Tear Light<君を望んだ物語>

neirua

文字の大きさ
5 / 27

16歳の終着 [後編]

しおりを挟む

「お見事…采配…た…………様…」
「…れより……アの確n……急げ…」

声がする…。

状況を確認しようとしても左目が半開き位にしかならない。
その上、少し開いても視界が真っ赤に滲んでいて良く見えない。

身じろごうとしても体が動かない。
痛みは…もう感じているのが痛みなのかどうかすら分からない。

手が伸びてくるのを感じて力を総動員して払おうと……、して左腕が肩の方から床に縫い付けられたように動かないことに気づいた。

「パシッ」

なので右腕を勢いで上に降るように近づいて来る手をはねのける。

「こいつっ……。」

殴られるか…
と思ったが無造作に髪を掴んで頭を持ち上げられる。

「くっ……!!」
「制御システムの要が自らやって来るとは…。とうとう気でも触れたか?」

掴んでるのはコアの前にいた男、魔術教団の幹部の…人体実験の主任だったあの男か…。

「まぁお前なら来ると思ってこんな辺地に来たんだがな。」

それで……私が来る前にみんなを……。

「お前らネイルアを拘束しろ。」
「丁重に扱え、なんせ私達の"女神様"だからな。」

髪を掴んだ状態から再び床に投げ捨てられる。痛覚が麻痺しかけていたが全身に鋭い痛みが走る。

「カ…ハッっっっ!!」

おまけに血まで喉から吐きでる。

数人がかりで魔術的な何かとベルトで(左腕は依然床にひっついたまま)拘束され、また髪を掴みあげられた。
丁重とは何だったのか。
視界が悪く良く見えないが顔を向けさせられた方向は確か私の仲間が……。

「見ろ。」
「やめろ……。」
「お前の軽率な行動の結果だ。」
「やめろ。」
「彼らはお前を慕っていたそうだな。」
「やめ……。」
「だが今やただの肉塊だ。」
「や…め……。」
「昔と同じだ。」
「や…………。」
「お前のせいで…… 」

目が熱くなる。
それはその男への怒りで。
魔術教団への怒りで。
自分への怒りで。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ」

体内の魔力を暴走させて拘束を引きちぎる。
幹部の男が私から距離をとった。
だが左腕の呪いはそれでも解けない。
なら。

「がっ、ああああああああああああ」

「こいつ…自分の腕を……!?」
「あの身体でまだ動くのか!!???」

慌てて取り囲む下っ端を風を起こして切り刻む。

「うわああ!!!」
「目が赤い!バケモノだ!!!」

徐々に視界がクリアになっていく。
すると5人の死体がはっきりといやでも目に入った。

(私が……)
(責任をとる)

取り押さえられそうになり爛れや切り傷の上から掴まれた部分に激痛が走る。が

「はぁああああ!!!」

もう繊細な魔法を紡ぐこともせずに魔力をそのままぶちまけて全員吹き飛ばした。
そして一瞬空いた床にすかさず手をついて魔法陣を展開して瞬間移動魔法を発動する。

景色が白く明るかった研究所から一瞬で切り替わる。
また違った光に包まれる。

這いつくばった地面は桜色ともなんとも言えない色の花びらに覆われていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「う………………あ………………。」
膝をつき、手をついたまま声が漏れる。

「あ……ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
目が熱い、視界が歪む。

涙が止まらない。研究所を出たあの日から、一滴たりとも流したことはなかったのに。

こんな感情は押し殺してきたはずなのに。
どうして……!

どうして……!

どうして私なの……!

どうして私がこんなめに……!

………………。

………………。

………………。

…………。

ああ。

馬鹿なことを。

後悔が私の一生を無かったことにしてくれる訳では無い。

私が本当にやるべきは何だったか。

涙も止まり、木にもたれかかる。

そうして下を向いたまま語りかける。

「死んだ仲間を元に戻して欲しい。」

この空間には私以外誰もいない。
それでも応える存在がいるのを私は知っている。

(代価は)

「私の全てを」

(ここで眠っているだけでいいのに…まだこき使われるというのか)

「私が寝てたら他の人を使うんでしょう」
「それに……やりたいことがある」

(それは自分の魂を売り払うに見合ったものか)

「ええ」

(そうか)

そう言うと声はいや、思念のようなものは途切れた。これで本当に独りだ。

それからしばらくの間空を見上げた。


そうしていると、また滲んできた視界の中心に、宙に浮くようにに花びらが集まり始める。

それは徐々に剣の形を成していった。

剣先は私の心臓に向いている。

形づくり終わると剣先向いた方向に剣が飛んだ。

そこで目を瞑る。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


剣も近く、死も近く

それでも彼女は眠るだけ

彼女は深く夢に見る

長い長い夢を見る














しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...