幻獣士の王 ーとある魔性植物園ー

瑠璃垣玲緒

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始動編

参加希望

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 リベルタのみで行っていた変異種育成計画に、ヘンルーダが参加希望を伝えて来た。
 どうやらまたレナードさん絡みらしい。
 トラヴァーで幻獣の卵と妖精と精霊を連れ帰って来たことに関係していて職員を研修に寄越したらしい。
 育成計画責任者として商業ギルドのウォーレンさんが、他に商業ギルドのエヴァと、冒険ギルドのイリアナという2人の女性が来るらしい。
 その研修の一環で我が植物園にも見学に来るらしいので、公開範囲の場所の選定や対応する職員の選定で朝から大忙しだ。
 案内役は当園の変異種担当責任者のオロフ・エールンバリに任せておけば安心だ。
 対外交渉が得意な奴だから任命したのだから。
 問題は当日の世話係だ。
 せめて質問に答えられる者だと良いのだが。

 ヤバそうな物は非公開部分に移し、ヤバそうな奴は見学時間はフィールドワークか、奥の方の建物で作業するように通達した。
 無事当日を迎える事が出来た。
「今日はお世話になります、ヘンルーダの商業ギルドの変異種育成計画責任者のウォーレンと申します。
 こちらが同じく商業ギルドのエヴァと冒険者ギルドのイリアナです」
「「よろしくお願いします」」
「ご丁寧にありがとうございます。
 私が魔性植物園園長のエルマンノで、こちらが当園の育成計画責任者で、本日の案内役を務めるオロフと言います」
「ご紹介に預かりましたオロフです。当園の育成場所をお見せしながら説明させていただき、最後に質問に答える形で考えております。
 ただなにぶん今日が初めての研修による見学のため、不手際があるかと思いますのでご承知おき下さい」
 飼育場所を案内し、注意点などを伝える。
「従魔術や幻獣術を使えればもっと良い環境が作れるかも知れないが、その代わりに我が園は他と違い魔素が多いため、幻獣達が過ごしやすいらしいんです。
 変異種は元の種より賢いですから、こちらが真剣に伝えようとすれば、難しい事でない限り理解してくれます」
「ヘンルーダは冒険者ギルドの副ギルド長が従魔士でもあるので、幻獣達に聞いて環境を整えれば良いということですね」
「それは羨ましい限りです。
 そうですね、変異種の幼体は非常にデリケートで、他の飼育先では隔離しているようですから。
 当園は変異種しか居ないので飼育場に関しては参考にならないかも知れません」
「他でも聞いてみます」
「そうして下さい。
 商業ギルドやレナードさんにどれだけのことを聞いて来たのか分からないので、重複する説明があるかも知れませんがご了承下さい」
 体調を崩してぐったりした時は、魔素溜まりで1、2時間過ごさせるか、魔性果汁の搾り汁を無理やりにでも飲ませること。
 自力で飲めるようになるまで時々飲ませること。
 元気な時は魔素のある森で魔素浴を出来る限りすること。
 元の種族の食事以外に、魔物や魔獣の肉や魔性植物や果実を食べさせること。
 などを伝えた。
 ヘンルーダは迷いの森がリベルタより近いところにあるから、魔素浴は冒険者の協力が有れば比較的容易だろう。
 責任者のウォーレンさんは一通り検証協力する業者を回ったら、冒険者ギルドと商業ギルドで制度上の注意点などを聞いた後にヘンルーダへ戻るそうだ。
 実際の世話などの運用面は残る2人が今日の視察で研修場所を決めるらしい。
 ここは特殊だから外してもらわないとな。





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