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第二部 一章
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しおりを挟む歓迎会から数日。
本格的に留学生活を始めるための準備を行っていた。自分宛に届いた、ゼロ国の専門学校の学生服を着ていた。
「まぁ!お似合いですわお嬢様」
「本当?変じゃない?」
「全く変ではありませんよ!」
数日の間に、留学生活に関してセドとの話し合いが行われた。
学校には寮があるが、私はソムファ侯爵邸から通う事に書面上はなっている。
さすがに、王城から通うという情報が流れれば様々な危険が伴う。実際、王城から通っても危険でないのかセドに問えば、裏門から出入りすれば誰かに見られる事は殆ど無いと言われ安心した。
……という事で、私は本格的に入学手続きを済ませて、取り寄せた制服を試しに着ていたのである。
「帰ってきてから体が鈍ってないか先生に舞踊を見ていただいたけど大丈夫そうで安心したわ」
「とても綺麗でしたよ。私は舞踊というものを初めて見ましたが、素人目からしてもお嬢様が上手な部類に入るのがわかりました」
「そう?」
「はい。凄いです」
ニナ先生に事の顛末を報告した後、基礎に関して追い込みをしてもらった。その際キナも同行したが、初めて見る舞踊に感動していた。
「私はこれから留学生として舞踊に力をいれるけど、キナもここでの生活に慣れるように頑張ってね」
「はい!もちろんにございます」
専門学校は王国の学園とは違い、使用人を連れて過ごす様な所では無い。なのでキナは王城で様々な事を学ぶ流れとなった。
「それにしても遅いですね」
「えぇ……」
私が制服を届いたと朝方伝えに執務室へ行くと、そこには宰相のルーカスとシトラウルがいた。
あの後シトラウルからは自身の事はシトと呼ぶ様に言われた。なんでも家族になるのだから他人行儀は嫌とのこと。圧倒的にあちらが歳上なので、シトさんと呼ぶ様にしている。私もシーナと呼ばれるようになった。
色々と説明したい事があるそうで、セドの仕事が終わり次第、王城の一室であるここへ来ると言っていたのだが……。長いこと待っている気がする。
「まぁ、仕事が多くて大変だろうから……夕方になってもおかしくはないわね」
「確かにそうですね」
セドの口からも少し時間がかかると言われていたが、仕事に追われているのだろうか。そう考えていると、ノックが聞こえたのでようやく来たのだと思った。
「失礼致します」
ルーカスを先頭に、シトさんも入って来た。
「お、似合っているね」
……ところでセドが見つからない。
そう思えば、シトさんが扉の向こうにいる誰かに言う。
「……何してんの。早く入りなよ」
そう言って入って来たのは、どこかで見たことのある気がする少年。見た目的に同い年だろうか。
「………?」
髪色は黒いが、まるでセドのようだ。
「え、セド!?」
「あぁ……同い年に見えるか?」
「見えますけど」
何があってそのような姿になったのか。
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