「LGBT」というレッテルを貼られて。

千石杏香

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欧米の同性愛者はなぜ同性婚を求めたのか?

1.キリスト教と同性愛。

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日本の同性愛者からは、同性婚への気力が「あまり」感じられない。ゲイに関して言えば「ほぼ」ないだろう。同性婚を夢想したとしても、何も行動を起こさないのが一般的だ。

しかし、なぜ欧米では同性婚が生まれたのだろう? 同性愛者など、世界中どこへ行っても同じだと思うが――殊にゲイに関して言えば。

欧米の方が進んでいるから?

向こうのほうが理解があるから?

いや、欧米の方が差別的だからだ。

原因はキリスト教にある。

そもそも、キリスト教とはどんな宗教なのか。神道や仏教の一神教バージョンだと思っている人も多いかもしれない――現世での幸福を神に祈り、死後での救済を求める宗教だと。

しかし、日本人に馴染みの深い宗教で、キリスト教に最も近いのは儒教だと私は考える。

目上の人に対する態度や社会秩序など、儒教の教えは日本人の生活に染み込んでいる。それと同じように、仁・義・礼・智・信を教えるのが聖書だ。どのような行いが正しいのかを定めた道徳律であり、人々の生活を縛る倫理である。善人は天国へ行き、悪人は地獄へ行く。その、「なにがいことが?」という基準が創造主の言葉だ。

精神分析学の創始者・ジークムント゠フロイトは、創造主とは「幼少期の父親」のイメージだと考えた――幼い子供を厳格に教え導く父親だ。

また、私の友人の韓国人は、こう言っていた。

「どんな宗教も、その人がい人になれるよう励ましてくれるものです。」

このようなことを言ったのは、彼がプロテスタントだったからだ。

創造主の言葉に従わない者は「い人」ではない――目上の人への接し方から、性生活までも。

「レビ記」には、創造主がモーセに言い渡した様々な戒律が載せられている――例不倫をしてはならないとか、息子の妻を犯してはならないとか、近親相姦をしてはならないとか、獣姦をしてはならないとか、子供を邪神に捧げてはならないとか。

そんな中に、この一文がある。

「あなたは女と寝るように男と寝てはならない。これは憎むべきことである。」十八章・二十二
「女と寝るように男と寝る者は、ふたりとも憎むべき事をしたので、必ず殺されなければならない。その血は彼らに帰するであろう。」二十章・十三

女性の同性愛も同様だ。「ローマ人への手紙」では、偶像崇拝を行う人々に対して創造主が与えた様々な混迷が書かれている(キリスト教では偶像崇拝は禁じられている。教会のキリストの像にしろ、キリストの姿をイメージするための物であり、像そのものを拝んでいるわけではない)。

「彼らは神の真理を変えて虚偽とし、創造者の代りに被造物を拝み、これに仕えたのである。創造者こそ永遠にほむべきものである、アァメン。」一章・二十五
「それゆえ、神は彼らを恥ずべき情欲に任せられた。すなわち、彼らの中の女は、その自然の関係を不自然なものに代え、」一章・二十六
「男もまた同じように女との自然の関係を捨てて、互にその情欲の炎を燃やし、男は男に対して恥ずべきことをなし、そしてその乱行の当然の報いを、身に受けたのである。」一章・二十七

女装や男装についても同じだ。

旧約聖書の「申命記」にはこうある。

「女は男の着物を着てはならない。また男は女の着物を着てはならない。あなたの神、主はそのような事をする者を忌みきらわれるからである。」二十二章・五

ジャンヌ゠ダルクが「魔女」として火刑に処された理由の一つは、彼女が男装をしていたからだ。

では、同性愛に対して現在のキリスト教徒はどう考えているのだろう。

二〇二一年・三月十六日、ローマ教皇庁は「同性婚は祝福できない」と明言した。曰く、「教義で秘跡とされているのは男女間の婚姻関係であり、その祝福を同性カップルに拡大することはできない」と。

民間のキリスト教右派はさらに露骨だ。

たとえば、"Got Questions" というサイトには、次のような質問と回答が載せられている(このサイトには日本語訳版もあるのだが、あまりにも誤訳が酷いので私が訳した)。

【質問】
「ゲイがクリスチャンになることは可能ですか?」
https://www.gotquestions.org/Japanese/Japanese-gay-Christian.html
【回答】
「ゲイがクリスチャンになれるかという問題では、『闘争』という言葉がキーワードになります。同性愛の誘惑に対して闘うことは可能です。(略)このような欲望や誘惑があるか否かで、クリスチャンとしての資格があるか否かが決まるわけではありません。罪のないクリスチャンはいないと聖書は明言しています。(略)」

「では、ゲイがクリスチャンになることは可能なのでしょうか? 『ゲイのクリスチャン』という言葉が、同性愛の欲望や誘惑と闘っている人を指すのであれば可能です。しかし、そのような人はゲイであることを望んでいません。誘惑と闘っているのです。なので、『ゲイのクリスチャン』という表現は正確ではありません。姦淫・嘘・盗みに迷えるクリスチャンがいるように、そのような人は『ゲイのクリスチャン』ではなく、単に迷えるクリスチャンなのです。もし『ゲイのクチスチャン』という言葉が、悔い改めることなく、永続的に、積極的に、同性愛者として生活している人を指すのであれば、そのような人はクリスチャンではあり得ません。」

【質問】
「クリスチャンはなぜ同性愛者を憎むのですか?」
https://www.gotquestions.org/Japanese/Japanese-christian-homophobic.html
【回答】
「(前略)聖書は同性愛を強く非難していますが、同性愛者を憎めとは決して指示していません(訳註:嘘こけ、殺せって書いてあったじゃねーか)。クリスチャンとして、倒錯した同性愛の行為に私たちは反対しなければならないのです。聖書は明確にそれを非難しており、そのようなことをする人々に対する神の怒りも記しています。クリスチャンとして、私たちは明確に、そして愛情をもって、罪を罪と呼ぶことを求められているのです。同性愛に反対する人を同性愛憎悪と呼ぶのは間違っており、有効な言葉でも正確な表現でもありません。クリスチャンが同性愛者に対して抱くべき心配はただ一つ――破滅的で下品な人生から救われるための唯一の希望であるイエス゠キリストを拒否したために、彼らが永遠に苦しむことなのです。」
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