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第七章
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しおりを挟む信頼できる人間…護衛騎士などだろうか。だが、その人達に任せたところで大事な事は何も解決しない。
「信頼できる人間……でも、護衛に任せたところでジュゼッペ様がギャルツ家の人間ということには変わりないわ。その場合……ジュゼッペ様まで処分対象になってしまう…!」
「いえ、ならないようにします」
「ジュゼッペ様だけ特別扱いをして…大丈夫なの?」
「さすがにその様な真似をすれば、他の貴族が黙っていないでしょう」
「なら」
「シア。少しある少年の話を聞いてはもらえませんか?」
「………?」
「もちろん、この話はジュゼッペ様に関係します」
「…わかった」
殿下の専属護衛等が可哀想な人を運び出している。そんな中、私は殿下と馬車へと向うがてらある話を聞いていた。
「……ある少年が、ジュゼッペ嬢に恋をしたのです。といっても、一目惚れという訳では無かったのですが。些細な事をきっかけに彼はジュゼッペ嬢と話すようになったそうです。彼にとって異性と話すのは苦手な事でしたが、何故かジュゼッペ嬢とは楽しく話せたそうです。後から考えれば、ジュゼッペ嬢の纏う柔らかで暖かい雰囲気が彼にとって良きものだったとわかったそうです。以来彼は、ジュゼッペ嬢と話すことを日々の楽しみにしていました。まぁ、当然毎日会えるわけでは無かったのですが…。そして、時は過ぎ突然彼女が家に連れ戻されたという情報が入りました。彼は、かなりのショックを受けました。もう二度会うことはできないのかと。ここで諦めるのが普通でしょう。しかし彼は、今回のギャルツ家の不正及び処罰検討を知っていましたから、このままではまずいと感じました。………そして、彼はジュゼッペ嬢を迎え入れる覚悟を決めました。つまり婚約をするとの事です。もちろん、ただ婚約をしてもギャルツ家の人間に変わりは無いです。しかし、ここで彼はジュゼッペ嬢を養子として迎えてくれる家を探し養子縁組を裏から済ませ、ギャルツ家との縁を切ることに成功したのです」
「ちょ、ちょっと待って!そんな事があったの…?何も知らなかった」
「秘密裏に動いていましたから。今回の養子縁組もギャルツ家には内緒でしたものです。相手はギャルツ公爵の弟であるトリミア侯爵家です。トリミア侯爵家との養子縁組はある一つの条件の元に成立しました」
「条件?」
「はい。その少年との婚約ですね。トリミア家は少年の家と結び付きを強くしたかったので願ったり叶ったりです」
「え……養子縁組…そんな事をギャルツ公爵が許可したの?」
「その必要はありません。ギャルツ公爵の場合、精神的虐待のような事をジュゼッペ嬢にしていましたから。こういった場合には許可等はいらないのです」
「なる…ほど?」
ジュゼッペ様がそれで助かったなら良かった。……でも、彼女には想う相手がいたようなものなのだが…。何とも言えぬ、複雑な状況になってしまった。
「でも……トリミア侯爵家は侯爵という身分ながらも公爵に負けないくらい優秀な家でしょう?…その少年とやらは余程身分が高いのでしょうね」
そう言うと、殿下が優しく微笑んだ。
「えぇ。確かに彼の身分は高いです」
「……で、誰なの?」
「やはり気になりますか?」
「当然よ」
ジュゼッペ様には幸せになって欲しい。その為にも、相手がどんな奴か知れるものなら知りたい。
「彼の名前は────」
殿下が一息して言った。
「セランスト・オルティアナですよ」
……………え?
兄様!!??
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