幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

2日目

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昨夜学園長に運営に問題がある場所は精霊達に変更をお願いした事だけ告げた。正式な森の生態報告は後日調査する竜人族の副ギルド長がする。
まだ森は発見されていないことになっており、あくまでも発表出来る状態かどうかの確認がレナードの仕事である。
この報告は誓約者のパラディに関する記憶の鍵となり、翌日の確認の上で後日の報告会で喪失になる。

翌朝は第二陣の幻獣士と共に古城へ向かい、
幻獣士は周囲の警戒をしてもらう。
昨日は狼犬達の暴走で時間を無駄にしため、罠は全て回避する様に強く言い聞かせた。
先ずは昨日の群生地に向かう。
約束通りその場に相応しい植生の物に替わっていた。
《昨日と同じ様に探していない場所の散策を開始しよう。但し昨日みたいにいきなり不用意に近付かない様に。危ない変異もあるかもしれないからね》
そう言ってから出発させた。
昨日発見した中に心配な種類があったからだ。
まさかこの後にとんでもない新種に出会うとは思ってなかった。
昨日と似たような報告が多い中、くすくす笑う声が聞こえる高級薬草の群生地と、近付くと蔓を伸ばして捕まえ、放り投げるトレント新種の集団の報告には頭を抱えた。
ただトレントは流石に精霊王や幻獣王達が危惧して特別エリアの周囲だけを活動エリアにしてくれていたので安心した。
新種のトレントの情報は誓約者達は知っていたが、まさかギルド長のレナードが知らないとは思わず夜に謝罪をした。
発見したエルフから精霊経由で相談し、ダンジョンの罠の一部に採用したため知っていたのだ。
それ以外は動く種類では無かったため、精霊術で話しが出来る者さえ妖精や精霊達が興奮しているのが変異型新種の事だとは思わなかったと。
学生達のメインエリアは新種以外には大精霊達のおかげで問題ある物は見つからなかった。
特別エリアもレナードに連絡役に付けられた土の中精霊に一部を見せてもらった。
群生地が昨日と全く同じ状態で移植されていたので、採取地を知らない無知な研究者のため、せめて植生毎に点在出来ないか、更に可能なら人族で栽培可能な種類と出来ない種類でエリアを分けられないか相談したところ、精霊樹に場所に近いところを栽培出来ない種類にすることになり、植生毎の点在も了承された。
栽培可能な種類は群生地以外の場所でも自生することで判別出来る様にした。
流石に全てを幻獣達に任せた畑の様にするのは今後のために良くないからだ。
人間は特に欲深い生き物だから、便利なことは直ぐに当たり前になり、更に上を要求しその欲は上限がない。
特別エリアは研究が目的で使用者が限定するため少しだけ融通をしてもらったが、それ故に使用者を明確に厳選する必要がある。
研究の内容によって精霊か妖精を全員に付けた方が良いかもしれない。
精霊王達に相談しようと思っていたが、振り向いたらオンディーヌが居た。
《レナードガ居ルト聞イテ来タ》
《びっくりしたよ。だが相談しようと思っていたところだから丁度良い》
と先程感じた事を話したら、3体ずつ付ける事に決まった。
但し1体は監視役で、付ける人物には知らせない。万が一精霊や妖精がその人物に傾倒して種族の誓約を破ってまで協力した場合に、監視役の精霊が王や大精霊に報告する必要があるため。
特別エリアを利用する者の選定に関しては、誓約者達に危機感のみを残し、エリア発見後に学園内で議論させ、その経過次第で連絡役の精霊を通して精霊王側から条件を付ければ良いだろうとなった。
パラディの全ての新種はその特殊性のため学園外の持ち出し禁止と、パラディ以外での栽培の禁止にすることを決めた。
幻獣側は精霊王達が厳重に対処し、人族側では幻獣士ギルドが対処するが、学園の専用窓口を作るのが良いという話しになった。
特別エリアは移植はしたが、そのまま自生出来るか確認が取れる約1年くらいは発見後も森の幻獣以外は入れない様に決めた。
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