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第五章
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しおりを挟むガイさんの歩き方からどこか焦りを感じた。
「それで…どうしたんですか?」
「はい…殿下なのですが」
ガイさんは少し息を整えてから話し始めた。
「実は先日階段から落ちたのです」
「え!?」
赤月が!?あの完璧で隙のない超人が?
「これには理由がありまして…。階段から落ちる日の3日以上前から睡眠をとられていないのです…」
「それはどうして…?」
「殿下にも当然公務や仕事というものがあります。この時期は一年でそれが最も忙しい時期なのです。何とか終わらせて、オルティアナ公爵令嬢様との時間を作りたかったのだと思います」
「……」
ガイさんの話によれば、赤月は優秀すぎるため公務や仕事の量が普通に比べて多いらしい。
それをしっかりとこなした上でゆっくり私との時間を取りたかったみたいだ。
真面目なのは良いことだが、頑張り過ぎることは良くないと思う。
「では…私はお見舞いに行けば良いのですね」
「いえ…問題がここからなのです」
「ここから?」
「階段から落ちて負傷したのにも関わらず、未だに休もうとせず仕事をこなして…我々従者が何度休むように願っても駄目でして…」
まだやってるのか…!
それは体に良くない。
「ですから、婚約者候補であるアイシア様の言葉なら聞き入れてもらえるのでは無いかと思いまして…」
「なるほど…?」
従者で駄目なら普通家族だろうが、その家族も赤月同様多忙なのだろう。
そうしたら私しか適任がいなくなる。
…やるっきゃないな。
「お願いいたしますオルティアナ公爵令嬢様……我が主に少しでも良いので休息をするよう伝えてはもらえませんか」
私なんかで良ければ。
というか…自分が少なからず悪い気がする。
「もちろんです」
「ありがとうございます…!」
疲れたガイさんを見れば、ガイさんもガイさんで大変だったことがわかる。
これ以上負担をかけるわけにもいかない。
「お嬢様、頑張ってくださいませ」
「えぇ。できる限りのことはするつもりよ」
そう言っていると赤月の書斎付近へ到着してしまった。
「ガイさん。私一人でも大丈夫でしょうか?」
「お嬢様…!」
「それは…大丈夫ではありますが」
「なら、一人でいってきますね」
「あぁ…はい」
あまりにも意外な私の提案に驚く二人。
でも、今回休むように説得するなら一対一でないといけないと思ったのだ。
「では、いってまいります」
「お嬢様…ご武運を…!」
「えぇ」
リーシェからしたら不安でしかないこの行動。
でも大丈夫。
何がなんでも休ませてくるから。
「…よし」
意を決して、書斎の扉を叩いた。
「失礼します」
「………どうぞ」
声のトーンを聞く限り、大分疲れているように思えた。
私は気合いを入れて扉を開けた。
そこには疲れきったオーラが出まくりの殿下がいた。
うん…これヤバイやつだな。
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