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ムエタイも、オカマバーも夜のものなので、なかちゃんとあたしは、暁の寺と呼ばれるワット・アルンに行くことにした。
タクシーで船着場まで行って、渡し舟で対岸に渡り、ところどころに屋台のようなものが出ている参道を抜けると、やっとお寺の塔の上り口に着いた。
階段は果てしなく続いている。
体力には自信がある。
クラブで徹夜、なんて、へでもない。
でも日本に帰ってからは夜遊びもできなくなって体はなまりがちだった。
たちまち息が切れて、足を止める。
うっかり下を見たら、立ちくらみをおこしそうになった。
つかまるところを探したけれど、なにもない。あたしは、高いところが苦手だ。
「ちょっと……なんで手すりとかついてないのよ」
その上、階段の幅は狭く、微妙に傾斜がついている。
「美観を損なうからでしょう」
仲ちゃんが涼しい顔で言う。
ちょっと、美観ってなによ。
こわいよ、こわいんだってば。
「やだもう、これ以上上れない。降りようよ」
「月子さん、もしかしたら怖いんですか?」
「こ、こわくなんかないわよ」
なかちゃんがあたしの手を取る。
よゆーの微笑み。
「だいじょうぶですよ」
脚が震えてきたけれど、なかちゃんに手を引かれて、なんとか一番上まで上がることができた。
バンコクの市内が一望できて、なかなかいい眺め。
ふと、寺院のふもとを見ると、黒い服にサングラスの日本人の男があたしたちを見上げている。
まずい。
まさかバンコクまで追いかけられるとは思っていなかった。
やばい。
どうするか?
とりあえず、逃げる。
タクシーで船着場まで行って、渡し舟で対岸に渡り、ところどころに屋台のようなものが出ている参道を抜けると、やっとお寺の塔の上り口に着いた。
階段は果てしなく続いている。
体力には自信がある。
クラブで徹夜、なんて、へでもない。
でも日本に帰ってからは夜遊びもできなくなって体はなまりがちだった。
たちまち息が切れて、足を止める。
うっかり下を見たら、立ちくらみをおこしそうになった。
つかまるところを探したけれど、なにもない。あたしは、高いところが苦手だ。
「ちょっと……なんで手すりとかついてないのよ」
その上、階段の幅は狭く、微妙に傾斜がついている。
「美観を損なうからでしょう」
仲ちゃんが涼しい顔で言う。
ちょっと、美観ってなによ。
こわいよ、こわいんだってば。
「やだもう、これ以上上れない。降りようよ」
「月子さん、もしかしたら怖いんですか?」
「こ、こわくなんかないわよ」
なかちゃんがあたしの手を取る。
よゆーの微笑み。
「だいじょうぶですよ」
脚が震えてきたけれど、なかちゃんに手を引かれて、なんとか一番上まで上がることができた。
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ふと、寺院のふもとを見ると、黒い服にサングラスの日本人の男があたしたちを見上げている。
まずい。
まさかバンコクまで追いかけられるとは思っていなかった。
やばい。
どうするか?
とりあえず、逃げる。
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