるほど。実力主義の国とはいえ勇者一行にいた職業を流石に迫害することはできずに法規措置を適用したわけだ。
「そして、オトコの子は家に道を敷かれて召喚士になりながらも夢だった司書にもなりたくてなったわけか」
「なっなんでわかるんスか!? 話してないのに!」
「なんとなく」
そして、オトコの子のそんなストーリーに興味は無い。新キャラを掘り下げていたらいつまで経っても話が進まんしな。
と、いうわけでそれ以降オトコの子の過去には触れずに俺達はぶらぶら観光することにした。
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〈上級区 『商業施設通り』〉
ストレア王都上級区とやらの景観は俺を驚かせた。馬車に乗っていた時は腹が減っていたため全く興味なかったが、その街並みは『ファンタジー 都市 イラスト』と検索すると出てくる幻想的都市そのものだったからだ。
街の至るところに高低差があり、階段がそこいらにある。見上げた上空にも道があり、住まいがあり、緑がある。瞳に映る空は狭いが、日本のビル群のように閉塞感は感じさせない。
街の中央には塔にも似た壁があり、その最上部には城がある。まるでジブリイラストのような幻想的街並みーーこれこそがファンタジーといった感じだ。
「案内がないと迷うっスよね、上級区はいろんなエリアに別れてて広大っスから……目的に応じて場所を確認して行かないと帰ってこれないんスよ」
ふむ、確かにこれは見て周(まわ)るのに莫大な時間がかかる程に広い。2日かけても商業区とやらだけすら踏破できない位に。
普通これだけ広いならバスとか電車とかあるだろ、そんくらい用意しとけよ馬鹿じゃないのか。俺は不機嫌になった。
「突然不機嫌にならないでくださいっス……ナツイさんはもう少し情緒を安定させてーー痛っ!?」
オトコの子は人混みで通行人と肩がぶつかり転んだ。まったく、余所見をしているからだ。
ぶつかった相手は尻餅をついたオトコの子に手を差し伸べる、服装から察するにどうやら貴族のようだ。貴婦人が被るような帽子をかぶり顔が見えないが、女性だ。
「っと、ごめんなさい。大丈夫?」
かがむ貴婦人の帽子から、水色髪が垂れる。ちらっと見えたその顔に思わず言葉が漏れた。
「シューズ?」
「えっ……? シューズを知っているの?」
「あぁ、もしかして話に聞いたシューズの姉か?」
覗かせた顔は明らかにシューズそのものだった。ムセンから聞いた【ネット】とかいう姉かと思いきやーー実際は違っていた。
「ええ、私は【セーフ・T・ゾーン】。そちらは……どなたかしら?」
どうやら三姉妹の長女の方だったみたいだ。
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やる気スイッチwwww
笑いを堪えるのが大変でした(^o^)
フリウスさん、いつも感想頂きましてありがとうございます(*´∀`*)
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フリウスさん、いつも感想コメントありがとうございます。
励まされます゚.+:。∩(・ω・)∩゚.+:。
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