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序章
1-1 ヒバナ=フレイ
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この世界には五千年ほど前、【ラグナロク】という魔龍が現れて世界を滅ぼそうとしたのだが、世界滅亡の一歩手前で神剣を携えた少女が現れ、魔龍を一太刀にして地に伏せ、封印してしまったそうだ。
少女の名はジャンヌ=フレイ。人々は彼女を聖女と呼び、その活躍は英雄譚にもなって、私たちの世代にも伝えられている。
そして私の名はヒバナ=フレイ、十五歳。聖女ジャンヌ=フレイの血を正統に継いでいる。
救世の英雄の血を次いでいるということで、人々はみんなこう思うのだろう。
「お前の家系は相当身分が高いんだろう?」と。
答えを言うと、違う。ジャンヌには二人の子供がいて、私たちの家系は弟の方が先祖に当たるのだが、私の家は至って普通の商人の家。
兄の方が先祖に当たる家系の方は、身分の高い貴族家系らしいが、英雄の血を継いでいることを理由に一族全員が驕り高ぶっているそうで、別に人々から尊敬されていたりとかそう言うのはないし、むしろ嫌われている。
「ぐー……ぐー……んぁ?もう朝?」
部屋の窓から刺す日光が、私の意識をまどろみから覚醒させていく。
私の家はさっきも言った通り、商人の家。しかも、両親揃って世界中を巡る商人で、基本家に私以外の人はいない
誰もいないということは、つまり、いつまで寝ていても怒られないと言うこと。お陰で生活リズムは狂い放題で……
「いま何時……わぁぁぁぁぁ!?もうお昼過ぎてるじゃん!!」
壁に駆けられている丸時計の針が、午後一時を指している。
今日は一時半から"お仕事"で外に出なければならず、これは非常にマズい状況だ。
乱暴に服を脱ぎ、前日ベッドの下に置いていた着替えを着用し、マントとをつけて、跳ねまくってる髪はウィッチ帽で隠して……はい、これで私はどこからどう見ても魔法使い。
言い忘れていたが、私は魔術師で、アゼルハイト一番の大国【マグノフィール王国】の【エルドレアの街】にあるギルドに所属して、クエストを受けて金を稼いでいる。
で、一時半からの仕事と言うのは、同じギルドの魔術師何人かと協力して巨大なモンスターを倒しにいく【レイドハント】というクエストで、二十五分には街の中央公園で他の魔術師達と合流しなければならない。
「待ち合わせまで残り二十二分、今から走れば間に合う!」
部屋の壁に立て掛けておいた杖を取って、階段を駆け降り、誰もいない家に一言。
「行ってきます!」
私は家を飛び出し、中央公園を目指して全力で走る。
「おっそいなぁヒバナのヤツ、集合時間まであと三分だぞ!」
貧乏ゆすりをして苛立ちを隠せずにいる金髪の青年、大剣使いの魔術師、エドルさん。
「またお寝坊さんじゃないですかぁ?」
ベンチに腰掛ける紫色の髪の女性、支援魔術や回復魔術を得意とするネラさん。
「たくっ、毎度毎度いい加減にしてほしいッス!!」
身長の低い私と同い年の茶髪の少年、片手剣が得物の魔術師、カイルさん。
この三人が今日……というか、レイドハントはもちろん、通常のクエストでも私と協力してくれる魔術師達だ。
「遅くなってごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
公園の時計の針が示す時間は、一時二十三分。
「ぎ、ギリギリセー──」
安堵したその時、公園に敷かれたレンガの一つが浮き上がっていて、それに私は蹴つまづき、勢いよく転んでしまう。
「ブゥッ!?」
「あーあー、なにやってんだよあいつ……ネラ、回復魔術!」
「ホントに世話の焼ける子ね……【ライトヒール】」
エドルさんは私を助け起こし、ネラさんがすかさず回復魔術を使って、酷いことになっている私の顔面を治療してくれる。
「ヒバナちゃん、大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます……」
「そんなに慌てるんならもっと早くに来てろっつの!」
「すいません、寝坊しちゃって……」
「私の予想、当たってたわね」
「時間の管理くらいちゃんとやってくれよな……まぁいいか。ほら、クエスト開始前に作戦の確認だ」
「は、はい!」
エドルさんが地図と、白い紙をベンチに広げ、ズボンのポケットから色つきの石をいくつか取り出す。
「俺たちが向かうのはここ、街から北西に五キロのところにある平原地帯だ。ここに最近巨大すぎるリザードマンが居座ってるんだが、ここは街に出入りする商人の馬車のルートに入ってる。アゼルハイト商人組合の依頼で、俺たちはこの巨大リザードマンを討伐することになった。」
「それは全員分かってるッス!」
「でだ、大事なのは作戦。まず俺とカイルがリザードマンのヘイトを貯めておく。その間に、ヒバナは"大魔法"の詠唱をする。ヒバナの詠唱が終わったら、ネラに防御魔法をかけてもらった俺とカイルでリザードマンの攻撃を受け止める。リザードマンが俺たちに集中して動きが止まった瞬間、ヒバナがズドンッ!!」
エドルさんがリザードマンの石に私の石をぶつける。
「とまぁ、こういう感じだ。ヒバナ、くれぐれも詠唱は間違えないでくれよ?」
「了解です!」
「カイル、最後は俺たちの粘りが試される。根性出せよ!」
「任せるッス!」
「ネラ、今回はお前の支援ありきの作戦だ。俺たちの命、きっちり預かってもらうぞ」
「無傷で返せるように努力するわ」
「よし、クエスト開始まで残り一分、全員出発だー!!」
「了解!!」
エドルさんの号令と共に、私たちは街の出口に向かって駆け出した。
──レイドハントクエスト【平原のリザードマン討伐】開始──
少女の名はジャンヌ=フレイ。人々は彼女を聖女と呼び、その活躍は英雄譚にもなって、私たちの世代にも伝えられている。
そして私の名はヒバナ=フレイ、十五歳。聖女ジャンヌ=フレイの血を正統に継いでいる。
救世の英雄の血を次いでいるということで、人々はみんなこう思うのだろう。
「お前の家系は相当身分が高いんだろう?」と。
答えを言うと、違う。ジャンヌには二人の子供がいて、私たちの家系は弟の方が先祖に当たるのだが、私の家は至って普通の商人の家。
兄の方が先祖に当たる家系の方は、身分の高い貴族家系らしいが、英雄の血を継いでいることを理由に一族全員が驕り高ぶっているそうで、別に人々から尊敬されていたりとかそう言うのはないし、むしろ嫌われている。
「ぐー……ぐー……んぁ?もう朝?」
部屋の窓から刺す日光が、私の意識をまどろみから覚醒させていく。
私の家はさっきも言った通り、商人の家。しかも、両親揃って世界中を巡る商人で、基本家に私以外の人はいない
誰もいないということは、つまり、いつまで寝ていても怒られないと言うこと。お陰で生活リズムは狂い放題で……
「いま何時……わぁぁぁぁぁ!?もうお昼過ぎてるじゃん!!」
壁に駆けられている丸時計の針が、午後一時を指している。
今日は一時半から"お仕事"で外に出なければならず、これは非常にマズい状況だ。
乱暴に服を脱ぎ、前日ベッドの下に置いていた着替えを着用し、マントとをつけて、跳ねまくってる髪はウィッチ帽で隠して……はい、これで私はどこからどう見ても魔法使い。
言い忘れていたが、私は魔術師で、アゼルハイト一番の大国【マグノフィール王国】の【エルドレアの街】にあるギルドに所属して、クエストを受けて金を稼いでいる。
で、一時半からの仕事と言うのは、同じギルドの魔術師何人かと協力して巨大なモンスターを倒しにいく【レイドハント】というクエストで、二十五分には街の中央公園で他の魔術師達と合流しなければならない。
「待ち合わせまで残り二十二分、今から走れば間に合う!」
部屋の壁に立て掛けておいた杖を取って、階段を駆け降り、誰もいない家に一言。
「行ってきます!」
私は家を飛び出し、中央公園を目指して全力で走る。
「おっそいなぁヒバナのヤツ、集合時間まであと三分だぞ!」
貧乏ゆすりをして苛立ちを隠せずにいる金髪の青年、大剣使いの魔術師、エドルさん。
「またお寝坊さんじゃないですかぁ?」
ベンチに腰掛ける紫色の髪の女性、支援魔術や回復魔術を得意とするネラさん。
「たくっ、毎度毎度いい加減にしてほしいッス!!」
身長の低い私と同い年の茶髪の少年、片手剣が得物の魔術師、カイルさん。
この三人が今日……というか、レイドハントはもちろん、通常のクエストでも私と協力してくれる魔術師達だ。
「遅くなってごめんなさぁぁぁぁぁい!!」
公園の時計の針が示す時間は、一時二十三分。
「ぎ、ギリギリセー──」
安堵したその時、公園に敷かれたレンガの一つが浮き上がっていて、それに私は蹴つまづき、勢いよく転んでしまう。
「ブゥッ!?」
「あーあー、なにやってんだよあいつ……ネラ、回復魔術!」
「ホントに世話の焼ける子ね……【ライトヒール】」
エドルさんは私を助け起こし、ネラさんがすかさず回復魔術を使って、酷いことになっている私の顔面を治療してくれる。
「ヒバナちゃん、大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます……」
「そんなに慌てるんならもっと早くに来てろっつの!」
「すいません、寝坊しちゃって……」
「私の予想、当たってたわね」
「時間の管理くらいちゃんとやってくれよな……まぁいいか。ほら、クエスト開始前に作戦の確認だ」
「は、はい!」
エドルさんが地図と、白い紙をベンチに広げ、ズボンのポケットから色つきの石をいくつか取り出す。
「俺たちが向かうのはここ、街から北西に五キロのところにある平原地帯だ。ここに最近巨大すぎるリザードマンが居座ってるんだが、ここは街に出入りする商人の馬車のルートに入ってる。アゼルハイト商人組合の依頼で、俺たちはこの巨大リザードマンを討伐することになった。」
「それは全員分かってるッス!」
「でだ、大事なのは作戦。まず俺とカイルがリザードマンのヘイトを貯めておく。その間に、ヒバナは"大魔法"の詠唱をする。ヒバナの詠唱が終わったら、ネラに防御魔法をかけてもらった俺とカイルでリザードマンの攻撃を受け止める。リザードマンが俺たちに集中して動きが止まった瞬間、ヒバナがズドンッ!!」
エドルさんがリザードマンの石に私の石をぶつける。
「とまぁ、こういう感じだ。ヒバナ、くれぐれも詠唱は間違えないでくれよ?」
「了解です!」
「カイル、最後は俺たちの粘りが試される。根性出せよ!」
「任せるッス!」
「ネラ、今回はお前の支援ありきの作戦だ。俺たちの命、きっちり預かってもらうぞ」
「無傷で返せるように努力するわ」
「よし、クエスト開始まで残り一分、全員出発だー!!」
「了解!!」
エドルさんの号令と共に、私たちは街の出口に向かって駆け出した。
──レイドハントクエスト【平原のリザードマン討伐】開始──
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