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第二十二話 トイレに閉じ込められて
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当時女子高生だったDさんは友人のRさん、Aさんとともに地元の心霊スポットである公衆トイレを深夜に訪れた。
このトイレには、いじめに遭った女子高生がかつて手首を切って自殺したという噂がある。
その後、自殺した女子高生の霊が女子トイレのある個室に出るようになったということで、それを確かめにやってきたのだ。
「正直言って、霊が出ようが出まいがどっちでもよかったんです」
Dさんがこう言ったのには理由があった。同行したAさんは、DさんとRさんからのいじめを受けていたのである。
「Aを置き去りにしようとか、幽霊と対決させようとかRと密かに話していたんです」
嫌がっていたAさんだが、Dさんたちに無理矢理公衆トイレまで連れてこられていた。
一通り女子トイレを見て回ったが、何も出てこない。Aさんは特にホッとしたような顔をしていた。
「じゃあ、最後にもう一回個室を見ておこうか。ねえA、もう一回入ってよ」
Rさんがそう言ってAさんの背中を押し、個室へ入らせる。
Aさんがキョロキョロと中を見回しているところで、Dさんがいきなり個室のドアを閉めた。
「えっ!? ちょっと! 悪ふざけはやめてよ!」
外開きのドア。鍵は中からしかかけることができないが、Dさんはドアを押さえてAさんが出られないようにした。すぐにRさんも手伝ったという。
「ちょっと、ねえ! もういいでしょ! 出してっ!! 出してよっ! お願い!」
Aさんが中からドンドンとドアを叩くが、Dさんたちは2人がかりでドアを押さえており、1人の力では開けることもできなかった。
「ねえ、お願い……ねえ……」
泣きそうな声になるAさん。特に罪悪感を持つこともなくDさんはもうしばらくドアを押さえ続けようと思ったという。
「えっ、えっ!? 何? ひ、ひいいっ!?」
すると個室の中からこれまでとは違ったAさんの悲鳴が聞こえ始めた。Aさんがドアを押していた力も弱まる。
「ちょっ、ひっ、ひいっ! 来ないで! やあっ!」
Aさんが尻餅をついたらしい音がした。
DさんはRさんと顔を見合わせる。ただ事ではない気がした。
とっくにDさんたちはドアを押さえるのをやめているが、Aさんが出てくる様子はない。
「いやあああああっ!!」
トイレ内に悲鳴が響いた。
やがて静かになる。
Dさんはしばらくドアを開けることができなかった。
あろうことか、Aさんの様子を確かめずにそのままトイレを出てしまったという。Rさんもそれに追随してトイレを出た。
結局、個室で何が起きたのかをDさんは未だに知らない。
Aさんともその日以来、会っていないという。
「Aのことは気になりますけど、巻き込まれるのも嫌なので」
さっぱりとした表情でDさんは言った。
Rさんとは今でも交流があるが、Aさんについて話題に出すことはないそうだ。
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