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第33話 母の愛
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「うんまーーーいっ! 主、ありがとうっ!」
「あ、本当だ。すごく甘いな。
イチゴにちょっと似てる?
普通にデザートとして食べられそうじゃないか?」
「久々に食したが、悪くないな。」
「これ、はじめてたべた。おいしい。」
「ワフッ! ワフッ!」
王都から戻った俺たちは、
これまで耕すだけだった畑に、さっそくルビートマトの種を植えた。
種はすぐに芽を出し、ゆっくりと成長し――
わずか24時間後には、赤い宝石のような実をつけていた。
見た目は、俺がちょっと苦手なトマトそのもの。
一瞬ためらったものの、思い切って口に入れると、
イチゴのような甘みが一気に広がって、思わず目を見開いた。
……これは、幸せな味だ。
ずっとクロが食べたがっていたから、
ようやく食べさせてあげられたことも嬉しい。
そう思っていると、クロに続いてみんながトマトにかぶりつき、
次々と幸せそうな声を上げた。
――ただ一人、ユキを除いて。
ユキだけが、どこか不思議そうな顔で、
口をもごもごさせている。
「……ワフ?」
「どうした? ユキ。
……ちょっと、ペッてして?」
「ワフ……」
「あ、ロウキ。これって、もしかして……ルビー?」
「ああ。
ルビートマトという名の由来はそれだ。稀にルビーが採れる。
ユキ、それは食べ物ではないから出しな――
……ああっ!」
「わぁっ!
ユキ! ペッてしなさい! お腹壊すだろう?!」
石ころでも入っていたのかと思い、ユキの口を開けさせると――
その舌の上には、赤く輝く二センチほどのルビーが乗っていた。
本当にルビーが採れることがあるのか……と感心している間に、
ロウキの「食べ物じゃない」という言葉を最後まで聞かず、
ユキはそのまま、ルビーを飲み込んでしまった。
「……あっ」
慌てて口を開けさせようとした時には、もう遅い。
ユキの口の中は、すでに空っぽだった。
「まったく……ユキは……
ロウキに似て、食いしん坊だなぁ……」
「我は、ユキほど食い意地を張っておらぬわ」
「どこがだよー!
いつも“肉、肉”ってうるさいじゃん!」
「知らんっ!
……ん? ……ユキ?お前……?」
「え……?
……え?! ユキ?!」
軽口を叩き合っていた、その時だった。
ロウキがユキを見て、明らかに表情を変えた。
何だ? と思って視線を向けた瞬間――
ユキの体が、淡い光に包まれた。
ふわり、と宙に浮かび、
真っ白だった毛並みが、赤く輝き始める。
……明らかに、様子がおかしい。
やっぱり、さっきのルビーのせいだ――
そう思って焦った、次の瞬間。
ユキの額から、一本の長い角が生えた。
ユニコーンの角を少し短くしたような、
透き通るほど美しい角。
さらに、ルビーのペンダントのような首輪が、
ユキの首元に現れた。
それを見たロウキの目は、
どこか、うるんでいるように見えた。
何が起きているんだ――?
そう思った時、
ユキの体から、スウッと小さな何かが姿を現した。
【精霊の気配を検知。負のエネルギー反応は確認されません。
脅威レベル:ゼロ。観察を継続します】
頭の中でエマが精霊の気配を感知を知らせてくれた。
それは――
俺がこの世界で初めて目にする存在だった。
「はじめまして、皆さま。
私は、ルビーを司る精霊――マーニと申します。
かつて私は、この子の母であるフェンリルと契約を交わしておりました。
しかし、彼女の命が残りわずかとなった時、
彼女の願いにより、その契約は子であるこの子へと移されました。
そして今日まで、私は眠りについておりましたが……
この子がルビーを飲み込んだことで、再び目を覚ますことができたのです。
これまで彼女に与えていた加護は、すべてこの子に引き継がれます。
彼女の意思と共に、私はこの子を守護することを、お約束いたします」
「すごい……
ユアさんの……遺した愛だ……」
「ユア……お前は、本当に……」
ユアの体から現れたのは、
ルビーを司る精霊――マーニだった。
小さな姿ながら、赤く長い髪は美しく、
どこか可憐さを感じさせる存在。
彼女からこれまでの経緯を聞くうちに、
気づけば、俺の頬を涙が伝っていた。
ロウキを見ると、
彼もまた目を潤ませ、愛おしそうにユキとマーニを見つめている。
こんな形で、
ロウキが愛したユアさんに触れられる日が来るなんて――
思いもしなかった。
これはもう、
母の愛以外の何ものでもない。
そう思っていた、その時だった。
「……ち、父上。
あるじさま……僕です。ユキ……です。」
「ユキが喋ったーーーー!!」
「ユキー!!」
「ユキ、しゃべった!
おれと、おなじ!」
今まで一言も喋らなかったユキが、
「父上」「あるじさま」と声を出した。
赤ちゃんが初めて言葉を話した時のような、
そんな感動が胸に込み上げて、
俺は思わず叫びながら、ユキを抱きしめた。
……ついに、喋った。
これはヤバい。
それに、ユアさんの愛情が、
全身から伝わってきて――
本当に、涙が止まらなかった。
【精霊の祝福を確認しました。
個体名:ユキ
種族:ルビー・フェンリル(精霊守護個体)へと進化しました。
「ルビーの原石」の摂取、および精霊マーニの覚醒に伴い、
眠っていた血統能力が完全に開花したことを確認。
個体名「ユア」より託された契約が正常に移行されました】
「ユキは、ルビー・フェンリルって種族になったのか……
しかも精霊守護個体って、なんか護られてる感があっていいな」
感動のなか、エマからの報告でユキの進化情報を知った。
こんなふうに進化することがあるんだと思うと感動するな。
「母上に……お礼を言いたいです」
ユキの言葉に、そっと地面へ下ろす。
そして、
家の庭に建てた、ユアさんの石碑の前へ向かうと――
ユキは、それを見上げて静かに言った。
「母上。
僕は、母上の愛情をたくさんいただきました。
今、とても幸せです。
これからも、父上や、あるじさまたちを護っていきます。
どうか……お空の上から、見守っていてください」
「……ユキ……」
ユキは、石碑のそばに咲いていた花を口で摘み、
そっと供えた。
……ああ、本当に優しい子だ。
ユアさんの愛が、
ユキをこんなふうに育てたんだろう。
それに、
口では色々言うけど――
ロウキの愛情も、とても深い。
その両方が、ちゃんとユキに伝わっていたからこそ、
こんなにも心優しいフェンリルに育ったんだと思う。
「それでは……
私は、この子の中へ戻ります。
皆さまにも、精霊の祝福を……」
「ありがとう、マーニ。
ユキを頼むな」
「はい――」
ユキの祈りを見届けたマーニは、
静かにユキの中へと戻っていった。
ユアさんのことで、
俺の中にも、不安がなかったわけじゃない。
だけど――
マーニの加護と、ユアさんの愛があれば、
ユキはきっと大丈夫だ。
その想いは、これからもユキを護ってくれる。
俺は、そう信じていた――
◇
「ルビーの精霊の加護かぁ……
どんな加護なんだろう? ユキ、ちょっと来て!」
「はい! あるじさま!」
「ちょっとステータス見るね。
ステータスオープン……えーっと……
"思念伝達"で、 感情の言語化が可能になったんだな。
で、"精霊の加護"で、火属性適性と生命力が大幅に強化だって。
……"母の愛"で、常に精神状態を安定させ、邪気を退けてくれるみたいだよ。
泣けてくるねぇ」
「嬉しい進化です!」
ステータスを見ながら、
俺は一人、胸の奥が温かくなるのを感じていた。
母の愛情って、やっぱり一番の加護だよな――
そんなことを考えていた。
「そうだね。
こう見るとユキは火属性のフェンリルさんだなぁ。
……あ、でも雷属性の適性もあるんだ。
やっぱり親子だねぇ」
「そうみたいです。
父上が、母上は炎の扱いがとても上手だったと話していました。
僕も、そうなれるように頑張ります。
でも、雷は苦手なので……父上にお任せします」
「あはは。
苦手なことは、得意な人に任せればいいもんね。
きっとユキは、お母さん似だなぁ。
優しい顔、してるもんな」
「ふふっ!」
こうして話していると、ユアさんのこと、もっと知りたくなった。
今度、ロウキにゆっくり話を聞いてみようかな。
なんて思っていると、パタパタと翼を羽ばたかせてクロがやってきた。
「ユキ! 遊びに行こうぜー!」
「クロ兄さん! 行きましょう!」
「あはは。
“クロ兄さん”か。お兄ちゃんになれて、よかったな?」
「うんっ! 俺、嬉しい!
じゃあ行ってくる! ミルも行くぞー!」
「おれもいく! まってー!」
クロは照れくさそうに尻尾を揺らしながら、
ユキとミルを連れて駆けていった。
そんな皆の後姿を見ながら、思っていた。
これからもっと賑やかになるだろうなって。
……だけど、悪いことじゃない。
だからこそ、
領地の線引きは、ちゃんとしておかないとって改めて思った。
「ロウキー。
暇なら、俺の領地の境界線、見に行かない?
ちゃんと分かるようにしておきたくて。」
「ふむ……仕方あるまい。
すぐそこだ。……乗れ。」
「え? いいのか? ありがと!」
「今は、気分が良いからな。行くぞ!」
「ああ!」
ロウキの背に乗り、俺はぎゅっと掴まる。
今日のことで、
ロウキも少し、救われたのなら嬉しいな。
ユアさんの想いは、
きっとロウキのことも包んでくれると思うから。
その想いを感じられる限り、
きっと――ずっと一緒だ。
そう思いながら、
俺たちは領地の境界線へと向かった――
「あ、本当だ。すごく甘いな。
イチゴにちょっと似てる?
普通にデザートとして食べられそうじゃないか?」
「久々に食したが、悪くないな。」
「これ、はじめてたべた。おいしい。」
「ワフッ! ワフッ!」
王都から戻った俺たちは、
これまで耕すだけだった畑に、さっそくルビートマトの種を植えた。
種はすぐに芽を出し、ゆっくりと成長し――
わずか24時間後には、赤い宝石のような実をつけていた。
見た目は、俺がちょっと苦手なトマトそのもの。
一瞬ためらったものの、思い切って口に入れると、
イチゴのような甘みが一気に広がって、思わず目を見開いた。
……これは、幸せな味だ。
ずっとクロが食べたがっていたから、
ようやく食べさせてあげられたことも嬉しい。
そう思っていると、クロに続いてみんながトマトにかぶりつき、
次々と幸せそうな声を上げた。
――ただ一人、ユキを除いて。
ユキだけが、どこか不思議そうな顔で、
口をもごもごさせている。
「……ワフ?」
「どうした? ユキ。
……ちょっと、ペッてして?」
「ワフ……」
「あ、ロウキ。これって、もしかして……ルビー?」
「ああ。
ルビートマトという名の由来はそれだ。稀にルビーが採れる。
ユキ、それは食べ物ではないから出しな――
……ああっ!」
「わぁっ!
ユキ! ペッてしなさい! お腹壊すだろう?!」
石ころでも入っていたのかと思い、ユキの口を開けさせると――
その舌の上には、赤く輝く二センチほどのルビーが乗っていた。
本当にルビーが採れることがあるのか……と感心している間に、
ロウキの「食べ物じゃない」という言葉を最後まで聞かず、
ユキはそのまま、ルビーを飲み込んでしまった。
「……あっ」
慌てて口を開けさせようとした時には、もう遅い。
ユキの口の中は、すでに空っぽだった。
「まったく……ユキは……
ロウキに似て、食いしん坊だなぁ……」
「我は、ユキほど食い意地を張っておらぬわ」
「どこがだよー!
いつも“肉、肉”ってうるさいじゃん!」
「知らんっ!
……ん? ……ユキ?お前……?」
「え……?
……え?! ユキ?!」
軽口を叩き合っていた、その時だった。
ロウキがユキを見て、明らかに表情を変えた。
何だ? と思って視線を向けた瞬間――
ユキの体が、淡い光に包まれた。
ふわり、と宙に浮かび、
真っ白だった毛並みが、赤く輝き始める。
……明らかに、様子がおかしい。
やっぱり、さっきのルビーのせいだ――
そう思って焦った、次の瞬間。
ユキの額から、一本の長い角が生えた。
ユニコーンの角を少し短くしたような、
透き通るほど美しい角。
さらに、ルビーのペンダントのような首輪が、
ユキの首元に現れた。
それを見たロウキの目は、
どこか、うるんでいるように見えた。
何が起きているんだ――?
そう思った時、
ユキの体から、スウッと小さな何かが姿を現した。
【精霊の気配を検知。負のエネルギー反応は確認されません。
脅威レベル:ゼロ。観察を継続します】
頭の中でエマが精霊の気配を感知を知らせてくれた。
それは――
俺がこの世界で初めて目にする存在だった。
「はじめまして、皆さま。
私は、ルビーを司る精霊――マーニと申します。
かつて私は、この子の母であるフェンリルと契約を交わしておりました。
しかし、彼女の命が残りわずかとなった時、
彼女の願いにより、その契約は子であるこの子へと移されました。
そして今日まで、私は眠りについておりましたが……
この子がルビーを飲み込んだことで、再び目を覚ますことができたのです。
これまで彼女に与えていた加護は、すべてこの子に引き継がれます。
彼女の意思と共に、私はこの子を守護することを、お約束いたします」
「すごい……
ユアさんの……遺した愛だ……」
「ユア……お前は、本当に……」
ユアの体から現れたのは、
ルビーを司る精霊――マーニだった。
小さな姿ながら、赤く長い髪は美しく、
どこか可憐さを感じさせる存在。
彼女からこれまでの経緯を聞くうちに、
気づけば、俺の頬を涙が伝っていた。
ロウキを見ると、
彼もまた目を潤ませ、愛おしそうにユキとマーニを見つめている。
こんな形で、
ロウキが愛したユアさんに触れられる日が来るなんて――
思いもしなかった。
これはもう、
母の愛以外の何ものでもない。
そう思っていた、その時だった。
「……ち、父上。
あるじさま……僕です。ユキ……です。」
「ユキが喋ったーーーー!!」
「ユキー!!」
「ユキ、しゃべった!
おれと、おなじ!」
今まで一言も喋らなかったユキが、
「父上」「あるじさま」と声を出した。
赤ちゃんが初めて言葉を話した時のような、
そんな感動が胸に込み上げて、
俺は思わず叫びながら、ユキを抱きしめた。
……ついに、喋った。
これはヤバい。
それに、ユアさんの愛情が、
全身から伝わってきて――
本当に、涙が止まらなかった。
【精霊の祝福を確認しました。
個体名:ユキ
種族:ルビー・フェンリル(精霊守護個体)へと進化しました。
「ルビーの原石」の摂取、および精霊マーニの覚醒に伴い、
眠っていた血統能力が完全に開花したことを確認。
個体名「ユア」より託された契約が正常に移行されました】
「ユキは、ルビー・フェンリルって種族になったのか……
しかも精霊守護個体って、なんか護られてる感があっていいな」
感動のなか、エマからの報告でユキの進化情報を知った。
こんなふうに進化することがあるんだと思うと感動するな。
「母上に……お礼を言いたいです」
ユキの言葉に、そっと地面へ下ろす。
そして、
家の庭に建てた、ユアさんの石碑の前へ向かうと――
ユキは、それを見上げて静かに言った。
「母上。
僕は、母上の愛情をたくさんいただきました。
今、とても幸せです。
これからも、父上や、あるじさまたちを護っていきます。
どうか……お空の上から、見守っていてください」
「……ユキ……」
ユキは、石碑のそばに咲いていた花を口で摘み、
そっと供えた。
……ああ、本当に優しい子だ。
ユアさんの愛が、
ユキをこんなふうに育てたんだろう。
それに、
口では色々言うけど――
ロウキの愛情も、とても深い。
その両方が、ちゃんとユキに伝わっていたからこそ、
こんなにも心優しいフェンリルに育ったんだと思う。
「それでは……
私は、この子の中へ戻ります。
皆さまにも、精霊の祝福を……」
「ありがとう、マーニ。
ユキを頼むな」
「はい――」
ユキの祈りを見届けたマーニは、
静かにユキの中へと戻っていった。
ユアさんのことで、
俺の中にも、不安がなかったわけじゃない。
だけど――
マーニの加護と、ユアさんの愛があれば、
ユキはきっと大丈夫だ。
その想いは、これからもユキを護ってくれる。
俺は、そう信じていた――
◇
「ルビーの精霊の加護かぁ……
どんな加護なんだろう? ユキ、ちょっと来て!」
「はい! あるじさま!」
「ちょっとステータス見るね。
ステータスオープン……えーっと……
"思念伝達"で、 感情の言語化が可能になったんだな。
で、"精霊の加護"で、火属性適性と生命力が大幅に強化だって。
……"母の愛"で、常に精神状態を安定させ、邪気を退けてくれるみたいだよ。
泣けてくるねぇ」
「嬉しい進化です!」
ステータスを見ながら、
俺は一人、胸の奥が温かくなるのを感じていた。
母の愛情って、やっぱり一番の加護だよな――
そんなことを考えていた。
「そうだね。
こう見るとユキは火属性のフェンリルさんだなぁ。
……あ、でも雷属性の適性もあるんだ。
やっぱり親子だねぇ」
「そうみたいです。
父上が、母上は炎の扱いがとても上手だったと話していました。
僕も、そうなれるように頑張ります。
でも、雷は苦手なので……父上にお任せします」
「あはは。
苦手なことは、得意な人に任せればいいもんね。
きっとユキは、お母さん似だなぁ。
優しい顔、してるもんな」
「ふふっ!」
こうして話していると、ユアさんのこと、もっと知りたくなった。
今度、ロウキにゆっくり話を聞いてみようかな。
なんて思っていると、パタパタと翼を羽ばたかせてクロがやってきた。
「ユキ! 遊びに行こうぜー!」
「クロ兄さん! 行きましょう!」
「あはは。
“クロ兄さん”か。お兄ちゃんになれて、よかったな?」
「うんっ! 俺、嬉しい!
じゃあ行ってくる! ミルも行くぞー!」
「おれもいく! まってー!」
クロは照れくさそうに尻尾を揺らしながら、
ユキとミルを連れて駆けていった。
そんな皆の後姿を見ながら、思っていた。
これからもっと賑やかになるだろうなって。
……だけど、悪いことじゃない。
だからこそ、
領地の線引きは、ちゃんとしておかないとって改めて思った。
「ロウキー。
暇なら、俺の領地の境界線、見に行かない?
ちゃんと分かるようにしておきたくて。」
「ふむ……仕方あるまい。
すぐそこだ。……乗れ。」
「え? いいのか? ありがと!」
「今は、気分が良いからな。行くぞ!」
「ああ!」
ロウキの背に乗り、俺はぎゅっと掴まる。
今日のことで、
ロウキも少し、救われたのなら嬉しいな。
ユアさんの想いは、
きっとロウキのことも包んでくれると思うから。
その想いを感じられる限り、
きっと――ずっと一緒だ。
そう思いながら、
俺たちは領地の境界線へと向かった――
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しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。
スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。
何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……?
「今日は野菜の苗植えをします」
「おー!」
「めぇー!!」
友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。
そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。
子育て成長、お仕事ストーリー。
ここに爆誕!
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