紫煙と箱入り

アルカ

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本編

0 それは、必然

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「手を、離してください」

 ベルティーユは自らをソファに押さえ付ける男に向かって、はっきりと告げた。
 彼女の顔を覗き込む青い瞳が、歪に細められる。
 笑おうとして、失敗したらしい。

「ほんの数年で、随分と反抗的な口を利くようになったものだね。あの男の無礼ぶりがうつったのかな。……今度は鍵付きの首輪と鎖でも用意しないと駄目か」

 男の青い瞳が向ける感情が何なのか。
 離れた今ならはっきりわかる。
 侮蔑、支配、嗜虐。
 その全てが自分には許されているという、傲慢なほどの自信。
 そうして今、彼の目に最も色濃く浮かんでいるのは――あからさまな情欲の炎。

「死にたくなければ、さっさとその手を離してください。お兄様」

 全くもって愚かしい。
 ベルティーユに。
 あれほど虐げてきた実の妹に対してなんて。


 ベルティーユはいっそ哀れむ気持ちで、三年ぶりに会った兄を見上げた。


 
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