10 / 101
第十話 祖父の田舎
しおりを挟む
学生のJさんには、田舎で暮らしている祖父がいた。
前は祖母と2人で暮らしていたが、祖母が亡くなってからは1人で住んでいた。
家自体は地方の旧家という感じでなかなか広く、都会で生まれ育ったJさんからすると信じられないぐらいの敷地面積だった。
居住空間の他に特に使われていない離れもあった。
「子どもの時にはよく遊びに行っていましたが、うちの親と折り合いが悪くなってきて、行くのも数年に1度ぐらいの割合になってきていました」
Jさん自身は祖父にかわいがられていたので、少し寂しさを感じることもあったという。
そして、祖父が亡くなったとの知らせが届く。
葬儀がつつがなく終わったものの、Jさんの両親や親戚は祖父が最期まで住んでいた家をどうするかという問題に直面した。
遺産相続の話についてはJさんはあまり立ち入れなかったという。
形見分けでもないが、家の遺品から必要なものをてんでに取っていけることになった。それが済んでから取り壊しの算段となる。
ちょうど夏休みの時期であり、Jさんは好奇心からその家に1人で泊まってみることにした。
晩ご飯までは両親と共に食べ、一晩寝て翌朝に両親が迎えに来るというだけの話だった。
泊まることにしたはいいものの、両親が去り特にやることもない。Jさんは昼間に家の中を見て回っており、夜は布団を敷いた部屋でスマホをいじっていた。
廊下に何かの気配がした。かすかな足音もしたように思った。
「だ、だれ?」
Jさんが問いかけるが返事はない。
廊下へ通じるふすまを開ける。
そこには、黒猫がいた。
ホッとするJさん。しかし、猫が何かをくわえているのに気づく。
「何、くわえてるのかな?」
Jさんが近づくと猫はそれを廊下に落とし、そのまま逃げて行ってしまった。
確認すると、人間の指であった。
「ひいっ……」
驚くJさん。身体から離れて時間が経ったのか、乾燥しているように見えた。
祖父のものではない。亡くなった祖父の遺体には指はあったはずだった。
両親を呼びたくなったが、指の出所が気になった。Jさんは黒猫が逃げた方向に目をやる。
姿が見えた。そこは、離れだった。
庭を通って小さな建物まで辿り着く。黒猫は姿を消していたが、Jさんは戸を開けて中へ入る。
昼間にも一度訪れていたが、直前の状況と夜の雰囲気によってひどく緊張していた。
電気を付ける。和室があるだけだった。
畳、そしてふすま。
不思議とふすまの中が気になった。昼間にはわざわざ開けてはいない。
Jさんはふすまを開けようとする。固い。何かがつっかえているようだった。
それでも力任せに引っ張ると、徐々にふすまが開き始めた。
すき間から中を確認する。黒い袋が山のようにあった。
昔のゴミ袋だ。ふすまを開けたことで、生臭い匂いが漂う。
Jさんは予感した。
指はこの中にあったのではないか。
そして、指以外の部分もこの中にあるのではないか。
悪寒が背中を駆け抜けた。
Jさんは確かめることをせずに離れから出て、両親に連絡してそのまま帰宅した。
「ふすまの中に何があったのかは、確かめることなく解体業者が全部持って行きました」
Jさんが知るのは、そこまでだったという。祖父が何をしたのかは、もはや闇の中だった。
前は祖母と2人で暮らしていたが、祖母が亡くなってからは1人で住んでいた。
家自体は地方の旧家という感じでなかなか広く、都会で生まれ育ったJさんからすると信じられないぐらいの敷地面積だった。
居住空間の他に特に使われていない離れもあった。
「子どもの時にはよく遊びに行っていましたが、うちの親と折り合いが悪くなってきて、行くのも数年に1度ぐらいの割合になってきていました」
Jさん自身は祖父にかわいがられていたので、少し寂しさを感じることもあったという。
そして、祖父が亡くなったとの知らせが届く。
葬儀がつつがなく終わったものの、Jさんの両親や親戚は祖父が最期まで住んでいた家をどうするかという問題に直面した。
遺産相続の話についてはJさんはあまり立ち入れなかったという。
形見分けでもないが、家の遺品から必要なものをてんでに取っていけることになった。それが済んでから取り壊しの算段となる。
ちょうど夏休みの時期であり、Jさんは好奇心からその家に1人で泊まってみることにした。
晩ご飯までは両親と共に食べ、一晩寝て翌朝に両親が迎えに来るというだけの話だった。
泊まることにしたはいいものの、両親が去り特にやることもない。Jさんは昼間に家の中を見て回っており、夜は布団を敷いた部屋でスマホをいじっていた。
廊下に何かの気配がした。かすかな足音もしたように思った。
「だ、だれ?」
Jさんが問いかけるが返事はない。
廊下へ通じるふすまを開ける。
そこには、黒猫がいた。
ホッとするJさん。しかし、猫が何かをくわえているのに気づく。
「何、くわえてるのかな?」
Jさんが近づくと猫はそれを廊下に落とし、そのまま逃げて行ってしまった。
確認すると、人間の指であった。
「ひいっ……」
驚くJさん。身体から離れて時間が経ったのか、乾燥しているように見えた。
祖父のものではない。亡くなった祖父の遺体には指はあったはずだった。
両親を呼びたくなったが、指の出所が気になった。Jさんは黒猫が逃げた方向に目をやる。
姿が見えた。そこは、離れだった。
庭を通って小さな建物まで辿り着く。黒猫は姿を消していたが、Jさんは戸を開けて中へ入る。
昼間にも一度訪れていたが、直前の状況と夜の雰囲気によってひどく緊張していた。
電気を付ける。和室があるだけだった。
畳、そしてふすま。
不思議とふすまの中が気になった。昼間にはわざわざ開けてはいない。
Jさんはふすまを開けようとする。固い。何かがつっかえているようだった。
それでも力任せに引っ張ると、徐々にふすまが開き始めた。
すき間から中を確認する。黒い袋が山のようにあった。
昔のゴミ袋だ。ふすまを開けたことで、生臭い匂いが漂う。
Jさんは予感した。
指はこの中にあったのではないか。
そして、指以外の部分もこの中にあるのではないか。
悪寒が背中を駆け抜けた。
Jさんは確かめることをせずに離れから出て、両親に連絡してそのまま帰宅した。
「ふすまの中に何があったのかは、確かめることなく解体業者が全部持って行きました」
Jさんが知るのは、そこまでだったという。祖父が何をしたのかは、もはや闇の中だった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/6:『きんようび』の章を追加。2026/2/13の朝頃より公開開始予定。
2026/2/5:『かれー』の章を追加。2026/2/12の朝頃より公開開始予定。
2026/2/4:『あくむ』の章を追加。2026/2/11の朝頃より公開開始予定。
2026/2/3:『つりいと』の章を追加。2026/2/10の朝頃より公開開始予定。
2026/2/2:『おばあちゃん』の章を追加。2026/2/9の朝頃より公開開始予定。
2026/2/1:『かんしかめら』の章を追加。2026/2/8の朝頃より公開開始予定。
2026/1/31:『うしろ』の章を追加。2026/2/7の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる