6 / 13
序章
プロローグ6「市民vs王国軍」
しおりを挟む
私が目を凝らしていた時に、一体何が起きた?
落ち着け、よく考えろ。
目を凝らしていた時に感じたのは、強い突風、悲鳴、血しぶき。
そして目を開けた時には、足元に大量の死体が転がっていた。
「何だ……⁉︎何が起きたんだ⁉︎」
兵士の身体に刻まれた痛々しい切り傷。
しかし、下にいる市民達が使っているのは銃。
持っていて切れるものと言えば槍だが、この一瞬で、しかも王国軍を全員殺れるとは思えない。
だが、もう一つ心当たりがある。
空を飛ぶ獣だ。
奴は翼が生えていたが、鋭い爪も持っていた。
奴が獣人だと言うのは間違いないだろう。
「なら……見間違いじゃないとすれば、さっきの獣人が……⁉︎」
気づいた頃には遅かった。
奴は自分の後ろに回り込んでいた。
「しまっ……‼︎」
急いで剣を抜き、奴を切ろうとするが、素早い攻撃でフィルサハッドは爪でバッサリと切られた。
命乞いをする暇もなく、あっさりと逝ってしまった。
一国の宮廷騎士団長とあろう者が、こうもあっさりやられてしまった。
そして先程天騎士を呼びに行った兵士が天騎士を引き連れて戻ってきた。
天騎士は魔法を使って飛んでくる。
しかし、戻ってきて見た光景には目を疑った。
王国軍が全員やられている。
息のある者は誰一人いなかった。
更には宮廷騎士団長までやられていた。
「何だ……?一体何が⁉︎」
天騎士ですら状況が飲み込めなかった。
「我々王国軍を倒せる者が市民の中に存在しているというのか⁉︎……‼︎全員直ちに市民共を殺せ‼︎」
「ハッ‼︎」
その言葉を言った瞬間、彼らの背後から声が聞こえた。
「誰を殺すって?なぁおい。」
背筋に強い寒気を感じ、声の方向へ素早く振り向く。
皆は再び目を丸くして驚いた。
そこにいたのは、黒いフードを頭に被り、金色の胸当てに真紅のマントを羽織った戦士だった。
しかも、死にかけた天騎士の頭を手で掴んでいる。
天騎士は顔から血を流し、鎧はボロボロになっていた。
「はっ……がっ……‼︎」
兵士は辛うじて生きていた。
しかし、天騎士はここに辿り着いてから1分も経っていない。
この一瞬で彼を死にかけまで追い込んだのだ。
この男は間違いなく強い。
「何だ貴様は‼︎彼を放せ‼︎」
その男は不敵な笑みを浮かべ、手を上に挙げる。
その手が銀色の狼の手に変わった。
「‼︎貴様は獣人か‼︎‼︎」
そしてその手を構え、天騎士にとどめを刺そうとしている。
「よっ……寄せ‼︎放せ‼︎」
「何だって?……おっかしいな~さっきお前ら俺達を殺すって言ってなかったか?……だから、殺される前に……殺すんだよ‼︎」
黒いフードの中に見えた金色の瞳からは尋常じゃない殺気が溢れていた。
その殺気に圧された天騎士は命乞いをする。
「ま……待て‼︎……話し合おう‼︎我々は国を守る王国軍だ‼︎君達市民を守る義務もある……!」
「もう遅えよ……バァカ。」
彼は天騎士を上に投げ飛ばし、自らも跳んでその天騎士の身体を両手両足でガッチリ掴み、回転しながら地面に叩きつけた。
「止めろおおおおお‼︎‼︎‼︎」
時既に遅し。
天騎士達が屋上から顔を覗かせ下を見る。
地面からは砂塵が舞い、よく見えなかった。
砂塵が晴れてきた時に見えたのは、彼の身体が地面深くに埋め込まれたものだった。
そこからさっきの男がゆら~っと立ち上がる。
そして目を金色に光らせ、屋上の天騎士を再びギロッと睨み付ける。
天騎士は再び背筋に強い寒気を感じ、彼に襲い掛かる。
「や……やれ‼︎殺せ‼︎」
「そう来なくっちゃなぁ……‼︎‼︎」
彼は手足を銀色の狼の手に変え、白目は黒くなり、瞳も鋭くなった。
更には全身の筋肉が増幅し、一回り大きくなった。
それにより鎧が全て砕け落ち、服だけがのこった。
全身の毛を逆立たせ、天騎士に向かう。
豪速のスピードで天騎士に切りかかる。
天騎士はすかさず剣を抜き、鋭い爪を受け止める。
剣と爪がぶつかった衝撃で、辺りに衝撃波が生まれる。
宮殿の窓ガラスが割れ落ちた。
ここから本格的に市民と王国軍の激闘が始まった。
彼だけじゃない。
下では銀髪の少年達が宮殿を破壊し続けていた。
それに気づいた天騎士は彼らに対しても殺しにかかる。
銀髪の少年達を含める彼らと天騎士との闘いは三日三晩続いた。
その激闘の末、勝利したのは市民。
その激闘で活躍した8人の獣人達は神をも殺す強さを持つ者達として『神殺し』と呼ばれ、この革命を成功させた英雄として知れ渡った。
その2年後、市民達の話し合いの結果、王族は全員処刑される事となった。
宮殿の広場にて王族は断頭台で処刑され、革命は終わった。
後にこの革命は『ロナンディア革命』または、こう呼ばれた。
『神殺し革命』……と。
ーカスタル宮殿ー
……以上です。」
ディゴールが話した後には、何とも言えない重苦しい空気が漂った。
話を聞いたヴィーマ国王は静かに拍手をする。
「……ふ……ふふふ。素晴らしい出来事だな。話してくれて感謝するよ、ディゴール君。」
「い……いえ。」
ディゴールは口外してはならない話をしてしまった屈辱と、国を裏切った罪悪感に押し潰されている気分だった。
「もう帰ってもいいよ。ありがとうね。」
「……失礼しました。」
ディゴールは静かにお辞儀をして、退室する。
ディゴールが部屋を出た後、ヴィーマはしばらく腰が抜けて立てなかった。
「ククク……まさかロナンディアにこんな事件があったとはな。」
落ち着け、よく考えろ。
目を凝らしていた時に感じたのは、強い突風、悲鳴、血しぶき。
そして目を開けた時には、足元に大量の死体が転がっていた。
「何だ……⁉︎何が起きたんだ⁉︎」
兵士の身体に刻まれた痛々しい切り傷。
しかし、下にいる市民達が使っているのは銃。
持っていて切れるものと言えば槍だが、この一瞬で、しかも王国軍を全員殺れるとは思えない。
だが、もう一つ心当たりがある。
空を飛ぶ獣だ。
奴は翼が生えていたが、鋭い爪も持っていた。
奴が獣人だと言うのは間違いないだろう。
「なら……見間違いじゃないとすれば、さっきの獣人が……⁉︎」
気づいた頃には遅かった。
奴は自分の後ろに回り込んでいた。
「しまっ……‼︎」
急いで剣を抜き、奴を切ろうとするが、素早い攻撃でフィルサハッドは爪でバッサリと切られた。
命乞いをする暇もなく、あっさりと逝ってしまった。
一国の宮廷騎士団長とあろう者が、こうもあっさりやられてしまった。
そして先程天騎士を呼びに行った兵士が天騎士を引き連れて戻ってきた。
天騎士は魔法を使って飛んでくる。
しかし、戻ってきて見た光景には目を疑った。
王国軍が全員やられている。
息のある者は誰一人いなかった。
更には宮廷騎士団長までやられていた。
「何だ……?一体何が⁉︎」
天騎士ですら状況が飲み込めなかった。
「我々王国軍を倒せる者が市民の中に存在しているというのか⁉︎……‼︎全員直ちに市民共を殺せ‼︎」
「ハッ‼︎」
その言葉を言った瞬間、彼らの背後から声が聞こえた。
「誰を殺すって?なぁおい。」
背筋に強い寒気を感じ、声の方向へ素早く振り向く。
皆は再び目を丸くして驚いた。
そこにいたのは、黒いフードを頭に被り、金色の胸当てに真紅のマントを羽織った戦士だった。
しかも、死にかけた天騎士の頭を手で掴んでいる。
天騎士は顔から血を流し、鎧はボロボロになっていた。
「はっ……がっ……‼︎」
兵士は辛うじて生きていた。
しかし、天騎士はここに辿り着いてから1分も経っていない。
この一瞬で彼を死にかけまで追い込んだのだ。
この男は間違いなく強い。
「何だ貴様は‼︎彼を放せ‼︎」
その男は不敵な笑みを浮かべ、手を上に挙げる。
その手が銀色の狼の手に変わった。
「‼︎貴様は獣人か‼︎‼︎」
そしてその手を構え、天騎士にとどめを刺そうとしている。
「よっ……寄せ‼︎放せ‼︎」
「何だって?……おっかしいな~さっきお前ら俺達を殺すって言ってなかったか?……だから、殺される前に……殺すんだよ‼︎」
黒いフードの中に見えた金色の瞳からは尋常じゃない殺気が溢れていた。
その殺気に圧された天騎士は命乞いをする。
「ま……待て‼︎……話し合おう‼︎我々は国を守る王国軍だ‼︎君達市民を守る義務もある……!」
「もう遅えよ……バァカ。」
彼は天騎士を上に投げ飛ばし、自らも跳んでその天騎士の身体を両手両足でガッチリ掴み、回転しながら地面に叩きつけた。
「止めろおおおおお‼︎‼︎‼︎」
時既に遅し。
天騎士達が屋上から顔を覗かせ下を見る。
地面からは砂塵が舞い、よく見えなかった。
砂塵が晴れてきた時に見えたのは、彼の身体が地面深くに埋め込まれたものだった。
そこからさっきの男がゆら~っと立ち上がる。
そして目を金色に光らせ、屋上の天騎士を再びギロッと睨み付ける。
天騎士は再び背筋に強い寒気を感じ、彼に襲い掛かる。
「や……やれ‼︎殺せ‼︎」
「そう来なくっちゃなぁ……‼︎‼︎」
彼は手足を銀色の狼の手に変え、白目は黒くなり、瞳も鋭くなった。
更には全身の筋肉が増幅し、一回り大きくなった。
それにより鎧が全て砕け落ち、服だけがのこった。
全身の毛を逆立たせ、天騎士に向かう。
豪速のスピードで天騎士に切りかかる。
天騎士はすかさず剣を抜き、鋭い爪を受け止める。
剣と爪がぶつかった衝撃で、辺りに衝撃波が生まれる。
宮殿の窓ガラスが割れ落ちた。
ここから本格的に市民と王国軍の激闘が始まった。
彼だけじゃない。
下では銀髪の少年達が宮殿を破壊し続けていた。
それに気づいた天騎士は彼らに対しても殺しにかかる。
銀髪の少年達を含める彼らと天騎士との闘いは三日三晩続いた。
その激闘の末、勝利したのは市民。
その激闘で活躍した8人の獣人達は神をも殺す強さを持つ者達として『神殺し』と呼ばれ、この革命を成功させた英雄として知れ渡った。
その2年後、市民達の話し合いの結果、王族は全員処刑される事となった。
宮殿の広場にて王族は断頭台で処刑され、革命は終わった。
後にこの革命は『ロナンディア革命』または、こう呼ばれた。
『神殺し革命』……と。
ーカスタル宮殿ー
……以上です。」
ディゴールが話した後には、何とも言えない重苦しい空気が漂った。
話を聞いたヴィーマ国王は静かに拍手をする。
「……ふ……ふふふ。素晴らしい出来事だな。話してくれて感謝するよ、ディゴール君。」
「い……いえ。」
ディゴールは口外してはならない話をしてしまった屈辱と、国を裏切った罪悪感に押し潰されている気分だった。
「もう帰ってもいいよ。ありがとうね。」
「……失礼しました。」
ディゴールは静かにお辞儀をして、退室する。
ディゴールが部屋を出た後、ヴィーマはしばらく腰が抜けて立てなかった。
「ククク……まさかロナンディアにこんな事件があったとはな。」
0
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
いつか優しく終わらせてあげるために。
イチイ アキラ
恋愛
初夜の最中。王子は死んだ。
犯人は誰なのか。
妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。
12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
あなたが後悔しても、私の愛はもう戻りません
藤原遊
恋愛
婚約者のアルベルトは、優しい人だった。
ただ――いつも、私より優先する存在がいただけで。
「君は分かってくれると思っていた」
その一言で、リーシェは気づいてしまう。
私は、最初から選ばれていなかったのだと。
これは、奪われた恋を取り戻す物語ではない。
後悔する彼と、もう戻らないと決めた私、
そして“私を選ぶ人”に出会うまでの、静かな恋の終わりと始まりの物語。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる