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第五章
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しおりを挟む少し心を落ち着かせ、何を話そうかと頭の中を整理した。
「……のんびりしたいという気持ちや王妃になりたくないという気持ちがなくなったわけではないんです」
「…はい」
「でも…」
ここ数カ月で赤月の私に対する接し方を見ていて自分がどれだけ大切にされてるかは嫌というほど理解できた。
「殿下の想いは……前より理解できるようになったと思います」
「そうですか!」
でも、理解できただけ。
今はそれ以上のことは何も考えていない。
「……」
「理解できただけでも大きな進歩ですわ…!」
「そう…ですね」
どう表せば良いのだろう。
この複雑な気持ちは、どうしたら言葉になるのだろうか。
「理解できたら、アイシア様の気持ちは少し変になってしまいましたか?」
「そうですね…複雑な…感じです」
「まぁ…」
私はのんびりしたいなっていう個人的に大切な願いがある。
でも、これは赤月にとって…言ってしまえば邪魔な気持ちなんだろうな。
王妃になりたくない気持ちは変わらないけど、その気持ちさえ…自分が間違っているのかとどうしてか不安になってしまう。
「アイシア様。それは違いますわよ?」
「え?」
「この恋愛に関して、アイシア様が変になったり複雑になったりする必要は全くないと思いますわ。のんびりしたい、その想いが完全に消えて殿下の隣に立ち王妃になろうと心が変わるまで、殿下はアイシアを手に入れることはできませんから。そこは殿下の腕の見せ所ですわ。アイシア様の気持ちを変えるのは殿下のすべきことです」
「……」
「ですから!アイシア様はどーんと構えておけば良いのですわ」
「どーんと…」
「はい。アイシア様はある意味気楽に殿下に向き合えば良いのではないでしょうか?」
そう…か。
赤月が私に望んだのは自分を恋愛対象として見ることだけだ。
気持ちを殺せなんてもちろん頼まれてなんかない。
私は赤月と向き合わないとと思ってたけど、そこに私の気持ちはきちんとあったままで良いのだ。
……どうしてこんな当たり前のことを気づかなかったのだろう。
不思議だな…。
「ジュゼッペ様の言うとおり、どーんと構えてみますわ」
「はい。是非ともそうしてみてくださいませ」
「ありがとうございますジュゼッペ様」
「いえ!」
話し終わって気がつく。
自分は悩んでいたのだろうなぁと。
きっとジュゼッペ様はそれをわかっていたのだと思う。
今回のお茶会はジュゼッペ様提案だったから、気を使ってくれたのだなと凄く胸が暖かくなった。
「また、いつでも話は聞きますわ」
ジュゼッペ様はそう言って微笑みを見せてくれた。
「ありがとうございます」
その微笑みは私をどこか安心させる力があった。
そして、他愛もない話もしてお茶会はお開きになった。
部屋に帰る途中、少し焦っている表情のガイさんに会った。
目が合った瞬間、ガイさんの目が大きく見開いた。
「オルティアナ公爵令嬢様!」
「……?はい」
「すぐに来てください…!」
「え、どこへ…?」
「殿下のところへです!」
「え…何かあったのですか?」
「事情はむかいながら説明させてください、どうかお願いします」
よく見るとガイさんは疲れているように見えた。
「お嬢様。この後は予定は何もありません。ですから殿下の元へ行ってみてはいかがですか?」
「そう…ね」
「!では、書斎へ」
そう言って足早にガイさんは歩き出す。
「行こう、リーシェ」
「はい」
何が起きてるのかわからないけど、とりあえず行ってみよう。
それにしても一体何事なのか。
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