幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

出国

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選ばれた2枚のカード。
提案者の案が壁に張り出された。

半年後の恒例の学園内の異常の有無を調査する時に偶然発見する
のと
約3ヵ月後に学園内で把握されていない幻獣がパラディの付近で発見され調査している時

というものだった。
色々意見が出て白熱したが、突然幻獣が現れる方が、今まで発見されなかった古城の秘密が偶然見つかるより自然だと言う事になり、ようやく決まった。
ピュードル経由で精霊王達にも伝えられ、それを聞いた幻獣王達が張り切り出したと聞いたのは、レナードが次の目的地に着いた頃だった。
それはさておき前日の内に決まったので気持ち良く出発する事が出来た。
滞在中に作成した幻獣にも効く傷薬は学園長に納品し、以後は定期的に幻獣士の行商から購入するか、学園の幻獣士が幻獣士ギルドへ行く際に購入する手筈が整った。
それと並行して学園の薬師の教授クラスの研究者に、レナードの知識から人族には有効でも幻獣に害になる素材の情報を進呈し、代わりに学会で必要なデータ集めや発表をお願いした。
今後は学園内で認可前の全ての薬の臨床試験と、改良や研究を共同で行う事で合意した。
幻獣士ギルドで試作した薬のレシピの臨床試験の結果をギルドに送ったら、次回のギルドからの購入時に臨床試験で使用した半量を無償で送る契約をした。
認可を受けた後は学園内で消費する分はレシピ代は無償だが、学園外の人物に売却する際には規定のレシピ代を薬師ギルドへ納付すること。
但し例え治療自体は学園内でも、学園に治療のために外部からわざわざ来た場合でも同様に支払い対象になる事を念押しした。
逆に学園で試作した薬で幻獣士ギルドへの検証の依頼があれば、ギルドが費用を負担しギルド員に依頼する約束もした。
こうして公式に学園と幻獣士ギルドの友好関係になる事が決まった。
盛大な見送りは断ったので、ほとんどの人が宿舎の前で別れを惜しんだ。
第1期生の幻獣士5人と事務局長が都市の門まで送ってくれた。

懸念のパラディの件も、収入源のギルド製の薬の販売先も成果を上げて学園都市を出発した。
これから向かうのは金剛石アダマースの森。
行ったことのない新しい迷いの森に、レナードの幻獣も変異種達はわくわくして上機嫌の様子。
アダマースは鉱石物が多い森の一つとして有名で、レナードとしては新しい薬の素材が見つかればラッキーかなぁと言ったところで、森の通称通りこの森は金剛石が比較的多いのが特徴なので、素材に関してはあまり期待はしていなかった。
入口こそ木々が生い茂るが、中央に行くほど傾斜があり丘の様に盛り上がっていて、いくつか洞窟や洞穴があるのが特徴である。
鉱石物はそういった地中にあるものが多いが、稀に地表にも転がっている。
それを見つけて喜んで見せに来るソルとルナ。
大きな塊だが鉱石物が少ない物を咥えて来たソル。
大きさは拳大だが、びっしりと鉱石物がありそうな物を咥えて来るルナ。
「拾って来る物も性格が出るなぁ」
と呟いていたら偵察から帰って来たクレドが珍しい事に何か口に咥えて戻って来た。
「クレド、宝物でも持って来たのか?」
定位置の左肩に乗るクレドにいつものようにお疲れ様の意味を込めて撫でる。
普段ならここで気持ち良さげに喉を鳴らすのだが、石を手に当てて来た。
《クレド、どうした?》
《持って帰りたい》
《宝物にしたいのか、分かった》
クレドが咥えていたのは鉱物の塊で、角度によって含有する鉱物が光って見える物だった。
鳥類はキラキラした物が好きだが、もしこれが価値ある鉱物だったとしても、鑑定せずにクレドの宝物として取っておこうとマジックバックにしまった。
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