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第35話 ゲート造りと魔物
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「えーっと……ゲートのイメージ、かぁ……
あ、そういえば、絵に描いても生成できるって言ってたよな?
じゃあ、まずは紙とペンを生成しようっと。
……クレオ!」
ポンッ――
「よし、できた。
ゲートはアーチ状で……素材は大理石みたいな感じかな。
中央には、透明な青い水みたいな壁があって……
濡れないけど、ひんやりする感じ。
あれ、絶対に綺麗だよなぁ。
それで、俺と繋がってる人しか通れないようにして……これは絶対。
そこを抜けたら、ギルドに到着する――そんなイメージだな」
とある日のお昼前。
俺は転移ゲートを作るため、ひとり奮闘していた。
とはいえ、頭の中のイメージはなかなか定まらない。
そこで紙とペンを生成し、思い描いたゲートの姿を描き込んでいく。
「紙に描いても有効だったはず」という曖昧な記憶を頼りに、
あれこれ考えながら描き続けること約三十分。
ようやく納得のいく形が見えてきた。
「よし、これなら……いけそうな気がする。
それじゃ、いきますか……クレオ!」
絵だけでなく、言葉での設定も通じるのか――
そんなことを考えつつ、ゲートを設置する場所を検討した結果、
ユアさんの石碑の隣がいい、という結論に至った。
意識を集中させ、「クレオ」と唱える。
相変わらず体の中から一気に魔力を持っていかれる感覚に襲われた。
魔力無限の俺にとって致命的ではないけど、
この“抜き取られる感じ”には、どうにも慣れない。
そうして魔力を注ぎ込むと、
石碑の隣に、俺のイメージ通りのゲートが形を成していく。
白く、大理石のような素材のアーチ状の門。
その中央には、青く透明な水の壁がゆっくりと現れ、
神秘的に揺らめいていた。
本当にここを通ればギルドへ行けるのか――
多少の不安はあるものの、
ひとまず一つ目のゲートは完成だ。
「うまく生成できたんじゃないか?」
「だよな?
あとは、これと対になるゲートをギルド側に作ればいいんだよな?」
「ああ。その前に、このゲートにギルドの記憶を練り込んでおけ」
「あ、そっか。やってみるわ」
出来栄えをロウキに確認すると、
「うまくできた」と、珍しく素直に褒められた。
言われた通り、意識を集中させ、
王都の冒険者ギルドを思い浮かべる。
【転移場所の登録が完了しました】
「お、できたみたい! ありがとう、エマ」
手を水の壁にかざして待っていると、
水面がゆっくりと波紋を描き始め、
やがてエマから登録完了の報告が届いた。
これで一つ目は完成――
そう思ったところで、ふと疑問が浮かぶ。
「なぁ、ロウキ。
これ、一回作ったら複製できる奴っていないのかな?
解析して同じものを生成するとか……よくあるじゃん。
そういう魔物、いない?」
「……知識系魔物なら、いるかもしれんな」
「知識系魔物?なにそれ!」
「体内に取り込んだものを解析し、
同等のものを生成できる魔物だ。
もっとも、希少すぎてこの辺にいるかは分からんがな」
「え、それ……絶対に従魔にしたいんだけど!」
以前から思っていた。
一度作ったものを複製したり、
既製品を解析して再現できたり――
そんな能力を持つ存在がいれば、心底ありがたい。
加護があるっていうのに、俺自身にはそういう能力は備わっていないらしい。
だからこそ、もし可能な生き物がいるなら、
仲間にしたいと強く思ってしまう。
だけど、その言葉にロウキは目を細め、ため息を吐いた。
「己の欲望のために魔物を使役するな。
人間を探せばよかろう」
「それは……確かにそうなんだけどさ。
人間って、正直めんどくさいんだよ。人間関係とか」
「はぁ?お前はそれでも人間か。
人間は群れで生きる生き物だろうが」
「人それぞれなんですよ、ロウキさん。
交流が苦手な人もいるんです。
俺はなるべく平穏に暮らしたいから、
信頼できる人が見つかるまでは、下手に関わりたくないんです」
ロウキの言葉は正論だった。
だけど、「解析・複製ができる人間を探す」という案は、
どうしても気が進まない。
そう伝えると、ロウキは視線を逸らし、
もう一度、大きなため息を吐いた。
「……わがままな奴だな。
それなら、セドラのじいさんに聞いてみたらどうだ?
あやつ、物知りそうだっただろう」
「あ、それだ! じゃあ今から行く?」
「はぁ……本当に、思いついたら即行動だな。
ユキたちを呼んでくる。
お前は出かける支度をしておけ」
「やった! じゃあ準備してくる!」
呆れつつも代案を出してくれるロウキは、
やっぱり優しい。
そう思いながら家に戻り、
調理済みの食事をアイテムボックスに詰め込んで外へ出ると――
すでに皆が集まっていた。
「あるじさま、準備できました!」
「主、行くぞー!」
「かばん、もとうか? だいじょうぶ?」
「ありがとう、ミル。俺は大丈夫だよ」
「……さっさと行くぞ。」
「オッケー!
それじゃあ、鉱山に向けて出発ー!」
面倒くさそうなロウキを先頭に、俺たちは家を後にした。
――そういえば、セドラには心で呼びかければ反応があるかもしれない。
ふと、そんな考えもよぎった。
だけど、皆で出かけるのは楽しいし、
今はこのままがいい。
そう思いながら、
俺たちは鉱山へと向かった――
◇
「じゃーん!
今日のお昼ご飯は――焼き鳥でーす!」
「はじめて、たべる!」
「前に食べた、肉と野菜の串焼きと……何が違うんだ?」
「あれはオークのお肉だったでしょう?
今回は、王都で買った“スモールバード”って魔物のお肉なんだけど、
俺の世界の鶏肉に似てたからさ。
生成スキルで、塩ダレ味と甘辛タレを作ってみました!」
俺は得意げに串を掲げる。
「これから、じっくり焼いて食べます!
野菜スープもあるからねー」
「おれ、やく。」
「ありがとうミル。
じゃあ俺は、こっちでスープ温めてるな」
鉱山へ向かって歩くこと、約二時間。
昼食をまだ取っていなかったことを思い出し、
ここでランチタイムにすることにした。
アイテムボックスからテーブルや調理道具を取り出し、即席の食卓を用意する。
ミルはいつも料理を手伝ってくれるから、今日も率先して動いてくれた。
気分は、焼き鳥屋の大将。
そんなことを考えながら、俺はスープを温める。
焼き上がった串から肉を外し、みんなに配ると――
待ったなしで、食事が始まった。
「うむ! この調味料とやらも、実に絶品だな!
スモールバードは、あまり美味とは思ってはいなかったが……
焼き鳥にすると、まるで別物だ!」
「あるじさま、このお肉……すごく美味しいです!」
「うんまいなぁ!
スモールバードって、前の主は火で一気に焼いてたからさ。
いつも硬かったんだよな。
でもこれは、外がカリッとしてて、中が柔らかい!
美味すぎー!」
「焼き鳥、いいよなぁ。
昔から、俺これ好きだったんだよねぇ……
あー、おにぎり食べたい。
米って、どうやって作るのか研究しなきゃだなぁ」
焼き鳥を頬張っていると、無性におにぎりが恋しくなってきた。
白米が食べたい――
そう思うことは前からあったけれど、
本格的に研究したことはまだない。
王都には、似たような作物があるだろうか。
時間が取れたら、食料品の店を回ってみたい。
それに、ゲートも設置できるなら、しておきたいし。
そんなことを一人で考えながら昼食を終え、
少し休憩を挟んでから、再び鉱山へと歩き出した――
◇
それから、のんびり歩いて野営をし、
翌日の夕方前には鉱山へと到着した。
道中、低級魔物には遭遇したものの、
皆に任せようと思っていたら――
「魔法を使え」と、ロウキに一蹴され、
結局、必死になって自分で討伐する羽目になった。
……これからも、
ずっとこんな感じで鍛えられるんだろうなぁ。
一人、心の中で嘆く。
「あれ?
今日は休日なのかな。人がいないな。
……まあ、その方が俺は助かるけど」
曜日感覚がないから断言はできないけれど、
どうやら今日は休みらしい。
がらんとした鉱山の入り口には、
警備兵が二人立っているだけだった。
「こんにちはー。
ちょっと、お邪魔しますね」
「はっ!
ヨシヒロさま! どうぞ、お通りください!」
「はは……ありがとうございます。
お邪魔しますねぇ」
声をかけると、俺の情報はすでに行き渡っているようで、
あっさりと中へ通された。
この扱い、正直ちょっとむずがゆい。
軽く頭を下げて中へ入ると、
以前来た時よりも、空気が澄んでいるように感じた。
――セドラが正気に戻って、
きちんと守護してくれているから、かな。
そう思いながら、
セドラのいる地下二階へと向かう。
「じいちゃん、元気かなぁ?」
「僕、進化してから初めて会うので……
ちょっと、緊張してます。」
「絶対、“カッコよくなった”って言ってくれるって」
「そうだと……嬉しいです!」
地下へ降りていく途中、
クロとユキがそんな会話をしていて、思わず頬が緩んだ。
クロにとっては、蘇ってから初めてできた友達――いや、弟分。
ユキにとっても、父親以外で初めて遊んだ相手だろう。
この二匹を見ていると、
胸の奥がじんわりと温かくなって、
不思議と心が満たされる。
「あー!
いた! じいちゃん! 遊びに来た!」
「おお、お前さんたちか。
……おや? ユキ、お前さん進化したのか?
随分と男前になったのう」
「はい!
母上のおかげで、進化できたみたいです!
母が契約していたルビーの精霊さんが、
今は僕と契約してくれていて……
その影響みたいです」
「そうかそうか。
角の生えたフェンリルは珍しいからな。
きっと、母の愛情がそうさせたのだろう」
「僕も、そう思います!
父上と母上の愛情のおかげで、今の僕があります!」
「……」
地下二階、セドラの住処には、
いつも通りのんびりとした様子のセドラがいた。
クロとユキは駆け寄り、
セドラはそれを優しく迎え入れる。
ユキの進化に気づいたセドラは目を細め、
話を聞きながら、何度も「そうかそうか」と頷いていた。
……これはもう、完全に
“じいちゃんと孫”の光景だ。
いいなぁ、こういうの。
俺はそんなことを思いながら、
しばらくその微笑ましいやり取りを、黙って見つめていた――
あ、そういえば、絵に描いても生成できるって言ってたよな?
じゃあ、まずは紙とペンを生成しようっと。
……クレオ!」
ポンッ――
「よし、できた。
ゲートはアーチ状で……素材は大理石みたいな感じかな。
中央には、透明な青い水みたいな壁があって……
濡れないけど、ひんやりする感じ。
あれ、絶対に綺麗だよなぁ。
それで、俺と繋がってる人しか通れないようにして……これは絶対。
そこを抜けたら、ギルドに到着する――そんなイメージだな」
とある日のお昼前。
俺は転移ゲートを作るため、ひとり奮闘していた。
とはいえ、頭の中のイメージはなかなか定まらない。
そこで紙とペンを生成し、思い描いたゲートの姿を描き込んでいく。
「紙に描いても有効だったはず」という曖昧な記憶を頼りに、
あれこれ考えながら描き続けること約三十分。
ようやく納得のいく形が見えてきた。
「よし、これなら……いけそうな気がする。
それじゃ、いきますか……クレオ!」
絵だけでなく、言葉での設定も通じるのか――
そんなことを考えつつ、ゲートを設置する場所を検討した結果、
ユアさんの石碑の隣がいい、という結論に至った。
意識を集中させ、「クレオ」と唱える。
相変わらず体の中から一気に魔力を持っていかれる感覚に襲われた。
魔力無限の俺にとって致命的ではないけど、
この“抜き取られる感じ”には、どうにも慣れない。
そうして魔力を注ぎ込むと、
石碑の隣に、俺のイメージ通りのゲートが形を成していく。
白く、大理石のような素材のアーチ状の門。
その中央には、青く透明な水の壁がゆっくりと現れ、
神秘的に揺らめいていた。
本当にここを通ればギルドへ行けるのか――
多少の不安はあるものの、
ひとまず一つ目のゲートは完成だ。
「うまく生成できたんじゃないか?」
「だよな?
あとは、これと対になるゲートをギルド側に作ればいいんだよな?」
「ああ。その前に、このゲートにギルドの記憶を練り込んでおけ」
「あ、そっか。やってみるわ」
出来栄えをロウキに確認すると、
「うまくできた」と、珍しく素直に褒められた。
言われた通り、意識を集中させ、
王都の冒険者ギルドを思い浮かべる。
【転移場所の登録が完了しました】
「お、できたみたい! ありがとう、エマ」
手を水の壁にかざして待っていると、
水面がゆっくりと波紋を描き始め、
やがてエマから登録完了の報告が届いた。
これで一つ目は完成――
そう思ったところで、ふと疑問が浮かぶ。
「なぁ、ロウキ。
これ、一回作ったら複製できる奴っていないのかな?
解析して同じものを生成するとか……よくあるじゃん。
そういう魔物、いない?」
「……知識系魔物なら、いるかもしれんな」
「知識系魔物?なにそれ!」
「体内に取り込んだものを解析し、
同等のものを生成できる魔物だ。
もっとも、希少すぎてこの辺にいるかは分からんがな」
「え、それ……絶対に従魔にしたいんだけど!」
以前から思っていた。
一度作ったものを複製したり、
既製品を解析して再現できたり――
そんな能力を持つ存在がいれば、心底ありがたい。
加護があるっていうのに、俺自身にはそういう能力は備わっていないらしい。
だからこそ、もし可能な生き物がいるなら、
仲間にしたいと強く思ってしまう。
だけど、その言葉にロウキは目を細め、ため息を吐いた。
「己の欲望のために魔物を使役するな。
人間を探せばよかろう」
「それは……確かにそうなんだけどさ。
人間って、正直めんどくさいんだよ。人間関係とか」
「はぁ?お前はそれでも人間か。
人間は群れで生きる生き物だろうが」
「人それぞれなんですよ、ロウキさん。
交流が苦手な人もいるんです。
俺はなるべく平穏に暮らしたいから、
信頼できる人が見つかるまでは、下手に関わりたくないんです」
ロウキの言葉は正論だった。
だけど、「解析・複製ができる人間を探す」という案は、
どうしても気が進まない。
そう伝えると、ロウキは視線を逸らし、
もう一度、大きなため息を吐いた。
「……わがままな奴だな。
それなら、セドラのじいさんに聞いてみたらどうだ?
あやつ、物知りそうだっただろう」
「あ、それだ! じゃあ今から行く?」
「はぁ……本当に、思いついたら即行動だな。
ユキたちを呼んでくる。
お前は出かける支度をしておけ」
「やった! じゃあ準備してくる!」
呆れつつも代案を出してくれるロウキは、
やっぱり優しい。
そう思いながら家に戻り、
調理済みの食事をアイテムボックスに詰め込んで外へ出ると――
すでに皆が集まっていた。
「あるじさま、準備できました!」
「主、行くぞー!」
「かばん、もとうか? だいじょうぶ?」
「ありがとう、ミル。俺は大丈夫だよ」
「……さっさと行くぞ。」
「オッケー!
それじゃあ、鉱山に向けて出発ー!」
面倒くさそうなロウキを先頭に、俺たちは家を後にした。
――そういえば、セドラには心で呼びかければ反応があるかもしれない。
ふと、そんな考えもよぎった。
だけど、皆で出かけるのは楽しいし、
今はこのままがいい。
そう思いながら、
俺たちは鉱山へと向かった――
◇
「じゃーん!
今日のお昼ご飯は――焼き鳥でーす!」
「はじめて、たべる!」
「前に食べた、肉と野菜の串焼きと……何が違うんだ?」
「あれはオークのお肉だったでしょう?
今回は、王都で買った“スモールバード”って魔物のお肉なんだけど、
俺の世界の鶏肉に似てたからさ。
生成スキルで、塩ダレ味と甘辛タレを作ってみました!」
俺は得意げに串を掲げる。
「これから、じっくり焼いて食べます!
野菜スープもあるからねー」
「おれ、やく。」
「ありがとうミル。
じゃあ俺は、こっちでスープ温めてるな」
鉱山へ向かって歩くこと、約二時間。
昼食をまだ取っていなかったことを思い出し、
ここでランチタイムにすることにした。
アイテムボックスからテーブルや調理道具を取り出し、即席の食卓を用意する。
ミルはいつも料理を手伝ってくれるから、今日も率先して動いてくれた。
気分は、焼き鳥屋の大将。
そんなことを考えながら、俺はスープを温める。
焼き上がった串から肉を外し、みんなに配ると――
待ったなしで、食事が始まった。
「うむ! この調味料とやらも、実に絶品だな!
スモールバードは、あまり美味とは思ってはいなかったが……
焼き鳥にすると、まるで別物だ!」
「あるじさま、このお肉……すごく美味しいです!」
「うんまいなぁ!
スモールバードって、前の主は火で一気に焼いてたからさ。
いつも硬かったんだよな。
でもこれは、外がカリッとしてて、中が柔らかい!
美味すぎー!」
「焼き鳥、いいよなぁ。
昔から、俺これ好きだったんだよねぇ……
あー、おにぎり食べたい。
米って、どうやって作るのか研究しなきゃだなぁ」
焼き鳥を頬張っていると、無性におにぎりが恋しくなってきた。
白米が食べたい――
そう思うことは前からあったけれど、
本格的に研究したことはまだない。
王都には、似たような作物があるだろうか。
時間が取れたら、食料品の店を回ってみたい。
それに、ゲートも設置できるなら、しておきたいし。
そんなことを一人で考えながら昼食を終え、
少し休憩を挟んでから、再び鉱山へと歩き出した――
◇
それから、のんびり歩いて野営をし、
翌日の夕方前には鉱山へと到着した。
道中、低級魔物には遭遇したものの、
皆に任せようと思っていたら――
「魔法を使え」と、ロウキに一蹴され、
結局、必死になって自分で討伐する羽目になった。
……これからも、
ずっとこんな感じで鍛えられるんだろうなぁ。
一人、心の中で嘆く。
「あれ?
今日は休日なのかな。人がいないな。
……まあ、その方が俺は助かるけど」
曜日感覚がないから断言はできないけれど、
どうやら今日は休みらしい。
がらんとした鉱山の入り口には、
警備兵が二人立っているだけだった。
「こんにちはー。
ちょっと、お邪魔しますね」
「はっ!
ヨシヒロさま! どうぞ、お通りください!」
「はは……ありがとうございます。
お邪魔しますねぇ」
声をかけると、俺の情報はすでに行き渡っているようで、
あっさりと中へ通された。
この扱い、正直ちょっとむずがゆい。
軽く頭を下げて中へ入ると、
以前来た時よりも、空気が澄んでいるように感じた。
――セドラが正気に戻って、
きちんと守護してくれているから、かな。
そう思いながら、
セドラのいる地下二階へと向かう。
「じいちゃん、元気かなぁ?」
「僕、進化してから初めて会うので……
ちょっと、緊張してます。」
「絶対、“カッコよくなった”って言ってくれるって」
「そうだと……嬉しいです!」
地下へ降りていく途中、
クロとユキがそんな会話をしていて、思わず頬が緩んだ。
クロにとっては、蘇ってから初めてできた友達――いや、弟分。
ユキにとっても、父親以外で初めて遊んだ相手だろう。
この二匹を見ていると、
胸の奥がじんわりと温かくなって、
不思議と心が満たされる。
「あー!
いた! じいちゃん! 遊びに来た!」
「おお、お前さんたちか。
……おや? ユキ、お前さん進化したのか?
随分と男前になったのう」
「はい!
母上のおかげで、進化できたみたいです!
母が契約していたルビーの精霊さんが、
今は僕と契約してくれていて……
その影響みたいです」
「そうかそうか。
角の生えたフェンリルは珍しいからな。
きっと、母の愛情がそうさせたのだろう」
「僕も、そう思います!
父上と母上の愛情のおかげで、今の僕があります!」
「……」
地下二階、セドラの住処には、
いつも通りのんびりとした様子のセドラがいた。
クロとユキは駆け寄り、
セドラはそれを優しく迎え入れる。
ユキの進化に気づいたセドラは目を細め、
話を聞きながら、何度も「そうかそうか」と頷いていた。
……これはもう、完全に
“じいちゃんと孫”の光景だ。
いいなぁ、こういうの。
俺はそんなことを思いながら、
しばらくその微笑ましいやり取りを、黙って見つめていた――
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しかしそんな穏やかな生活も、ある日拾い癖が高じてついに羊を連れた人間(小さな女の子)を拾った事で、少しずつ様変わりし始める。
スキル階級・底辺<ボトム>のありふれたスキル『召喚士』持ちの女の子・エレンと、彼女に召喚されたただの羊(か弱い非戦闘毛動物)メェ君。
何の変哲もない子たちだけど、実は「動物と会話ができる」という、スキル研究家のスレイでも初めて見る特殊な副効果持ちの少女と、『特性:沼』という、ヘンテコなステータス持ちの羊で……?
「今日は野菜の苗植えをします」
「おー!」
「めぇー!!」
友達を一千万人作る事が目標のエレンと、エレンの事が好きすぎるあまり、人前でもお構いなくつい『沼』の力を使ってしまうメェ君。
そんな一人と一匹を、スキル研究家としても保護者としても、スローライフを通して褒めて伸ばして導いていく。
子育て成長、お仕事ストーリー。
ここに爆誕!
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