11 / 27
二人の出立、二人の再会
しおりを挟むヴェティヴィアが検索を終えてフレイミィに他の仲間の居場所を説明する。
「桜はここから遠い森のスリジエの屋敷に、エルは…分からなかった。」
「分からないってどういうこと?」
「エルの体はまあ治療で見た事があるけど、彼女、人間じゃないの」
「え?」
突拍子もない話だ。かなりの間連れ添っていた仲間が人間じゃなかったなんて。
それを彼女は居場所の話の最初に突然言い出したのだ。
「彼女はホムンクルス。誰かが人間を模して作った精巧な人形だったの。」
彼女の話ではエルメスフィールはホムンクルスなので国籍を持っていない。だから検索しても出てこなかったのだという。
「このことは?」
「私とお姉様だけしか知らなかったわ。」
隠し事をされていた、ということにフレイミィは腹を立て無かった。
自分が人間でないなんて、あまりほいほい言えることでもないだろう。そもそもいう必要があまりない。
それを本人が言い出すまでネイルアやヴェティヴィアがばらさなかったのは至極当然のことだったとフレイミィは理解していた。
「ならエルは後回しで。エアのいるアネモスの森の村の方がスリジエより近いから彼から先に訪ねよう。」
「嬉しそうね。」
「どういう意味?」
「べっつに~?」
ヴェティヴィアはあまり人と関わることがなく、人の感情表現に詳しくなかったが、エアの名前を言う時のフレイミィの些細な表情の変化は見逃さなかった。
本当ならこの会話だけで喧嘩(殺し合い)に発展するところだが、今日の2人は再会の雰囲気に多少飲まれているようだ。
「じゃあ支度するから少し待ってて。」
会話を手短に切って部屋をゴソゴソし始めたヴェティヴィアは小さな肩掛けカバンを持ってすぐに戻ってきた。
「……荷物これだけ?」
「まあ、かさばるものは異空間にしまってるからこんなものね。」
二人は、というよりネイルアと共に行動していた全員がネイルアに異空間魔法の手ほどきを受けていた。なんでも
「これは必須魔法よ。これを覚えてないなら付いてこれないと思って。」だそうだ。
実際、ものを仕舞ったりとかなり便利な魔法ではある。
彼女が言うに、この魔法の真価はただの荷物入れではないらしいが。
もっともそう簡単な魔法でもない。
エアやフレイミィは習得に随分手間取ってしまった過去がある。
「じゃあ行きましょう!」
「ちょっと待って!宮医が勝手に旅に出ていいの?」
「大丈夫よ。軽くこの城全員の記憶を改竄して私は長期出張中ってことにしているから。」
恐ろしい医者だ。
「じゃあレッツゴー!」
- - - - - - - - -
エア=ウェントス 【アネモスの森】
桜崎 桜(おうさき さくら) 【スリジエの屋敷】
エルメスフィール=ジリウェーザ 【?】
- - - - - - - - -
ヴェティヴィアはフレイミィと並んで王都を歩きながらメモ帳を見て考えていた。
(分かっていることから検索ついでに色々調べてみたけど……あまりいい噂じゃないわね。)
ヴェティヴィアが城のデータベースで調べたところ、
アネモスの森では、通りがかった国の荷台などが襲われる事件が多発していた時期があるらしい。
スリジエの屋敷の主であるこの世界ではちょっと有名な魔術の一族、桜崎の人間が行方不明になる事件が続発した時期もあったとか。
(桜崎は確か魔術の大家、王崎の分家だったわね。)
まあそれがどうということではないが。
だがこれらの事件はもしかしたら自分達の仲間に関係しているのでは、とヴェティヴィアは考えていた。
「ねえ、このクレープのイチゴってここの特産品なんだって!」
ヴェティヴィアがフレイミィの能天気さに頭を痛くするのは以前からそうだ。
「そんなこと知ってるわよ。あと私の分も残しておきなさいよ。」
「えー、あんたの分?別にいいよー。」
ヴェティヴィアは珍しく素直なフレイミィに眉を潜めながらクレープに手を伸ばすとその手ごとフレイミィにがっちりホールドされた。
「で、何をくれるの?」
「このっ!汚いわね!」
そう言いあう二人は既に王都の通りで相当目立っていた。
その頃……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~???海の海底~
「あら?珍しいお客様ね。」
「幼馴染みにいきなり攻撃する奴があるか」
「ごめんって。本物なら大丈夫だと思って。」
「エリオ、あなたがそういう発言をすると人魚が馬鹿な種族だと思われるわよ」
「信頼してるんだってば。今も……昔も。」
「…………」
「話があるんでしょ。何でも言って。」
「……なら単刀直入に言う。実は……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
王都を出て乗り物を乗り継いで五時間。二人は深く暗い森、アネモスの森に足を踏み入れていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる