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第9章
仮入隊
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元の鋼の森に幻獣に関わりのある公爵領と村が出来たことにより、今まで机上の空論であった幻獣や精霊に関する新たな仕組みを作る土台が出来た。
王国内に第二部隊の仮拠点を作る許可を領主よりもらい、今後入隊する者達の研修所と寮を建設した。
第二部隊は元々が騎士、聖騎士、領主軍などの志も能力も高い者達の集団で構成される予定であったため、幻獣術習得を必須とした。
幻獣士はパートナーとなる幻獣や変異種次第になってしまうが、幻獣術はあらゆる生き物と意思疎通ができるため、軍馬や戦闘補充動物、偵察動物達とのコミュニケーション能力として大いに役立つからだ。
勧誘し同意した者達が引き継ぎや身辺整理など自身の問題の解決の目処が立ち次第、部隊長ユースティティアに連絡して来た。
ルールや基本的な考え方などを改めて説明し、最終面談で精霊チェックに合格した者の中で合意を得た者が仮入隊の資格を得た。
直ぐに解決出来る者はその場で入隊と入寮手続きを、他の者は自宅から行ける最寄りの幻獣術の基礎講座の申し込みをした。
入隊したとしても世話に必要な最低限の幻獣術を取得するまでは仮入隊とした。その間は変異種の保護活動と世話を一定期間毎に交互にし、幻獣や変異種の事を実体験で覚えてもらうことが義務付けられた
「お前昨日何かサボったか?」
「なんでだ?」
「そりゃあ妖精がお前の髪を悪戯してるからな」
「ウソ!…何もしてないのに」
「じゃあ、揶揄われたんだな」
「はぁ、マジかよ」
初めは目に見えない精霊や妖精の存在を否定しがちだった元騎士達も、度重なる注意や警告の現象や悪戯に、存在を認めざる得えなかった。
多くの者が元の職場で人目のないところでいくら努力しても身分や誰かに嫌われたせいで認められなかったり、退団後の待遇に不満を持っていて、つい手を抜いたり、面倒な事を惰性でやってしまうことが常態化していた。
でもここでは目には見えない精霊や妖精が常時見ていて評価してくれる。
時々調子に乗り過ぎて行き過ぎた悪戯をされることもあるが、サボったり、馬鹿にしたりしなければ翌日には笑い話になる様な程度の事しかされなくなる。
頭上から水が降るとか、小石が何度か足に当たるとか。
それに一度馬鹿にして執拗に悪戯されたり、利き腕や利き足を骨折されたりした者は二度としなかった。
だが退団後にサボり癖がついてしまった幾人かは、専属妖精チームが結成されて、エスカレートする悪戯に悩まされることにもなったが、元々は真面目に仕事に取り組んでいた者達だから、徐々に改善していった。
そして幻獣を大切にすれば手伝ってくれたりもする。例えばブラッシングで汗が落ちて幻獣を驚かせた事を素直に謝ると、次からは涼しい風が吹いたり、川に落ちた幼体を助けようと手を伸ばせば、流れを変えてくれたりしてくれる。
それにブラッシングが終わったら幻獣が喜んで擦り寄ってくれて感謝を示してくれるし、片言の幻獣術でも通じると反応してくれる。
そして次第に人目がなくても真剣に取り組めば幻獣達が見ていてくれるという思いが、理不尽な仕打ちで傷付いていた隊員達を癒していった。
「さっきは追い風をありがとう。作業が楽になったよ」
「精霊達はこの辺りに水と風以外はいるのかなぁ?」
「妖精のモーニングコールがないと寂しいかも」
という会話が増えていった。
今まで人族のいない地域だった元鋼の森にいた妖精や精霊達は、自分達を見ることが出来ない、声を聞くことが出来ない人間が存在を認めてくれる事が嬉しくて、幻獣術や従魔術を習得した者でなくても、波長や属性が合う人間と勝手に仮契約をしてお手伝いする者達も出て来た。
公爵領と皇女の村では精霊や妖精の恩恵を受けた住民の1人が道具を考案し、いくつかのルールを作り簡単な意思疎通を出来る様にした。恩恵を受けた大半の住民が持ち歩いていたので、こうして元鋼の森の一部では精霊と妖精限定だが独自の伝達方法が生まれた。
王国内に第二部隊の仮拠点を作る許可を領主よりもらい、今後入隊する者達の研修所と寮を建設した。
第二部隊は元々が騎士、聖騎士、領主軍などの志も能力も高い者達の集団で構成される予定であったため、幻獣術習得を必須とした。
幻獣士はパートナーとなる幻獣や変異種次第になってしまうが、幻獣術はあらゆる生き物と意思疎通ができるため、軍馬や戦闘補充動物、偵察動物達とのコミュニケーション能力として大いに役立つからだ。
勧誘し同意した者達が引き継ぎや身辺整理など自身の問題の解決の目処が立ち次第、部隊長ユースティティアに連絡して来た。
ルールや基本的な考え方などを改めて説明し、最終面談で精霊チェックに合格した者の中で合意を得た者が仮入隊の資格を得た。
直ぐに解決出来る者はその場で入隊と入寮手続きを、他の者は自宅から行ける最寄りの幻獣術の基礎講座の申し込みをした。
入隊したとしても世話に必要な最低限の幻獣術を取得するまでは仮入隊とした。その間は変異種の保護活動と世話を一定期間毎に交互にし、幻獣や変異種の事を実体験で覚えてもらうことが義務付けられた
「お前昨日何かサボったか?」
「なんでだ?」
「そりゃあ妖精がお前の髪を悪戯してるからな」
「ウソ!…何もしてないのに」
「じゃあ、揶揄われたんだな」
「はぁ、マジかよ」
初めは目に見えない精霊や妖精の存在を否定しがちだった元騎士達も、度重なる注意や警告の現象や悪戯に、存在を認めざる得えなかった。
多くの者が元の職場で人目のないところでいくら努力しても身分や誰かに嫌われたせいで認められなかったり、退団後の待遇に不満を持っていて、つい手を抜いたり、面倒な事を惰性でやってしまうことが常態化していた。
でもここでは目には見えない精霊や妖精が常時見ていて評価してくれる。
時々調子に乗り過ぎて行き過ぎた悪戯をされることもあるが、サボったり、馬鹿にしたりしなければ翌日には笑い話になる様な程度の事しかされなくなる。
頭上から水が降るとか、小石が何度か足に当たるとか。
それに一度馬鹿にして執拗に悪戯されたり、利き腕や利き足を骨折されたりした者は二度としなかった。
だが退団後にサボり癖がついてしまった幾人かは、専属妖精チームが結成されて、エスカレートする悪戯に悩まされることにもなったが、元々は真面目に仕事に取り組んでいた者達だから、徐々に改善していった。
そして幻獣を大切にすれば手伝ってくれたりもする。例えばブラッシングで汗が落ちて幻獣を驚かせた事を素直に謝ると、次からは涼しい風が吹いたり、川に落ちた幼体を助けようと手を伸ばせば、流れを変えてくれたりしてくれる。
それにブラッシングが終わったら幻獣が喜んで擦り寄ってくれて感謝を示してくれるし、片言の幻獣術でも通じると反応してくれる。
そして次第に人目がなくても真剣に取り組めば幻獣達が見ていてくれるという思いが、理不尽な仕打ちで傷付いていた隊員達を癒していった。
「さっきは追い風をありがとう。作業が楽になったよ」
「精霊達はこの辺りに水と風以外はいるのかなぁ?」
「妖精のモーニングコールがないと寂しいかも」
という会話が増えていった。
今まで人族のいない地域だった元鋼の森にいた妖精や精霊達は、自分達を見ることが出来ない、声を聞くことが出来ない人間が存在を認めてくれる事が嬉しくて、幻獣術や従魔術を習得した者でなくても、波長や属性が合う人間と勝手に仮契約をしてお手伝いする者達も出て来た。
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