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第4話 恋に落ちたあの日のこと(6)
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翌日、昼休みの校舎内。高山は廊下に出て、ぼんやりと窓から中庭の景色を眺めていた。
午前中の授業はまったく集中できなかった。昨日の出来事が頭から離れず、どうにも気が散ってしまう。
あれからどうしただろう。体は大丈夫だろうか。まだ痛みが残っているのではないか。何より心の方は――。
と、頭の中であれやこれやと思い描いていたタイミングだった。ちょうど侑人の姿が視界に入ってきて、高山は思わず目を瞠る。
(昨日の今日でマジかよ)
姿を探していたわけでもないのだが、なんという偶然だろう。
侑人は友人らと談笑しながら歩いていた。足取りもしっかりしていて、特に不調そうには見えない。
そのことにほっと胸を撫で下ろしつつも、たまたま通りかかったのか、本城の姿もあることに遅れて気がつく。こともあろうに、本城は以前と変わらぬ態度で侑人に声をかけていた。
「――……」
高山の中で、モヤモヤとした感情が広がっていくのを感じる。
侑人は笑顔を浮かべていたものの、どことなくぎこちなさが漂っているように思えた。
本城もそれに気づいたらしい。一瞬だけ表情を曇らせるも、すぐに笑顔を取り戻して侑人の肩を叩く。
(ああ、なんだこれ)
べつに誰が誰と何を話そうかなんて、個人の自由に決まっている。なのに、どうしてこんなにも苛立っているのだろう。嫌な感情が渦巻くのを抑えられない。
「っ、くそ」
高山は舌打ちすると、廊下を後にして中庭へと向かった。
二段飛ばしで階段を駆け降り、二人のもとへ急ぐ。そして辿り着いた矢先、侑人の肩に腕を回したのだった。
「悪い、本城――こいつ借りてく」
本城が何か言うよりも先に体が動いていた。
そのまま侑人の腕を引いて、半ば強引にその場から連れ出す。背後から戸惑う声が聞こえてくるも、高山は構わずに歩き続けた。
本城が追ってくる様子はない。もしかしたら何か察したのかもしれないが、今はそんなことどうでもよかった。
「ちょっと、引っ張らないでくださいよ! 放してっ……この、放せっての!」
人気のない場所まで来ると、侑人の口調が素のものに変わる。そこでようやく手を放して振り返った。
「すまん、いきなり手引っ張ったことなら謝る。痛かったか?」
「……べつに全然だけど。あんたが来るとは思わなかった」
侑人が気まずそうに目を逸らす。よく見れば、泣き腫らしたような目元をしており、胸がざわつくのを感じた。
「もしかして、あれからまた泣いた?」
「っ、なんでそんなこと訊くんだよ」
「これでも心配してるんだ。フられたばかりだってのに、そう簡単に切り替えられるわけないだろ」
「………………」
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