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第6章
散会
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「バルタサール様、そろそろ次の予定のお時間が近付いております。お話しの切りをつけられませんと」
「もうそんな時間か。
レナード殿、視察の後にダンジョンに寄られるとか。
行きか帰りにまた王城に寄ってくれんか?」
「平民の私如きが何度もお邪魔する訳には…」
「良い。その頃までには助手か、視察要員の選定が終わっているだろうから同行させていただきたいのだ」
「先程の件ですか?」
「そうだ。
エルフ連合の民程は役に立たんだろうが、我が民も勤勉で力強い、何かの役には立つだろう。何より幻獣達の事を真剣に考えて活動しているレナード殿を応援したいのだ」
「そこまで仰るのなら、立ち寄らせていただきます。
先触れにクレドという小型の鷹の変異種をこちらの門番のところへ飛ばせてもよろしいでしょうか?」
「良いだろう。
後で侵入許可の魔道具を用意させるから、脚に付けておけば兵士に襲われぬ。
ヘンリク後は頼んだゾ」
「賜りました」
王が退席し重臣や護衛と共に温室を出て行った。
「エイドゥル様、最後に果汁でその時の症状はどの程度かは別ですが軽減すること自体は確認出来ています。
しかし回数を重ねてもほとんど改善がみられない場合には、残念ながら手はありません。
人族は育成方法が間違っていたせいで格段に増えましたが、今までもほぼ正しかった竜人族やエルフ連合の育成方法だとそこまで生存率が上がるかは不明です」
「いいんじゃ。
エルフ達もじゃが、今回精霊王様方に我らの育成方法が概ね合っていたと確認していただけただけでも僥倖。
しかも急変時の対処方法も聞けたのだ、例え助からない命であっても、少しでも楽にさせられるなら有難い。
村に帰ったら早速商業ギルドへ連絡して、正式な変異種育成計画の参加の打診をしよう」
「わしらも参加で良いだろう?アグラレス」
「私も賛成だ。こういう事は人族全体で共有し、発展すべきだからなぁ。
悪用に関しては精霊様の言葉を理解出来る我らが力になれるだろう」
「王に代わりまして私からも正式に冒険者ギルド経由で参加表明致しますわ。
エンサージョ国リベルタで良いのですね?」
「はい、私の方からも連絡を入れておきます。情報が集まればもっと良い方法も出て来るでしょう!
本日は有意義な時間をありがとうございました」
「こちらこそ、予想以上のお話が聞けて楽しかったですわ。
孫達も喜んでいる様ですし」
全員が隣の席のを見ると横たわるアルバの上に弟王子とシャンスが仲良く寝ており、兄王子と王女はケーキを食べながら寝姿を観察しているほのぼのとした光景が見えた。
お茶会の終了を王妃が告げ、王族が次々と温室を出て行く。
エルフ連合の3人と握手して、アルバと共に離宮を後にする。
シャンスはお土産にもらった魔性果実の籠の中だ。
そのまま馬車で竜人族の最寄りの冒険者ギルドに寄ってもらった。
ギルド経由でリベルタの冒険ギルド長のオーガスティンと商業ギルド長のエドウィンに、竜人族の王族とエルフ族とドワーフ族が変異種育成計画に参加を打診して来るだろうことと、現時点での情報を伝えたことを魔電報で送った。
「ランヴァルド、リベルタのオーガスティン様とエドウィン様に先程の育成計画の件で一報をしておいた。
もし問い合わせや返信が有れば、あなたにする様に書いたのでよろしく頼む」
「承知しました」
「学園に着いて落ち着き先が決まったら連絡するが、それまでは緊急事態と道中の情報以外は直接連絡は控えて欲しい。
この国内なら安全だが、小国群は未知な部分が多いから念のために」
「道中の情報は精霊様に頼みます、風の精霊様は早いですからね」
頼られて喜んでいるのか、周りに微風が舞い上がる。
《風の精霊様方、ウェントゥスを目印に来て下さいね。
情報は大切ですから頼りにしてます》
《任セテ》
中級の風の精霊から力強い返答が来た。
ランヴァルドとはギルドで分かれて市場へ向かう。
朝ではないので活気も落ち着き、店仕舞いしているところもあった。
欲しい物は幻獣達の魔性果実や魔物肉など旅に必要な消耗品や食料を補充するため。
「もうそんな時間か。
レナード殿、視察の後にダンジョンに寄られるとか。
行きか帰りにまた王城に寄ってくれんか?」
「平民の私如きが何度もお邪魔する訳には…」
「良い。その頃までには助手か、視察要員の選定が終わっているだろうから同行させていただきたいのだ」
「先程の件ですか?」
「そうだ。
エルフ連合の民程は役に立たんだろうが、我が民も勤勉で力強い、何かの役には立つだろう。何より幻獣達の事を真剣に考えて活動しているレナード殿を応援したいのだ」
「そこまで仰るのなら、立ち寄らせていただきます。
先触れにクレドという小型の鷹の変異種をこちらの門番のところへ飛ばせてもよろしいでしょうか?」
「良いだろう。
後で侵入許可の魔道具を用意させるから、脚に付けておけば兵士に襲われぬ。
ヘンリク後は頼んだゾ」
「賜りました」
王が退席し重臣や護衛と共に温室を出て行った。
「エイドゥル様、最後に果汁でその時の症状はどの程度かは別ですが軽減すること自体は確認出来ています。
しかし回数を重ねてもほとんど改善がみられない場合には、残念ながら手はありません。
人族は育成方法が間違っていたせいで格段に増えましたが、今までもほぼ正しかった竜人族やエルフ連合の育成方法だとそこまで生存率が上がるかは不明です」
「いいんじゃ。
エルフ達もじゃが、今回精霊王様方に我らの育成方法が概ね合っていたと確認していただけただけでも僥倖。
しかも急変時の対処方法も聞けたのだ、例え助からない命であっても、少しでも楽にさせられるなら有難い。
村に帰ったら早速商業ギルドへ連絡して、正式な変異種育成計画の参加の打診をしよう」
「わしらも参加で良いだろう?アグラレス」
「私も賛成だ。こういう事は人族全体で共有し、発展すべきだからなぁ。
悪用に関しては精霊様の言葉を理解出来る我らが力になれるだろう」
「王に代わりまして私からも正式に冒険者ギルド経由で参加表明致しますわ。
エンサージョ国リベルタで良いのですね?」
「はい、私の方からも連絡を入れておきます。情報が集まればもっと良い方法も出て来るでしょう!
本日は有意義な時間をありがとうございました」
「こちらこそ、予想以上のお話が聞けて楽しかったですわ。
孫達も喜んでいる様ですし」
全員が隣の席のを見ると横たわるアルバの上に弟王子とシャンスが仲良く寝ており、兄王子と王女はケーキを食べながら寝姿を観察しているほのぼのとした光景が見えた。
お茶会の終了を王妃が告げ、王族が次々と温室を出て行く。
エルフ連合の3人と握手して、アルバと共に離宮を後にする。
シャンスはお土産にもらった魔性果実の籠の中だ。
そのまま馬車で竜人族の最寄りの冒険者ギルドに寄ってもらった。
ギルド経由でリベルタの冒険ギルド長のオーガスティンと商業ギルド長のエドウィンに、竜人族の王族とエルフ族とドワーフ族が変異種育成計画に参加を打診して来るだろうことと、現時点での情報を伝えたことを魔電報で送った。
「ランヴァルド、リベルタのオーガスティン様とエドウィン様に先程の育成計画の件で一報をしておいた。
もし問い合わせや返信が有れば、あなたにする様に書いたのでよろしく頼む」
「承知しました」
「学園に着いて落ち着き先が決まったら連絡するが、それまでは緊急事態と道中の情報以外は直接連絡は控えて欲しい。
この国内なら安全だが、小国群は未知な部分が多いから念のために」
「道中の情報は精霊様に頼みます、風の精霊様は早いですからね」
頼られて喜んでいるのか、周りに微風が舞い上がる。
《風の精霊様方、ウェントゥスを目印に来て下さいね。
情報は大切ですから頼りにしてます》
《任セテ》
中級の風の精霊から力強い返答が来た。
ランヴァルドとはギルドで分かれて市場へ向かう。
朝ではないので活気も落ち着き、店仕舞いしているところもあった。
欲しい物は幻獣達の魔性果実や魔物肉など旅に必要な消耗品や食料を補充するため。
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