35 / 220
第2章
大精霊
しおりを挟むとりあえず一旦森に連れて行き、状況次第では連れ帰ることをシリル達に説明した。
「魔獣は種族で育てるやつと親が育てるやつがいるからなぁ。
卵じゃどんな種族か分からないし、妖精や精霊は気まぐれだからなぁ」
「私と幼体でトラヴァーの入り口まで攫われた子達を連れて行くよ。
森の外まで2人程護衛役を頼みたい。
魔獣や他の人が居たら対処出来ないから」
「俺たち幸運なる蒼き仲間達で護衛してやるよ。
盾役と接近戦に強い奴を付ける。
他のやつは少し離れたところで待機するから心配するな」
慎重に卵を毛布に包み、妖精と精霊は幻獣の幼体の背中や頭に乗せた。
幻獣達の食糧として、小さく切ったホーンラビットの肉と魔性果実もマジックバックに入れて出発した。
トラヴァーに入ると空気が変わる。
魔素が多くなって来たせいか、精霊達が少し光り出した。
一番元気な妖精が案内してくれた場所で止まる。
《ダレカヨンデクル》
そう言って奥へ飛んでいった。
その間に他の子達に魔性果実を絞ってジュースにする。
妖精達は近くから器代わりの葉を取って来たので、順番に入れてあげた。
しばらくして大精霊を連れて妖精が戻って来た。
《人ノ子ヨ、同胞ヲ助ケテクレテ感謝スル》
妖精や精霊はジュースを飲みほすと、次々に大精霊の元に飛んでいった。
毛布に包んでいた卵を地面に置く。
《妖精に聞いてもらったら、親が生きていたら戻りたいと言っているというので連れて来た。分かるだろうか?》
《シバシ待タレヨ》
付き従っていた精霊や妖精達が飛び立っていく。
《我ハ、コノ森の大精霊ノ1人。先程コノ子ラカラ事情ハ聞イタ。良い人ノ子モイルノダナ》
《迷いの森に来る人族は欲深い者が多いですが、そうじゃない人族も沢山います》
《ソノ様ダナ。今回助ケラレタ中ニ、美味シイ物ガモラエルカラ付イテ行キタイトイウ者モイル。小サキ者ハ好奇心ガ旺盛デ、危険ナノニ森ヲ出タガリ困ッタモノダ》
《困りましたね。私は幻獣使いだからある程度は言葉が分かりますが、精霊や妖精となるとどうして良いのか分かりません》
《ナニ、小サキ者ハスグニ飽キル。
次にココニ来ル時マデデ構ワナイ。
ソレナラバ頼メルカ?》
《分かりました。ただ2体までお願いしたいです。それ以上は自信がありません》
《スマナイ、アノ者達ノ話シヲ聞イテ、他ノ者モ騒イデシマッタ》
妖精や精霊達が飛び回っているのは、レナードに付いて行きたくて騒いでいるらしい。
《アァ、卵ヲ人族ニ盗マレタト言ウ者達ガコチラニクル》
《私達は少し離れています》
《ソウシテクレ》
小さな卵以外は引き取られていったが、他にも攫われたようで項垂れて帰って行くものもいた。
《コノ子ノ親ハ片親ニナリ、他ノ子ガイルカラ迎エニ来レナイトイッテイル》
卵に大精霊が何やら話しかけた。
この森に残りたいなら育ての親を探してくれるという様な内容だったらしいが、実の親に捨てられたとショックを受け、拒否して話しを聞こうとしない様子だった。
レナードは幼体と一緒に卵に近付き毛布ごと抱き上げ、優しく撫でた。
幼体も鼻を寄せて卵を舐めた。
幻獣使いでは産まれていない幻獣に話し掛けても通じることはない、それでも絶望する卵に希望を持って欲しかった。
《この子も親が迎えに来ないけど、仲間が出来て頑張っているよ。だから私と一緒に行こう》
《ホウ、ソノ子ハココデハ見タコトナイト思ッタガ、人ノ子ノトコロニイルノカ。
珍シイノォ鋼ノ麒麟カ》
《この子の産まれと種族が分かるのですか?》
《フム、麒麟共ハ他ノ種族ヲ助ケテボロボロニナリ、隠レテシマッタノダ。人族ニ居場所ヲ知ラレタクナイダロウ》
《そういう理由なら迎えに来ることは難しいそうですね。せめて機会があればこの子が生きていることを伝えてもらえませんか?》
《イツニナルカ分カラヌガ約束シヨウ》
大精霊が卵に話し掛け、麒麟の子の同じ状況と知り、レナードと共に森を出ることになった。
この話し合いの間についていく妖精と精霊も決まったらしい。
1
あなたにおすすめの小説
元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~
草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。
勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。
だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。
勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。
しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ!
真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。
これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる