天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

39 サスパニア出張旅行 その2_10

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   *          *

「なるほどね、晴子さん。その『火薬』で先ず間違いないかと、……」

「やはり、……ダメでしたかね?」

「さぁっ、……?」

 女神様はそう仰ってから、少しだけ怪訝そうにこちらをじっと見つめてこられた。
 こちらとしては、その美しく形のいい両眼が若干睨み気味に見つめてくるものだから、少々気まずくなってしまった。

「当時の私は、ファイルド国に何とか貢献したいと思っていて、エリクサーの開発と並行して、いくつかの案を進めていたんです」

「えぇ。私も陰ながら応援しておりましたよ!」

「えっ!? 女神様もご覧になられてたのですか?」

「はい。私が現地で直接見ていたワケではなくて、……晴子さんと同様にNPCの視野をお借りして、あなたの活躍する様子を拝見させて頂いたのですよ!」

「は、はぁ、……。なら、お止めになられても良かったのに!」

 すると、女神様は少しだけ半身を乗り出して、こちらの顔をじっと見つめてきた。

「私はね、晴子さん、あなたに興味があるんです! あなたが何をどう考え、如何に実行するか。ただただそれだけに、強い関心があるんですよ!」

 一学徒として、最上級の誉め言葉だとハルコンは思った。

 そんな名誉なお言葉を、尊敬する女神様が仰って下さるのだ。
 こんなにも自分の行いに誇りを持てたのは、これが初めてだと、ハルコンはとても光栄に思った。

 だが、相手は女神様だ。細心の注意を払ってでも、確認すべき点がある。
 だから、……とても怖いんだけど、ちゃんと訊ねなくてはならない。

「なら、その際のプロセスのみ重視され、結果がどうなろうと構わないと仰ってるのと同じなのでは?」

「えぇ、そうです。私にとって、聖徳晴子さんは単なる『神の御使い』ではなく、『神様見習い』として接してきたつもりです!」

 女神様がそう仰いながら、こちらの手をグッと握ってこられた。
 その手の温もりは心地よく、とても、……優しく、すべすべ。こちらの緊張をほぐすような気配を感じられた。

 なるほど。私はこの女神様から大変愛されているのだと、漸く理解できた。
 すると、女神様は更に身体を近づけてこられ、背中から抱き締めて下さった。

「これまでにね、いくつもの『神の御業』(チートスキル)をあなたにお渡しして参りました。そのいずれもあなたは大切に扱ってくれて、私としても、とても嬉しく思っているのですよ!」

「ありがとう、……ございます」

「お役に立てましたか?」

 女神様は耳元に口を近づけて、優しく囁かれた。

「はい、……これまでに、どれだけ私の窮地を救ってくれたことか、……と」

 それだけ告げるので精いっぱい。ハルコンの緊張の度合いは、まさに天井状態だった。
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