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夢の見すぎは盲目となる
緊急依頼
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朝の6時、街の中心の時計塔からリンゴーン、と鐘がなる。大体の街の住人はこの時間に起きて行動を始める。街の目覚ましである。
その鐘に合わせて、狼人の少女は欠伸をしつつ布団から起き上がった。
ふわり、と焼いたパンの香りが鼻をつく。獣人である私は、食パンだ!と完全に覚醒し、ささっと布団をたたみ居間へと向かった。
居間の襖を開け、おはようと挨拶をする。
「あ、ミナトおはよう」
「ほはよー」
早起きの2人はもう起きており、朝食を済ませていた。否、1人は現在進行形で食べていた。
先に挨拶をした鬼人の名はリオ・タダ。背丈は私、ミナト・カネダと同じぐらいの155C。若干私の方が大きい。リオは冷静沈着、何に関しても最前の行動を取ってくれる。
忙しなく口を動かしているエルフの名はスミレ・ハマナカ。身長165C。エルフの名に恥じない美貌。そんなスミレは食欲旺盛で、とにかく食べる。私が作っておいたクッキー50枚をものの数分で完食した過去がある。
私は座布団に座り、用意されていた食パンを食べるー私の予想は当たったようだー。
食パン1枚食べ終えたところで、リオが口を開く。
「今日依頼無かったけど、一日どうする?」
「商品の補充は?あとは、狩りに行くか?」
「ほひゅうしはっは(補充しちゃった)」
食べてから話せ、と2人でスミレに釘を指す。
依頼は外のボックスに入れることになっているが、今日はゼロだったらしい。まぁ、言ってもまだ6時過ぎだから当たり前といえば当たり前なのだが。紅茶を飲み、口をこぼす。
「ここんとこ、依頼少ないね、あっても猫の捜索とかじゃん。この辺ででっかい依頼あってもいいのにねー。まぁ、どうせ来ないか」
「ちょ、ミナトフラグ建てないで!」
えっ?と紅茶の入ったマグカップから口を外した瞬間、玄関の戸がドンドンドン!と音を立てた。私が出るよ、とリオが向かっている最中も止まない。
居間から玄関は、少し離れている。玄関前に、冒険者向けのアイテムやらなんやらを売っている空間があるからだ。ガラガラっと、リオが戸を開く音が聞こえた。獣人の私は、話している内容も易々と聞こえた。
「なんのよ・・・」
「助けて!狩りに行った冒険者が・・・!」
なんとも不穏な空気である。とりあえず中へ、という会話が聞こえたため、私はお茶の準備を始めた。
リオは依頼主を、"春の間”に通した。大体、依頼主の話を聞く時はこの部屋を使っている。この部屋は、極東の春を司る桜や鶯をあしらった襖で囲まれている。床に置かれた小さなテーブルにも桜の絵が彫られており、高級感が漂っている。セットの座布団も桜吹雪である。
"春の間”の前に着いた時には、既に依頼主は哀のこもった声で話し始めていた。お茶をお持ちしました、と襖を開け、マグカップを2つテーブルに乗せた。ふんわりとハーブの香りが鼻をくすぐる。その間も感情のままに、依頼主のヒューマンの少女は話し続ける。見た目から、ギルドの職員だろうか?慌てているためか、依頼内容が入ってこない。困ったような顔をしているリオを前に、私は口を開いた。
「先ずは、このお茶を飲んで。落ち着くから」
「え、えぇ」
そんなもの飲んでいる暇はない、というようにキッと睨まれたが、彼女は一口だけお茶を飲んだ。飲んだのを確認し、失礼します、と私は部屋を抜けて、居間に戻った。スミレはまだ食パンを食べている。
私自身、飲みかけの紅茶を飲みながら、耳を澄ます。すると、会話がしっかりと聞こえた。
あのハーブティーは、スミレ特製のお茶で、人を落ち着かせる効果がある。選んで正解であった。
「依頼内容は、冒険者の捜索です」
聞こえた内容をかいつまんでスミレに伝える。
・依頼内容は冒険者の捜索
・3日前から、行方不明
・アガル帝国国境の迷いの森に行った
とのこと。ちょっと仲間と相談してきますね、と戻ってきたリオが難しい顔をしながら座布団に座った。
「どう思う?」
難しい顔をしている理由はすぐにわかった。迷いの森である。迷いの森は、年中霧に覆われており、人を探すなんて、一言で言えば無理だ。普通の冒険者なら。
「あぁー、ミナトがフラグ建てるから、めんどくさいのが来た」
ごめん、と謝り、話を詰める。
「いくらうちらでも、迷いの森はしんどい・・・。しかも、時間制限があるんだよ?」
「でも、みすみす見捨てる訳にはいかないよね」
ずっとモグモグしているスミレも頷く。
「じゃあ、受けること伝えてくるから準備しといて」
はーい、と返事をし、なんか冒険者の所持していたものがないか聞いといて、と頼んだ。
先ずは、マナ・エンドウを起こしにいく。マナは、ヒューマンである。身長はスミレと同じの160C代。羨ましい限りである。スタイルが良く、おっとりとした彼女は、冒険者に人気があるのは周知の事実だ。
襖をパン!と開け、布団を引き剥がし、強制的に起こす。むにゃむにゃ言っているマナに大きめな声で伝える。
「迷いの森に依頼だよ、40秒で支度しな!」
「え?」
2つの意味でマジか、という顔をしたマナを置いて、居間に戻って武器などの確認をする。問題はないか。
依頼主と話をつけ、自分の準備を揃えたリオが戻って来た。その後、マナもやってきた。食パンを1枚食べ始めたマナは、つい気になったことを声に出した。
「ねぇ、スミレって朝早起きだよね?何枚食べたの?」
「ん?12枚?」
苦笑する私たちに、スミレは平然としながら準備をしていた。
その鐘に合わせて、狼人の少女は欠伸をしつつ布団から起き上がった。
ふわり、と焼いたパンの香りが鼻をつく。獣人である私は、食パンだ!と完全に覚醒し、ささっと布団をたたみ居間へと向かった。
居間の襖を開け、おはようと挨拶をする。
「あ、ミナトおはよう」
「ほはよー」
早起きの2人はもう起きており、朝食を済ませていた。否、1人は現在進行形で食べていた。
先に挨拶をした鬼人の名はリオ・タダ。背丈は私、ミナト・カネダと同じぐらいの155C。若干私の方が大きい。リオは冷静沈着、何に関しても最前の行動を取ってくれる。
忙しなく口を動かしているエルフの名はスミレ・ハマナカ。身長165C。エルフの名に恥じない美貌。そんなスミレは食欲旺盛で、とにかく食べる。私が作っておいたクッキー50枚をものの数分で完食した過去がある。
私は座布団に座り、用意されていた食パンを食べるー私の予想は当たったようだー。
食パン1枚食べ終えたところで、リオが口を開く。
「今日依頼無かったけど、一日どうする?」
「商品の補充は?あとは、狩りに行くか?」
「ほひゅうしはっは(補充しちゃった)」
食べてから話せ、と2人でスミレに釘を指す。
依頼は外のボックスに入れることになっているが、今日はゼロだったらしい。まぁ、言ってもまだ6時過ぎだから当たり前といえば当たり前なのだが。紅茶を飲み、口をこぼす。
「ここんとこ、依頼少ないね、あっても猫の捜索とかじゃん。この辺ででっかい依頼あってもいいのにねー。まぁ、どうせ来ないか」
「ちょ、ミナトフラグ建てないで!」
えっ?と紅茶の入ったマグカップから口を外した瞬間、玄関の戸がドンドンドン!と音を立てた。私が出るよ、とリオが向かっている最中も止まない。
居間から玄関は、少し離れている。玄関前に、冒険者向けのアイテムやらなんやらを売っている空間があるからだ。ガラガラっと、リオが戸を開く音が聞こえた。獣人の私は、話している内容も易々と聞こえた。
「なんのよ・・・」
「助けて!狩りに行った冒険者が・・・!」
なんとも不穏な空気である。とりあえず中へ、という会話が聞こえたため、私はお茶の準備を始めた。
リオは依頼主を、"春の間”に通した。大体、依頼主の話を聞く時はこの部屋を使っている。この部屋は、極東の春を司る桜や鶯をあしらった襖で囲まれている。床に置かれた小さなテーブルにも桜の絵が彫られており、高級感が漂っている。セットの座布団も桜吹雪である。
"春の間”の前に着いた時には、既に依頼主は哀のこもった声で話し始めていた。お茶をお持ちしました、と襖を開け、マグカップを2つテーブルに乗せた。ふんわりとハーブの香りが鼻をくすぐる。その間も感情のままに、依頼主のヒューマンの少女は話し続ける。見た目から、ギルドの職員だろうか?慌てているためか、依頼内容が入ってこない。困ったような顔をしているリオを前に、私は口を開いた。
「先ずは、このお茶を飲んで。落ち着くから」
「え、えぇ」
そんなもの飲んでいる暇はない、というようにキッと睨まれたが、彼女は一口だけお茶を飲んだ。飲んだのを確認し、失礼します、と私は部屋を抜けて、居間に戻った。スミレはまだ食パンを食べている。
私自身、飲みかけの紅茶を飲みながら、耳を澄ます。すると、会話がしっかりと聞こえた。
あのハーブティーは、スミレ特製のお茶で、人を落ち着かせる効果がある。選んで正解であった。
「依頼内容は、冒険者の捜索です」
聞こえた内容をかいつまんでスミレに伝える。
・依頼内容は冒険者の捜索
・3日前から、行方不明
・アガル帝国国境の迷いの森に行った
とのこと。ちょっと仲間と相談してきますね、と戻ってきたリオが難しい顔をしながら座布団に座った。
「どう思う?」
難しい顔をしている理由はすぐにわかった。迷いの森である。迷いの森は、年中霧に覆われており、人を探すなんて、一言で言えば無理だ。普通の冒険者なら。
「あぁー、ミナトがフラグ建てるから、めんどくさいのが来た」
ごめん、と謝り、話を詰める。
「いくらうちらでも、迷いの森はしんどい・・・。しかも、時間制限があるんだよ?」
「でも、みすみす見捨てる訳にはいかないよね」
ずっとモグモグしているスミレも頷く。
「じゃあ、受けること伝えてくるから準備しといて」
はーい、と返事をし、なんか冒険者の所持していたものがないか聞いといて、と頼んだ。
先ずは、マナ・エンドウを起こしにいく。マナは、ヒューマンである。身長はスミレと同じの160C代。羨ましい限りである。スタイルが良く、おっとりとした彼女は、冒険者に人気があるのは周知の事実だ。
襖をパン!と開け、布団を引き剥がし、強制的に起こす。むにゃむにゃ言っているマナに大きめな声で伝える。
「迷いの森に依頼だよ、40秒で支度しな!」
「え?」
2つの意味でマジか、という顔をしたマナを置いて、居間に戻って武器などの確認をする。問題はないか。
依頼主と話をつけ、自分の準備を揃えたリオが戻って来た。その後、マナもやってきた。食パンを1枚食べ始めたマナは、つい気になったことを声に出した。
「ねぇ、スミレって朝早起きだよね?何枚食べたの?」
「ん?12枚?」
苦笑する私たちに、スミレは平然としながら準備をしていた。
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