硝子の大瓶

愛の温もり

私は今
貴方の持つナイフの温かさから
貴方の愛を量る

私の喉の冷たさから
胸の冷たさから
貴方への愛を測る


欅が咲きました
貴方のそばで
ひっそりと人知れず
私の眺めている先で
涼やかな光を受けて
貴方に添うように
ひっそりと柔らかに

私は彼処には行けない
いけない
柔らかなそれを崩してはいけない
澱のような私が侵してはいけない
水面の蓮
清浄の最上なるもの
貴方を包み込むもの
温かなものに私は近付いてはいけない
どうか温かな女と幸せになってください
冷たい私を忘れないでください
私が冷たいことを忘れないでください
そして近づかないでください

優しい貴方
近づかないでください
温かな貴方の持つ私を焼き切るナイフ
貴方から離れる私を許さない貴方の心
私に向けないで触らないで
貴方の手は幸せを産み
貴方の指は幸せを紡ぐ
間違っても冷たい私の血で汚さないで
その温かなナイフを私で汚さないでけがさないで

優しい人愛しい人
暖かな人常世の人

私は貴方の握ったナイフの温度で
私への愛がわかったのです