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第八十五話 鳥居に佇む女
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動画投稿サイトなどで、街の様子や観光名所の様子などを映し続ける定点カメラの映像が公開されている。
Oさんはそうした映像を観るのが好きだった。
実際に行くわけでもない街で、今どんな人が歩いているのか。どんな人が来たのか、何をして帰って行くのか。1人1人の行動を見ているだけでも暇が潰せた。
ある日、某市の有名な神社にある定点カメラ映像を観ていた。
初詣などの行事がある時期ではないが、観光名所にもなっているためそこそこ日中から人が訪れる。
「あれ、この人……」
鳥居の影に髪の長い女の人が立っている。
白い長袖のシャツを着ているように思えた。
他の人が行き来していくが、その女性だけが動かない。5分観ても10分観ても、動かないのである。
「願掛けか何かだろうか」
百度参りの変形か何かで、鳥居の脇に何時間立っていたら願いが叶うなどの参拝方法があるのかもしれない。
不思議に思いながらも、Oさんはいったん別のカメラ映像を観ることにした。
他のことをして夕食を採ったのち、再び定点カメラ映像を見ようと思った彼はふと先ほどの神社をもう一度確認しようと考えた。
すでに夜。上の方のライトがカメラ周辺を照らしているため、映像自体は観ることができた。
さすがに昼間と違って閑散としている。
「えっ」
Oさんは驚いた。
鳥居の影に、昼間と同じ女性がまだいたのである。
昼間にその姿を観てから6時間以上経過している。いったいいつまでそこにいるつもりなのだろうか。もしかしたらOさんが見ていない間にどこかに行っていたかもしれないが。
相変わらず顔面が黒髪で隠れていて、全く年齢もわからない。
背筋に寒気を感じた。
「これは、マジものなのかも」
こだわるのをやめて一度別の定点カメラ映像へと移っていったOさん。
しばらく趣味の映像を楽しんでいると眠気が襲ってきた。
もはやいつ寝てもいい状況ではあるが、最後にあの鳥居の女性が気になった。
再び神社のカメラへと戻る。
「ありゃ、暗くなっちゃったか」
画面が黒一色になっており、もはや鳥居周辺を眺めることができない。
ライトが消されたのだろう。Oさんは思った。
ところが、黒い画面が中心から割れていく。
中から目を大きく見開いた女の顔が出現した。
「わっ、うわあっああああ!」
画面が暗くなったと思ったのは、女の髪だったのだ。
目を大きく見開いた女の顔が画面に大きく映し出された。女はカメラを覗き込み、視線を右へ左へと走らせている。
「ひいいっ」
Oさんは映像を映していたブラウザを閉じる。
画面から消えても、女の顔が脳裏から消えずにOさんの心拍数は上がりっぱなしだ。
「あのカメラは、2階ぐらいの高さから斜め下を映していたはずなのですが」
Oさんは言う。
明らかにカメラに最接近していた女。
どのように登って、なぜカメラの画面を覗き込んでいたのか。疑問は尽きない。
今もその定点カメラは同じ神社の様子を映し続けているそうだが、鳥居の影にいた女の姿はもうないという。
Oさんはそうした映像を観るのが好きだった。
実際に行くわけでもない街で、今どんな人が歩いているのか。どんな人が来たのか、何をして帰って行くのか。1人1人の行動を見ているだけでも暇が潰せた。
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不思議に思いながらも、Oさんはいったん別のカメラ映像を観ることにした。
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目を大きく見開いた女の顔が画面に大きく映し出された。女はカメラを覗き込み、視線を右へ左へと走らせている。
「ひいいっ」
Oさんは映像を映していたブラウザを閉じる。
画面から消えても、女の顔が脳裏から消えずにOさんの心拍数は上がりっぱなしだ。
「あのカメラは、2階ぐらいの高さから斜め下を映していたはずなのですが」
Oさんは言う。
明らかにカメラに最接近していた女。
どのように登って、なぜカメラの画面を覗き込んでいたのか。疑問は尽きない。
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