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第七章
60 side ジュゼッペ その1
しおりを挟むこの家に連れ戻されたとわかった時から、全てが終わったと悟った。私には価値がないと興味が無いくせに、使える時だけ利用する都合の良い最悪な人達。あんな人達元より家族だなんて思ってはいなかった。でも、どんなに逃げようと私はギャルツ家の人間だとこの血が告げる。……結局私は幸せにはなれないのだ。
「もう……駄目だなぁ」
父様の部屋に行きながら、自分の末路を考えていた。唯一確実にわかるのは、今の私はもう何も望めないということ。
「……失礼します」
「入りなさい」
父の書斎へ入るのなんて一度たりとも無かった。できれば、入りたくなど無かったのに。
「お前をゲーテ侯爵の所に嫁がせる事にした」
「ゲーテ……侯爵…?」
…聞いたことがある。女癖が酷く、横暴で人として腐っていると…。そんな最悪な奴の所に嫁がせられるのか…。
「ゲーテ侯爵とはこれから仲を深めたいと思っていてな。その為にもお前を嫁がせ、繋がりを強くしようと思ったのだ。……婚約者もいないお前には喜ばしい話だろう」
「………」
結局、道具としてしか私を見れないこの人の言う事に反論する気にもなれなかった。そんなことは無意味だと知っていたから。
「明日からゲーテ侯爵家で暮らせ、いいな」
嫁ぎ先で幸せがあるだなんて思えない。もう、私は幸せを望んではいけない。きっと願うだけ無駄だから。…母様の為にも幸せになりたかったけどどうやらそれは無理みたい。……でも、最後に家のためになるんだったら、生きた意味はあったってことなのだろうか。
「さっさと支度をしろ。話は以上だ」
………いや、駄目。
私が優秀だと多くの人に知れ渡せるまで、諦めては駄目…!母様の為にも幸せになる。そして産んだことが誇りとしてもらえるような人間になる…!それを達成もしていないのに、諦めるわけにはいかないわ!
「いえ、お父様。今回のその婚約及び結婚、拒否いたします」
「………なに?」
「そのような私にとって意味の無いことはしません」
「…馬鹿なことを言うな」
「一体どこが馬鹿なことなのでしょうか?私にとってはこの婚約自体が馬鹿なことに思えますが」
「………無能が口答えをするな。価値を与えてやってるだけ感謝しろ」
「こんなものは価値とは言いません。そんな簡単な事もわからない人が私の父だなんて虫唾が走りますね」
「お前……自分が何を言っているのかわかっているのか!」
侮辱されたことが頭にきたのか、怒鳴り出した。
「ええ、もちろん」
「その上でだと?……………まぁいい。もう二度とお前の顔を見る事などないのだからな。精々ゲーテ侯爵につくせ」
「私は」
「お前の意見など、誰も求めていない。最初からお前に拒否権など無い」
諦めるわけにはいかないのに。でも……これ以上どうしたら良いかわからず、言葉をつまらせていた。
「反発するだけ無駄だ。大人しく準備をしろ」
冷たく言い放った。
「その必要は無いよ」
「………え?」
どこからか優しい声が聞こえた。
「なんだ、貴様は!」
「お初にお目にかかります、ギャルツ公爵。私の名はセランスト・オルティアナ。ジュゼッペ嬢の婚約者です」
振り向けば、そこには私が一目惚れをしたあの人がいた。突然の事にどうしたらいいかわからない上に突っ込むべきところが多くて頭がぐるぐるしてるけど…。一つだけ。
オルティアナってアイシア様よね?
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