Tear Light<君を望んだ物語>

neirua

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海王の矛

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~桜崎の屋敷~

「この木が気になります?」

フレイミィ、ヴェティヴィア、エアの3人が呆気にとられていると桜が足を止めて説明する。

「光るこの桜の花、みんな本物の宝石なんです。桜崎の初代様が開発したそうで。」

確かに3人が木に寄って見てみると桜の木に咲いていたのは魔力の篭った宝石だった。
この魔法の世界でもこんな木はもちろん通常では生えない。

「初代様は元々、日本の王崎家の人間で……」
「待って、ちょっと待って。日本って何?」
「国の名前よフレイミィ」
「え、このフィオーレ以外に国ってあったの!?」
「え、何言ってるの」

フレイミィが話に割り込んで尋ねるとヴェティヴィアが馬鹿を見るような目で見る。
二人の常識にズレがあるのには訳があった。
が、説明している場合ではない。

「桜さん、気にしないで下さい。続けて」

エアが促して桜は話を再開する。

「ええ、私が聞いた話では初代様はこの木を生んだ事がきっかけで王崎を離反し、フィオーレで桜崎を名乗ったとか」
「ほぅ……」
「で、ネイルアは見つかりましたか」
「「「……!!!」」」

突然出たネイルアの名前。
まだ桜が何も思い出せていないと思っていた3人はあまりに驚いて言葉が出なかった。

「3人とも思い出したんでしょう?だからここに来た。」
「先に言っておきますが、私は行きませんよ。」

「……どうして!?」

つらつらと話す桜にかなり困惑しながらもフレイミィが食ってかかる。
しかし、困惑する3人とは対称的に桜はひどく落ち着いた様子で

「私もやることを思い出したんです。帰って下さい。」

とフレイミィを突き放した。

「帰って頂かないなら」

続けて何処から出したのか、カラフルな宝石を4個、右手の指の間に挟む。

「力づくで帰って頂きますが」

魔力を封じ込めた宝石を使って高威力の魔法を使う宝石魔法は、桜崎の、桜の十八番である事を3人は知っていた。
しかし合理的な桜がこんなことをするとは思えない。

「3人相手に勝てると思っているの?」

3人も相当の手練だ。本来なら桜1人に負けるはずがない。だが……

「勝てます」

4人がいるのは桜崎の敷地内。ホームグラウンドで負けるのは有り得ない、と桜は言い切った。何が相手であろうとも。

と、同時に3人は脱力感に襲われた。
何か……生気が地面に流れ出ていくような…

「まずい!魔力が奪われている!」

魔力は魔道士の命そのもの、魔力が完全に尽きれば……

「っ!行こう!一旦引くんだ!」

エアが手を引いて二人を促す。

そして、3人は桜を一瞥すると敷地外へ走り出した。
今の状態で桜を連れ出すのは不可能だと判断して。

走り続け、さらに馬車で来たところも過ぎ、近くの街まで走り込む。

「はぁはぁ……桜、どうしたんだろう……」
「わからない……。良くないことでも思い出したのかもな」
「良くないことって何よ……」

全くの予想外の出来事にあって、その上長距離を走り続けた3人はすっかり辟易していた。

訳も分からず桜には拒絶され、エルメスフィールの居場所は不明。ネイルアの居場所も生死も未だ不明。
完全に手詰まりだ。

「他にいないの~?ネイルアの知り合いとかさ~」

建物の壁にもたれてフレイミィがだるそうに言う。

「そうね……狐の知り合いや人魚の知り合い、吸血鬼の知り合いがいるって本人から聞いた事があるかも……」
「あ、それ私も知ってる」
「俺も。でも知り合いが狐や人魚、吸血鬼って……。人間は…?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

~???海の海底~

「要するにいつか魔術教団と勝負を決するから力を貸して欲しい、と?」
「ええ」

ネイルアは向かいに座る?人魚・エクセリオン(通称エリオ)の目を見つめて肯定する。
それに対してエリオは難しい顔をしていた。

「親友の頼みなら断りたくないけどね。私だけではダメなのか?」
「出来るだけ戦力が欲しい。エリオだけでも充分頼もしいけど。他に奴らに対抗出来る人魚は?」
「…………はぁ」

淡々と答えるネイルアとしばらく目を合わせてエリオはため息をついた。

(昔のネイルアはもっと可愛げがあったのになぁ……)

「あなただって昔はただの可愛い子人魚だったじゃない」
「勝手に心を読むな!」

ネイルアは無視して続ける

「まあ、ただの、ではないわね。海王ネプチューンの娘だもの」
「……元、海王でしょ。お父様は死んだ。今は私が…………」

エリオがそう言って目を伏せるとエリオの手に巨大な三叉の矛が現れる。
そしてネイルアがエリオに1つ尋ねる。




「重い?」


「……少しね」
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