硝子の大瓶

しゃんゆぅ

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焚き火の跡

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いつ来るかはわからないの
いつかは来るとわかってはいるのだけれど

こんなに心燃やした物が
様々な感情をくれた物が
陽だまりをくれた物が
嵐をもたらした物が

ある日ふと
何も感じなくなる

昨日まで笑っていた物が
絹の様にするりと
私の心を滑り抜けていく

ねぇ知っていて?
人の心は無限で無いことを
愛も憎しみも
薪をくべる事を止めてしまえば
火は消えてしまう

なら薪を絶やさなければ良いのだけれど
ただ何となく
気が向いた時にくべて
気が向かなかったら何もせずに
ただただ眺めるのも良い物だと思うのです

ゆっくりと
ちらちら小さくなっていく火
いつかは終わりを迎える激しくて淡い心

いつ来るかはわからないけど
その時の穏やかに笑ってられるように
私はこの焚き火を愛し続けましょう

願いを込めて
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