14 / 27
四人目との接触
しおりを挟む~スリジエへの道中~
馬車の中でフレイミィ、ヴェティヴィア、エアの3人はたわいもない話をしていた。
研究所でのあの出来事から記憶をなくして、こうして仲間で集まっているが、以前でも皆が集合することは滅多になかった。
散って、ネイルアの指示を受けたりしていた彼らは普段、お互いが何をしていたのかもよく知らないのだ。
話すことは尽きなかった。
街で見つけた良い魔法具や美味しいものの話。
倒した魔物や敵の話。
そして一通り笑い終わった後でフレイミィが切り出す。
「私達、あいつらに、かなわなかった」
全員が自然と避けていた話。目を逸らそうとしても身体に残る喪失感。
「騙された挙句殺された。そればかりか、おそらく、ネイルアを危険に晒した。もしかしたらネイルアも……」
「やめなさい!お姉様が殺られる訳ないじゃない!!」
「やめろ、二人とも!」
ヴェティヴィアがフレイミィの胸ぐらに掴み上げ、馬車が大きく揺れる。
それをエアが慌てて抑えて二人を座らせた。
それからしばらく沈黙が続く。ネイルアの生死が話してどうこうなる事じゃないことは三人とも分かっていた。
生きてると信じることしか出来ないことも、分かっていた。
それに、三人にはどうあっても変わらない事実もあった。
「どちらにしろ、俺達の力が足りないことには変わらない」
「もしネイルアを見つけられたとして…また足でまといになるかもしれない」
だがそれでも
「ネイルアを一人には出来ない」
「なら、強くなるまでよ。身体的にも、精神的にも」
「精神力は魔法の威力に大きく関係する。だから俺達は今まで以上に心を強く持たないといけない」
エアの言うことに二人も頷く。けれどもその中でフレイミィは一人悩んでいた。
(でも私は……人を殺せる?)
フレイミィは今までの戦闘で戦闘不能にはすれど相手を殺したことはなかった。
敵戦力を削ぐなら殺すのが一番早い。
けれど殺せなかった。
本格的に戦闘に加わる前、フレイミィは必要があれば容赦せず敵を殺す覚悟があると思っていた。
生まれ故郷に村を焼いた組織がもしかしたら、ネイルアと共に敵対している魔術教団と同一かもしれなかったからだ。
憎い相手に躊躇しないと思っていた。
けれど、ネイルアが敵の人間を殺すのを見た時。
敵である彼らも、普通の人間であると知ってしまった。
痛みに泣き叫び、家族がいると懇願し、何かの意地を通して死んでいく彼らを見て、いくつもの人生を奪うことになるのだと知ってしまった。
でも、そう思うのは私の心が弱いからなのだろうか。
今一緒にいる二人は、ネイルアは平気なのだろうか。
そもそも……隣にいる二人は既に人を殺めているのだろうか…………。
そう考えると冷や汗が流れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~スリジエの屋敷~
3人が馬車を途中で降りてしばらく歩くと巨大な建物が木々の中から現れた。
「ヴェティヴィアと言い、桜と言い、お嬢様ばっかりだったんだ……」
「で、でかい……」
巨大な洋風の屋敷の門の前でフレイミィとエアはぽかんと口を開いて驚いている。
「桜崎はそれなりの魔術の名門だからね……。人の気配が全然ないけど」
ヴェティヴィアが説明するが、二人はあまり聞いていないようなのでインターホンを押す。
ピンポーーン……
「はい、どちら様ですか?」
音が鳴り響いて直ぐに3人の聞き覚えのある声がインターホンからする。
と、そこでヴェティヴィアが二人の方を見る。エアが察して
「とりあえず国から来たって言えばいいんじゃない?正規の名門さんだったら役人を無碍にはしないでしょ」
と提案したので頷いて国から話があるとインターホンに話す。と。
「では、中にお入り下さい。大したもてなしも出来ませんが」
と、今度は機械音ではなく、直ぐ側から。具体的に言うと3人の目の前の門から声がしたので3人は少々驚いた。
「貴方方は既にこの家の敷地内に入っていたので…インターホンが鳴る前から誰かいらしていることは分かっておりました」
続けてそう話すのは和服ー高級そうな着物をしっかり着込んだ少女、桜崎 桜だった。
先導する桜に3人はとりあえず大人しくついていき門を通り、中庭を通る。中庭には巨大な木が植わっていた。
「わぁ…………」
3人は思わず目を見張る。
その木はまるで宝石が如くキラキラと陽の光を受けて輝いていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる