上 下
15 / 61

第4話 意地っ張り同士のふれあい(4)★

しおりを挟む
「先生っ」

 橘が焦る気配を感じたけれど、ここにきて引き下がることなどできるものか――諒太は構わず喉の締まりで圧迫してやった。異物を押し戻そうと生理的な吐き気を催すも、粘膜を擦りつけて口淫を続ける。

「っ、それヤバ……」
「ん、ぐっ」

 もう言葉を返す余裕もない。ただ奉仕に夢中になって、じゅぷじゅぷと水音を響かせた。
 口腔内で橘のものがさらに膨張して、質量を増していくのがわかる。仕上げとばかりに先端をきつく締めあげれば、やがて熱いものが弾けた。

「――っ」

 橘が身を震わせて大量の精液を放っていく。
 諒太はむせそうになりつつもその全てを受け入れ、ごくりと音を立てて飲み込んだ。それから、ようやく口を離して言葉を紡ぐ。

「すげ……精液、濃いの出た」

 喉の奥で絡みつく感じがして、何度か咳払いをしてやり過ごす。顔を上げると、橘が戸惑った様子でこちらを見ていた。

「すみません、俺――」
「いーよ、溜まってたんだろ? これですっきりしたか?」
「………………」

 橘の顔が曇る。まだ自分の心情が整理できていないのだろう。
 そんな彼に微笑んで、諒太は諭すように告げた。

「橘が俺のこと想ってくれてるの、すげー嬉しいよ。こうやって一人にしないでくれたのも感謝してる」
「先生……」
「けどさ、橘のそれは本当に恋愛感情なのかよく考えてほしい。君はゲイじゃないんだし、俺だって、君とどうこうなりたいってワケじゃないんだからさ。……わかったなら、今日はもうこの話はナシな」
「――……」

 橘は何か言いかけたものの、結局は何も言わずに顔を伏せた。そうして、ややあってから再び口を開く。

「……先生がそう言うなら。ちょっと頭冷やしてきます」

 言って、洗面所へと向かっていった。
 寂しげな印象を受けたけれど、どうしようもない。一人残された諒太は、人知れずため息をつく。

(あーほんと危なかった。一線超えなくてよかった――お互い、絶対後悔するところだったよな)

 告白されたとき、正直なところ嬉しかった。意中の相手からあんなふうに迫られて、真っ直ぐな言葉を聞かされたら、心だって揺らいでしまうに決まっている。
 しかし、だ――自分は講師で、相手は生徒。何よりもノンケときた。立場や性別上のことを考えたら、簡単に受け入れていいものではない。

 ただ、皮肉にも、思い出すのは先ほどの光景だった。

(橘のすごかったな。あんなので奥突かれたら……)

 体は正直なもので、考えだしたらもう止まらなかった。熱を持て余し、知らずのうちに下腹部へと手が伸びてしまう。

「橘……」

 やり場のない感情がまた膨らんでいく。切なさに、諒太の胸はじくじくと痛んだ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

すきにして

ライト文芸 / 完結 24h.ポイント:1,164pt お気に入り:0

顔の良い灰勿くんに着てほしい服があるの

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:440pt お気に入り:0

年下の夫は自分のことが嫌いらしい。

BL / 完結 24h.ポイント:1,057pt お気に入り:217

ぬきさしならへんっ!

BL / 連載中 24h.ポイント:78pt お気に入り:239

異世界に行ったらオカン属性のイケメンしかいなかった

BL / 連載中 24h.ポイント:653pt お気に入り:200

処理中です...