天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司

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第一部「ハルコン少年期」

41 サスパニア出張旅行 その4_04

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   *          *

「それではカルソン教授、シリア秘書長、……。引き続き出張旅行の期間中、私が不在でも対応できるよう、手配をよろしくお願いしますね!」

「「了解しました!」」

 カルソン教授とシリア秘書長は、力強く頷くとニッコリ笑みを返して、それぞれの持ち場に戻っていった。

 さて、……と。研究所の運営については、とりあえずこの2人で問題ない。
 後のことは2人に任せて、……。次に私がすべきことは、一体何かな?
 
 そう思って、先ほどの大型獣人女子2人を見上げたところ、……。

「えぇ~っ、ハルコン殿。ちょっち、よろしいでやすか?」

 横からの声に、若干元女盗賊さんの不服そうな気配が感じられた。

「えぇと、どうされましたか?」

 すると、元女盗賊さんの話によると、……この2人の獣人女子達を、ここ最近妹分として面倒を見ているんだそうだけど。

 2人とも恵体の上、運動神経も抜群。それだけなら、かなりの戦力に思われるのだが、如何せん気持ちが男衆に比べて弱いのだとか。

 でも、そのポテンシャルは見た目どおりで、大いに期待できるのも事実なのだとか。

 そもそも、このゴリ子とトラ子の一族は、他領で飢饉が起こった際に、人減らしで放逐されてしまっていたそうだ。
 そんな彼女達が苦難の末に辿り着いた安息の地こそ、我がセイントーク領だったのだという。

 セイントーク領では、獣人にも分け隔てなく接する。
 噂を聞き付けた獣人達が数多く流入する中、人材派遣業を立ち上げた元女盗賊さんの仕切りで、次々と獣人達に仕事が割り振られていったのだ。
 
 どうやら、適切で公平な態度で人と接する元女盗賊さんに対し、ゴリ子とトラ子は心の底から心酔しているようでして、……。
 何かと言えば、「姉御、姉御」と言いながら、どんなところにも後から付いてくるようになったのだそうだ。

 そして彼女達は今、これでもかって具合に元女盗賊さんから様々なダメ出しを受けていた。
 その挨拶から身なり、姿勢や態度、話し方に至るまで、事細かにキツく注意をされてしまっていて、……。

 あの図体のでかい2人が、もうまさに青菜に塩の状態だ。

 傍らで見ているこっちからするとさ、……。何が何でも手助けしなくちゃいけないような気分にさせられてしまうんだよね。

「えぇ~っ、コホン。元女盗賊さん、……とりあえず、もうこの辺で! ここで立ち話も何ですから、これから私の部屋(所長室のこと)にいきませんか?」

「ハッ、ハルコン殿ぉっ! このバカちんどもをば、今ぁキチンとせぬばぁ、よかあんめぇでよ!」

「ねっ、皆さんの目が集まっていますからっ! だから、……私の部屋にいきましょうね!」

 少し強い調子で、こちらの意思をそう伝えたところ、……。
 元女盗賊さんは、「よかよぉ、……!」といって、それから彼女自身の後頭部の毛髪を、手櫛でくしゅっとさせた。
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