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善意で舗装された「ヘルGBT」への道。

2.「多様な女性」ではなく「多様な男性」。

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あるLGBT活動家が作った画像に、「女性は多種多様です」と書かれたものがある。


どのような身体でも、自認が女性なら女性と言いたいのだ。

「バカ」の語源には諸説ある。そのうち最も有名なものは「指鹿為馬しろくいば」――「鹿を指して馬とす」が転じたという説だろう。

始皇帝の死後、宦官かんがん趙高ちょうこうが権勢を振るう。ある日、自らの権威を試そうと趙高は一計を案じた――皇帝の前に鹿を連れてきて、こう言ったのだ。

「陛下、珍しい馬が手に入りました。」

皇帝は「これは鹿ではないか」と言い、周囲に訊ねた。しかし、趙高を恐れるあまり、ある者は黙り込み、ある者は「馬」と答える。正直に「鹿」と答えた者は後に暗殺された。以降、不合理を無理に押し通すことを「指鹿為馬」と言うようになった。

今や、ただの女装家でさえも「MtF」を名乗っている。そんな彼らが、女子トイレに入ったとか、女湯に入ったとかとネットに投稿し、批難を浴びることも珍しくない。しかしLGBT活動家たちは、そんな彼らも「女性だ」と言って必死で擁護する。

鹿を指して馬とすとはこのことだ。

しかも、そんな自称MtFたちは、妙にちぐはぐな格好をしている。

ある自称MtFは、自分の女装姿をブログに晒して、「どう見ても女性の姿だったので女子トイレに入りました」と書いていた。その姿とは、膝の見えるワンピースを纏い、白いソックスを履き、生足を晒したものだ。明らかに女性の服を着慣れていない。ファッションセンスが潰滅だ。

『山代温泉女装ツアー(2)』
https://ameblo.jp/nextakemi2019/entry-12481648665.html

ある七十代の越境性差トランスジェンダー(男性。既婚・子持ち)は、「投票所の性別確認に一石を投じる」として、ミニスカートで投票に行ったという。

『還暦を経てミニスカートを履いた覚悟 投票所の性別確認に投じた一石』朝日新聞
https://www.asahi.com/amp/articles/ASPDV63M2PDHUTFK01J.html

既婚・子持ちの七十代がミニスカートを履いて、「私は女です」と言っても首を捻ってしまう――どうせ身体を変えようとしていないのだし。

あるいは、「私は越境性差トランスジェンダーだ」と言わなければ、そのような格好をできないのだろうか?

そうなのかもしれない。

「私の心は女だ」と言わない限り、男が化粧をしたりスカートを履いたりすることは難しい。

例えば、会社員の男性が、ある日いきなり女装して出勤したら叱責される。しかし、性別不合の診断書があった場合は対応も違うはずだ。

しかし、「可愛い物が好きだから」「女性の格好が好きだから」というだけでは女性ではない。そのような男性は、「多様な女性」ではなく、「多様な男性」である――化粧をした男性やスカートを履いた男性を、男性社会が受け入れればいいだけの話だ。

だが、そんな彼らを「女性」と言わなければ差別だとLGBT活動家は言う。

「トランス差別」という言葉を聞いたとき、どのような内容を想像しただろう?

性同一性障碍を抱えた人に「オカマ」と言ったり、「オトコオンナ」と言ったり、身体について揶揄したりすることを思い浮かべたはずだ。まさか、「自分を女性だと言う男性に女子トイレを使わせないこと」だとは思わなかっただろう。

二〇二二年・五月十七日――「女性スペースを守る会」「白百合の会」「性別不合当事者の会」が、国会議事堂で院内集会を開いた。「白百合の会」は森奈津子氏を中心とした性的少数者の交流会である(ちなみに私も会員だ。「性別不合当事者の会」にも一時期入っていた)。

『「性自認」の法令導入をめぐり民間団体が集会 自民国会議員が参加』産経新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae3bec2078309a77467138ea909955f3a3f24571

集会の目的は、「性自認の尊重」を法令に定める危険性を政治家に訴えることだ。この集会で、「性別不合当事者の会」は、「性自認」は「性自称」であるという見解を発表する。何しろ、客観的な性別ではなく、身体違和さえ関係がないのだ。このようなものを「尊重せよ」と法令で定められると、社会的な混乱を招きかねない。

差別クリエイター・松岡宗嗣はさっそく次のツイートをする。

「『トランス排除にどう対応するか』のイベントで冷静な議論を聞いた後、今日国会では『女性スペースを守る会』などが院内集会を行ない自民党議員15人が参加したことを知る絶望感。『性自認はファッションと同じ』『女性トイレが危うい』と典型的な嫌悪とそれを垂れ流すメディア。」
https://twitter.com/ssimtok/status/1526572837057679360?s=21&t=qV0V4DBClp9uJTX4HKPxDw

こういうことをするので、性的少数者から松岡は嫌われまくっている。

「性自認は性自称」「女子トイレが危うい」と指摘したのは「性別不合当事者の会」――GIDからノンバイナリまでいる当事者団体だ。「白百合の会」も性的少数者の交流会であり、森奈津子氏も私もXジェンダーを公言している。

一方、松岡はただのゲイだ。つまり、その他の定型性差シスジェンダーと同じように当事者ではない。当然、男女別スペースによって安全と安心を守られている性別でもない。そんな部外者の松岡宗嗣が、当事者の発言に何を絶望しているのか。

LGBT活動家は、「トランス女性は女性」であり、「黒人の女性も裕福な女性も障碍者の女性も同じトイレを使う権利があるのと同様、トランス女性も同じトイレを使う権利がある」と言う。

一方、「女子トイレとは違い、女湯に入れろとは言っていない」とも主張する。

矛盾している。「女子トイレに入れないこと」が「女性として認めていないこと」ならば、女湯に入れないことも「女性として認めていないこと」ではないか。

女子トイレや女子更衣室に男性を入れることは、侵掠しんりゃくのための橋頭保のようなものであろう。女子トイレや更衣室で既成事実を作ったら次は女湯だ。実際、もう入っている人はいるのだし。

それにしても、なぜ自称「トランス女性」たちはそこまでして女子トイレに入りたがるのか。

「女装していたら男子トイレに入りづらいからだ」と言う人がいる。

呆れてしまう。

女装など大抵はバレている。女装した人は男子トイレに入るべきだ。確かに驚かれるが普通は納得される。私自身、女装で外出した時はそれで通した。奇異な目で見られるのが嫌だと言うのならば、そもそも女装で外出すべきではない。

もちろん、GIDの身体男性が男子トイレを使えない理由は、「気まずい」というものだけではない。しかし、そんなGID当事者からも、非常識な自称トランスへの批判の声は上がっている。

多目的トイレの件でインタビューした姫咲さんも次のように言っていた。

「女子トイレを使ってるMtFに、なぜ自分を女性だと思うのかと訊いても、『子供の頃から可愛い物が好きだったから』などと言われます。――それの何が女性なの? 本当に女性ならば、どうして女性の気持ちが理解できないの? 何で同性が嫌がることをするの? 思わずそう言わざるを得ませんでした。」
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