なんでも屋〜永遠〜

Agrigent

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夢の見すぎは盲目となる

迷いの森の牙1

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辺りを見渡せば、木、草、木、草時にモンスター。迷いの森にある木は、幹が細く長い。枝は途中に多く存在しているが、葉はない。地上約10Mメトルからやっと葉が生い茂る。葉の間から漏れる光は少なく、昼間でも灯りは不可欠である。
足場は辺りが霧で覆われているためか、ぬかるんでいる。
この空間、ぬかるみで足は取られるわ、霧で前は見えないわ、暗いわで、並の冒険者は近づかない。今回行方不明の冒険者は、5人全員Cランク。迷いの森に入れなくはないが、『挑戦のオススメはしないよ』レベルである。ギルドは絶対に勧めないランクなのだが・・・件のヒューマンのギルド職員、エデルがー濁してはいたがー彼女が許可を出してしまったのだろう。

「グルルルルルゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
音もなく現れた巨大な虎のモンスター、巨大虎ジャイアンティガーが襲いかかってきた。しかし、こちらの4人パーティーは来ることがかのように動く。前衛、攻守騎士チェンジモードナイトのリオは、大盾を装備し、ジャイアンティガーの飛びかかり攻撃を止める。動きが一瞬止まったジャイアンティガーの首に、ヒュんっという音と共に2本の線が入った。そして、虚空を見つめる骸となった。
「6時方向から2、10時方向から1、その反対全部からオークの群れざっと20」
首を切り落としながら、パーティーメンバーに伝えるはミナト、中衛職の暗殺者アサシンである。敵を倒すのに使ったのは、二振りの刀と固有スキル『絶対暗殺アブソリュートアサシネーション』。『気付かねば、死のみ気付く』というよく分からない説明文の付いた、あること限定において最強のスキルである。ある条件とは、相手に気づかれないこと、である。狼人ウェアウルフの身体能力とこのスキルがあれば、ほぼ全ての人が殺せるのだ。敵を察知できたのは、スキル『索敵』のおかげだ。

戦いは続く。モンスターをおびき寄せる『臭い袋』を使っているためだ。少しでも、生きているはずの冒険者たちにモンスターが行かないように・・・。
6時方向の2体にはリオとマナ、10時方向はミナト、オークの群れはスミレが担当する。
ジャイアンティガーは、複数になればなるほどランクは上がる。基本1体ならばCランクだが、この環境を鑑みるとランクBは固い。それが2体、Bランクの中でも上位に位置するだろう。視界が悪い中、2体の虎は代わる代わる様々な方向から襲いかかる。
前衛のリオは『攻守化ミドルモード』となり、片手で持てる程の小盾と片手剣ショートソードを装備。『攻守化』とは、『攻守騎士』の職業のみに与えられるスキルである。『攻守騎士』は、3つあるモードを変化させ戦う、特殊な職業ジョブである。3つなのはリオだけだが・・・
今の『攻守化』は、攻撃と防御両方を行える、二刀流である。後衛であるマナに負担をかけさせないようにするためだ。
しかし、ショートソードではジャイアンティガーを倒すほどの火力は出ない。そこで、リオの固有スキル『破壊女神ゴドネスデストロイ』が生きてくる。『破壊女神』のスキル説明は、『か弱き女神もまた、強き女子おなごの1人である』。つまり、弱い力でも、相手を倒せるほどの火力が出る、というものだ。しかし、任意発動で呪文が必要であり、そこが欠点である。
後衛に位置するは、後衛職『精霊弓士スピリットアーチャー』のマナである。精霊術という、魔法よりも高度な術を矢に『付与エンチャント』して攻撃するのだ。そして、この職業を強化するのは固有スキル『百発百中ハンドレッドショット』。説明文は『逃げてみよ。どこに行こうと逃げられない』。この文だけ見ると強そうだが、欠点がある。それは、目視できたモノにしか発動しないことだ。

2人の戦いは見事だった。『精霊弓士』のマナが、虎2体に『鈍足付与スロールエンチャント』を施し、敵の武器の俊敏さを奪う。リオが左側から飛びかかってきた虎1体を『破壊女神』で討ち取り、その間にマナは雷を付与した矢でもう1体を討った。この間わずか十数秒。2人は平然とスミレのサポートに向かった。
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